第2話 闇落ちどん底ライフ
人の闇はなかなか消えない。自分でも気づかないうちに風船のように膨らんでいく。
高校二年、三年と進級し、ついに大学進学に向けて考えなければならなくなった。取り柄もなく、闇を抱えたまま。
もちろん医者になるつもりはない。かといって、なりたい職業もない私は、親の薦めで医療系大学を志す。
相変わらず学力は今までのように上位ではないが、上の下ぐらいを維持していた。まっとうに大学受験をすれば、いくつもの大学を受けてセンター試験もやって……長期にわたり、勉強し続けなければならない。それは避けたかったために、成績を利用して、指定校推薦を利用しようと決めた。
大学も決め、その学校の指定校推薦に必要な最低限ラインの成績もクリアしている。周囲の子の多くは、推薦枠ではなくて通常の受験を目指していたため、このまま希望を出せば、通るはずだった。
受験生活から解放されるのだと、うかれていたのかもしれない。
私は、同じ医療系だけど、公立大学を希望していた友人Aに、指定校推薦でその大学にしようとしていることを話してしまった。
これが、闇を膨らませることになる。
後日、職員会議後に担任から告げられたのは、校内の推薦枠から落ちたということ。
頭が真っ白になる。目が泳ぐ。
なぜ、どうして。成績は大丈夫だったはず。なのになんで。
先生はその推薦枠に、友人Aが決まったことを教えてくれた。
泣いた。
家に帰ってから、一人で。
仲がいいと思っていた。だから進学についても話したのに。
その子は一度も私が行こうと決めた大学について触れてこなかったのに。
裏切られたのだ、私は。
消えたくなった。
人を信じられなくなった。
あの子は何なんだよ。横取りして、平然として。
私のことを何だと思っているんだ。
真っ黒な感情が私を支配していく。
だけど、表面は平然を装って、翌日も、その翌日もまたその子と一緒にご飯を食べる私がいた。
それがまた気持ち悪くて。
自分の存在がわからなくなって、気持ちと行動が一致していなくて。
学校では問題ないというのに一人家で、呼吸がしにくくなった。
過呼吸ではないが、常時喉に何か引っかかっているようで。浅い呼吸を繰り返してしまい、今まで呼吸ってどうやっていたのだろうと悩んだ。
結局私は、友人Aが指定校推薦で決まった大学に、自己推薦枠で受験し受かったので大学でも同級生になった。
そして大学でも闇が膨らむことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます