第103話 変わらぬ願いが落とす陰




「ふぁ…ぁ……。……何よ、まだ朝よ……?」


「朝だから、でしょ姐さん。ほら、サギリちゃんだってもう来てるんだからしっかり起きないと」


「忙しいのよ……あちこち調査の手を伸ばして報告を纏めて……ザッカーの方こそ、ヨウの世話はどうしたのよ?」


「はっはっはっ!おじさんの可愛いお弟子さんはとっくに修業中さ。今頃、魔物の群れの中で頑張ってるんじゃないかな?」


「酷い事をするわねぇ…。恨みを買っても知らないわよ?ジンドーに頼まれたんでしょ?その子のこと」


「勿論さ。だからこそ、手を抜いて育てられないってものだとも。別に「全部倒して来い」とは言ってないよ。ただ…囲まれて何発避けれるか試しておいで、とは言ったけどね」


「やっぱり鬼畜じゃないの。それ、万が一があったらどうするのかしら…」


「そこは大丈夫。初心者ならちょい苦労する相手のオーク、その群れさ。いざとなったらオークの群れ程度なら一蹴出来るしね。何よりも、実戦で殺意を持った攻撃を多数避ける…これが大事なんだ」


「……ま、そのくらい叩き上げないと駄目よねぇ。サギリの方もやる気は凄いし才能も天才的よ、あの子。鍛えれば強力な魔法使いになるわね…それこそ、今の時代の先頭に立つような術者になれる」


「姐さんがそこまで言うなんてねぇ。流石は異世界から呼ばれただけのことはある、か」



王都の中、四方に分けられた大きな区画の1つである東地区、その中央を走る大きな通りであるマットラン通りのある一角を占める巨大魔法店


魔道具、魔導書、指南書の販売から魔法講習、持ち物の鑑定、魔石の魔力補充等の魔法に関わる様々な分野をカバーする一大魔法店舗…それこそがこの『メールウィ魔法本店』である


ラヴァン王国圏内でも最大規模かつ魔法分野で最先端を誇るメールウィ魔法店は少なくとも魔神大戦の半分の時を生きる大魔女、真理に手をかけ魔の深淵を解くとまで謳われた彼女…『魔導后アーク・マギステラ』サンサラ・メールウィが営む魔法のお店だ


元は世俗に関わること無く魔法の理を解き明かす事にのみ情熱を注ぐ魔女であり、国に関わることも無く人の世には決して関係を持たなかった彼女はとある勇者の死する姿を目の当たりにした事で魔神大戦への間接的な関与を始めた


弟子を取り、世に己の知識を振り分け、多く現れる己の指定となった魔女、魔法使いを世界には出向かせ魔神との戦い、調査などに乗り出すこととなる


それがメールウィ魔法店の前身となった


現在の活動はもっぱら世界の情報収集を裏方の活動として続けており、裏の稼業を持つ者達の間で『メールウィ・ファミリー』は非常に気を張らなければならない存在となっている


そんな彼女の家でありお店である『メールウィ魔法本店』の中は、一見すれば年季の入ったアンティーク系の家具でも売っていそうな雰囲気のある店だ


そのカウンターに項垂れるようにして不機嫌そうに座るサンサラをカウンターを挟んで座っているのはザッカーである


店の扉には『閉店』の看板が掛けられている通り、本日のメールウィ魔法本店はお休みの日


サンサラは気持ちよく三度寝を決め込み日々の疲れを癒そうとしていたのだが……






『サンサラ先生!今日は魔法によるエネルギーの直接放射について知りたいです!ビームよ!冷凍ビームの撃ち方を教えて欲しいの!』


『れ、冷凍ビームって言うのやめなさいサギリ…。ちなみに何でその魔法なのかしら…?』


『かー君が次来た時に即冷凍して逃さないようにする為です!射速が速いビームじゃないと駄目なの!ガチガチに頑丈で鉄みたいに硬い氷にしたいわ!』


『か、かー君…?というか物騒よサギリ、話し合いが大事なのよ?そんな無理矢理固めるなんて穏やかじゃないわね』


『大丈夫です、かー君ならどうせそれでもターミ◯ーターみたいにバリバリ壊しながら進んでくるに決まってるし…。少しでも足止めする為に出会い頭でガチガチに固めるの』


『何者なのよかー君…というか、なにか恨みでもあるのかしら、その人に?復讐とか流行らないから止めておいたほうがいいわよ?』


『いえ、私の想い人です』


『凍らせたら駄目よね!?なに、チキュウでは惚れた相手を氷漬けにする風習でもあるのかしら!?』


『もう、サンサラ先生ってば。そんな訳無いじゃないですか…氷漬けにしたら死んでしまうもの。私、お尋ね者になってしまうわ』


『……なら、そのかー君は?』


『次は絶対に逃さない。持ちうる最速最高威力で全身まるごと冷凍しないと…』


『なんてこと………っ!わ、分からない……分からないわチキュウの乙女…!!』






なんて事があり、サンサラは朝っぱらから気力をごっこり持っていかれたのである


弟子として既に数日もの間付きっきりで朝霧とルルエラに魔法の指導を付けていたのだが、特に朝霧のやる気は凄まじかった


魔法なんて無い世界から来たというのに何故か魔法に対するイメージや創造力が凄まじく、「こんな魔法」「こういう効果の魔法」というのを伝えて魔法の編み方を伝授すると驚くべき速度でモノにし始めるのだ


魔法とは創造力と想像力の賜物…イメージした魔法を編み出す力が新たな魔法を生み出せる


それは簡単なことではない


現象そのものを新たに創り出す行為に等しく、作れたとしても他の魔法や魔道具の劣化にしかならない事が殆どだ


なのに、何故か朝霧は魔法が生み出す効果や結果への想像力が意味不明なレベルで高く、1を教えて10を編み出す勢いでサンサラの魔法知識と経験値を吸収していっている


魔法の構築や構成、術式を編む行為には未だに不慣れだが、そんな魔法創造に関する高等技術はそもそもとっかかりすら出来るはずもないのだ


それなのにで済んでいるあたり、サンサラは異世界からの来訪者の特異性をまざまざと目の当たりにすることとなった


…まさかそれらが、アニメやゲーム、漫画での知識やらイメージで補完されているなんて思うはずも無く



「ヨウ君もかなりのもんだよ、あれは。強化魔法への出力や魔力の変換効率が段違いで高い…武器を振るうのにはまだまだ慣れが必要だけど、おじさんが教えた剣技とか体技は凄い勢いで体に覚え込んでる…。あれは元から体術の経験があるね、これも才能かな?」


「そんなに凄いのね、彼。私的にはヨウのあの魔法が気がかりよ…あれは尋常の物ではないわ。世界の理を解き明かす異端にして異才…。全ての情報を読み取り真実を知ることができるなんて…この世の全ての鑑定系、看破系魔法が彼の前では全て児戯よ」


「そりゃまた…とんでもないね。ま、碌な実践訓練も無しにガボノス湿地帯を強行突破出来てたからねぇ。あの教国の聖女…ルルエラって子も相当なもんだ。不自然なくらい色々な才能を持ってる…特異魔法、聖属性、通常魔法もかなりの腕前と来てる。悪い子じゃなさそうだけどーー」


「警戒…いえ、注意はした方がいいかしらね。まぁあの子の役割は後方支援…耐性、防御系の魔法をメインで仕込んでるの。飲み込みも速いし…ここ数日で精神防御も覚えてたわね」



ルルエラも現在はサンサラの元で魔法の手ほどきを受けていた


しかし、彼女の魔法は無属性の通常魔法のみの攻撃手段しか持たないながらもその精度、強度は相当な高レベルを持っている


魔弾シューター系、魔閃レイ系が中心とレパートリー自体は多くないがどの魔法も高レベルで纏め上げて使い分けている


流石に聖属性魔法の手解きはいかにサンサラと言えども不可能だったが、この手の魔法に加えてルルエラには様々なサポート系魔法を教え込んでいる最中であった


そう、かつてサンサラが己の勇者にかけた魔法と同じ魔法を別の勇者と共に歩む聖女に教え込む…なかなかに感慨深い気がしないでもないサンサラである



そんなこんで耀、朝霧、ルルエラを拾ったサンサラとザッカーは王都にて個々に様々な技術、技能を教え込んでいる真っ最中であった


ジンドーに託されたこの3人を無碍にする選択肢は無く、修練を積ませてみたのはいいが良い意味で非常識な才能を持つ三人は驚くべき速度で教えたことを吸収していく


現在も…




「サンサラ先生、出来た!撃てたわ冷凍ビーム!……あ、ザッカーさん。お久しぶりです、来てたんですね」



ドバン!と中庭に繋がる裏手の扉が勢いよく開き、ラフな外着…夏の陽気に合わせた緩めの半袖に冒険者も好む短めのタイトなズボンという格好で飛び込んできたのは朝霧であった


サンサラよりも長身にすらりと伸びる脚線美がなかなかに美しい…ザッカーが「おっ、いいねぇ……やぁ、この前ぶり」とてをふらふらと振って返す


短杖を手にしたままちょっとテンション高めな朝霧にサンサラは眉間を指で揉むのであった



「はぁ……だからその魔法は『氷晶閃クリスタル・レイ』よ、サギリ…チープに聞こえるから冷凍ビームとか言わないで頂戴…」


「あ、そうでした…いい感じの威力です、あの魔法。威力も冷凍具合も素敵だし、好みねあれ…もっと威力上げられそうだし」


「普通は簡単に威力上げられるような魔法じゃないんだけど、これも才能ね。……動機が人を捕まえる為じゃなければ、両手を振って喜んて上げたんだけど…」


「あっはっはっは!恋する乙女は凄いねぇ、おじさんも応援するよ、サギリちゃん。しかしまあ、鍛え甲斐のある弟子が出来て嬉しいんじゃない?」


「…まぁ、否定はしないわ」



サンサラは強大な魔女だ


数多くの弟子を抱え、教え導いて来ている。中には世に出て活躍する一級の魔法使いも多いが、自身を追いかけられる様な魔法使いは未だ嘗て存在しなかった


孤高にして無比の魔女…そのサンサラが教える事を意のままに吸収し実践、自分でそれをさらに改良しようとすらしている朝霧は間違いなく…今までで最高の逸材だ


それこそ、一属性における魔法において自分にすら並び立てるポテンシャルを秘めている…直近で教えながらに最も鍛え甲斐がある弟子となっているのである



「2人はかー君……じゃなくて、勇者ジンドーと一緒に世界を救ったんですよね?どんな感じだったんですか?その…勇者って」



それは自然と問いかけられた朝霧の言葉だった


サンサラとザッカーが僅かに顔を見合わせ、そして朝霧に視線を向ける


……朝霧にとって自分の知る神藤彼方は地球、日本に住んでいた幼き日の姿でしか存在しない


その問に答えられるのは恐らく…眼の前の共に旅をした者達にしか分からない…それが気になってしまったのだろう


その心中をなんとなく、察することが出来た



「そうだねぇ……サギリちゃんが知る彼は、どういう男の子なんだい?」


「私の知るかー君……そう、ですね…優しくて明るい、見ていて元気がもらえる人、かな…?頼りになって、色々なことを教えてくれました。……ま、まぁオタ知識ではあったけど… 」


「…かー君ってまさかジンドーの事?なに、そんな可愛いあだ名あったの?私も今度会ったら呼んでみようかしら…」


「それはそれで面白そうだけどね。まぁしっぶい顔すると思うけど……おっと、彼の事だったか。そうだね…ならサギリちゃんの知る「勇者」はどうだい?」


「え?勇者…そう、よく知らないのよね私…。魔神っていうのを倒して世界を救った、って所までは知ってるんだけど他の事は…あ、今までも何人も勇者居たんですよね?」

 

「そうだね。勇者ジンドーで丁度120人目の勇者だ。初代勇者は何百年前だったかな…最低でも600年以上前に召還されてる。そして、その特徴は…何か分かるかい?」


「特徴って…全員地球から、異世界から呼ばれてるってことですよね?」


「その通り。だけどこの場合の特徴は出身じゃなくてね…その戦闘能力にある」


「……強い、って事ですか?」


「そうよ。勇者とは最高位の戦闘能力を保有する戦士、魔法使いである事が殆どなの。すべての勇者が、万人に1人が保有する特異魔法を所持していて、その力は才能にもよるけれど…だいたいは千を超える魔物の軍勢を単騎で殲滅出来るのよ」


「魔物千を以上を…1人で……」



朝霧が信じられないように呟く…それもそのはず、勇者として召還された自分達は魔物数匹の群れや一体の大きな魔物を3人で倒していたのにこれまでの勇者はそれを遥かに逸脱した力を振るっていたことを聞かされれば、その異常さが理解できる


低級の魔物とはいえ一般人なら嬲り殺しに出来る文字通りのモンスターだ


それが数千という規模…想像も出来ない


自分がもし、あんな化け物を何千も相手にしたらどうなるのか…考えたらだけでもぶるり、と体が震えるのを朝霧は感じる



「っ…てことは、かー君もそれが出来るんですよね。やっぱり強いんですか?」


「あっはっはっ!彼はちょっと違うかな?他の勇者達とは比べられないかもね」


「違う…?」


「そうね…ジンドーは明らかに他の勇者とは違ったわ。ジンドーはこの世界に来た時…今のサギリやヨウよりも格段に貧弱だったのよ。それこそ、ハイオークに遊ばれる程度には何も出来なかった…」


「ハイオークって、確か私も旅の途中で何体か倒したけれどそこまで強い魔物では無かった気が…」


「そう、本当に弱かったのよ。私達ですら、最初の町まで生き残れないと思ったくらいに…。でも、ジンドーの異常性はその後からだった…言ってしまえは、彼は『究極の大器晩成型』だったのよ」


「って事は、今は強いんですね…どれくらい強いんですか?」





その朝霧の言葉に、ザッカーとサンサラは示し合わせたように全く同じ言葉を重ねた





「「最強」」




「最っ……?」




単純明快、漢字で二文字


もはや他の言葉は表現するのに必要ないと言わんばかりに示されたその言葉に朝霧も目を丸くして驚きをあらわにする


あの日、セントラルの地底湖で岩盤を破壊して降り立ってきた姿が脳裏にふ、と蘇った…そうだ、あの時も圧倒的な力による破壊を振り撒いていた



「言葉通りよ。世界最高位の戦闘力を誇る勇者…かつて喚ばれた119人の勇者達全てと比較して、彼はこう呼ばれているのよ…『史上最強の勇者』と、ね」


「かつての勇者でも戦闘に特化した勇者なら1人で何千…下手したら万を超える魔物を倒した勇者だって存在したんだ。でも、彼に関しては次元が違う…ある戦いでは約10万を超える魔物と魔神族の軍勢を1人の力で鏖殺した。その構図は人類対魔神族じゃない、「勇者ジンドー対魔神族」だった」



朝霧が絶句する


あまりにも…自分の知ってる彼方と解離した圧倒的な力だ



「っ…そこまでですか。私からすると少し想像がつかないけれど…」


「かもしれないね。でも、これがこのアルスガルドにおける史実にして事実。120代目勇者である黒鉄の勇者ジンドーは王国が確認してる限りだけで魔物の討伐数キルスコアは70億体を遙かに超える。彼が来てからこの世界の魔物数は半分以下になったんだ」


「この世界で彼を止められる存在はほぼ存在しないのよ。例えアルスガルド中の人類戦力が集結しようとも…恐らく本気のジンドーには勝てないわ。それくらい逸脱した強さを持つの、歴代最強の勇者…それがジンドーなのよ」



朝霧が息を呑みながら、自分の知らない彼方の姿に思いを馳せる


漆黒の鎧、岩盤を粉砕した光の柱、光翼のようなブースター、そして蓮司の魔法剣を頭で受けて微動だにしない異様な光景が、その説明を裏付ける


なぜあの時、レルジェ教国の枢機卿達が侵入者の撃退ではなくを計ったのかがようやく理解できた



勝てないからだ



文字通り、どれだけ強く抵抗してもそれ程まで謳われる勇者となった彼方を教国は止める術を持たないと言う事…


いや、そもそもあの時の枢機卿達の行動は不自然だった。何故、彼方が襲撃してきた時に慌てて勇者召喚をした魔法陣を消そうとしたのか?




『言ったはずだ、全ての国へ。「勇者の召還と関与は俺への宣戦布告とする」と…聞いてなかったは通らないと思え』



マシンボイスへと変換されたその声が、フラッシュバックした


当時は何を言っているのか訳が分からなかったが…


そう…今ならようやくその意味が分かった



(かー君はあの時……地底湖全体に刻まれた召喚の魔法陣そのものを破壊しに来たのね。もう誰も、この世界に連れてこさせたく無かったから…やっぱり優しいのね、かー君)



ほぼ間違いない…そう朝霧は確信していた


地底湖で彼は去り際に光の柱を放ち、地底湖全体を攻撃していたように見えた。その理由は分からなかったが、今なら分かる…彼が攻撃していたのは地底湖の中央に浮かぶ島全体に刻まれた巨大な魔法陣そのものだった



理由はただ1つ…勇者を召喚させない為に



「というか、かー君の魔法って何なのかしら…あれ、パワードスーツよね…まさか『空想の兵器を召喚する魔法』とかじゃ…」


「ぱわーどすーつ…?って、もしかしてあの鎧のことかい?そっちの世界ではそう呼ぶのか…あれは彼自身が創り出した魔道具だよ。実は最近まで…彼の姿も正体も、名前すら誰も知らなかったんだ。召喚されてから5年もの間…彼は素性の全てを隠し続けていたからね」


「分かっていたのはジンドーの持つ特異魔法、神鉄錬成ゼノ・エクスマキナはあらゆる金属を生成、錬成、操作が可能なこと。そして全ての金属に対して魔法的効果の付与が行える事…要するに、魔道具創りの魔法を持っているのよ。彼はその能力を以て、旅の中頃から無人の魔導兵器を創り出して鋼の軍勢を操った…無尽蔵とも言える魔物の群れを滅ぼせたのはこれが理由よ。自分の意のままに操れる魔導兵器の大軍勢でもって、文字通り単身で魔神族との「戦争」を可能としたの」


「その魔道具の性能も、この世界で作られる物とは次元が違う性能だよ。もし彼の作る魔道具と同じものを作ろうとしたら、国家予算が研究と作成だけで消し飛び、長い時間をかけて創り出した挙げ句その性能は彼の魔道具の下位互換、なんて目も当てられない事になるくらいだ。まったく…誰だろうねぇ、「生産しか脳のない史上最弱の勇者」なんて言ったのは」


「言った人間ならもう死んだわよ」


「あ、そうだった。その勇者の手で跡形も無く消し飛んだんだった」



肩を竦めて笑うザッカーとサンサラだが、朝霧にとっては驚くべき情報の連続で頭が追いつかない


それ程までに強いとは思わなかったのだ


朝霧は同時に、教国に残らなかったことに安堵する


なぜかって…



(そんな鬼強い勇者を差し置いて「勇者」なんて恥ずかしくて名乗れないわよ!あぁもう飛び出してきて正解だったわ…!これじゃあ自称勇者の痛いヤツよ!)



そう、一緒に来た蓮司の姿が思い浮かんだからである!


彼は自分が勇者として異世界転移した事に猛烈な喜びと使命感を背負っており、地球で普通に高校生として過ごしていた姿を知っているとちょっと痛々しいくらいには勇者召喚されたことに誇りを感じている


それがまさか



先に居た勇者(懸想先の幼馴染)が既に世界を救った後で?


しかも何百年の歴史でも類を見ない最強の勇者とか言われてる?


魔神と言う「神」とか名前に付いてる敵のラスボスを始末した?


地球なら戦車でも使わないと太刀打ち出来ない魔物というモンスターを何十億という単位で皆殺し?



ーー冗談じゃない!何をどうやって「勇者」を名乗ればいいのか!こんな正真正銘のスーパーヒーローみたいな勇者を差し置いてそんな恥ずかしい事が出来るか!



というのが朝霧の内なる心境だ


なんだそれは、そんな事が何をどうすれば可能なのか想像すらできない



「彼がサギリちゃん達を自分から引き離したのには理由がある。彼は今、四魔龍を巡って一大防衛線を築いてる最中だ」


「四魔龍って…確か最強の魔物の4体ですよね?幾つも国や街を滅ぼしたって言ってた…そ、そんなのが居るなら応援にいかないとっ…」


「無理よ、サギリ。そもそも四魔龍はジンドーが既に三年前、永久的な封印を施して無力化していたのよ。それが魔神族の暗躍によって、その内の一体…魔蛇龍ガヘニクスが封印から開放されたの。今、魔神族が狙っているのはもう1つ…貿易都市カラナックの側にあるジュッカロ魔棲帯の中心部にあるわ。貴女では奥まで辿り着けないような凶悪な魔物の巣窟よ」


「彼はサギリちゃんがそう言い出すと思ったから、あえて置いていったんだね。残念だけどサギリちゃん達に四魔龍はあまりにも早すぎる。死にに行くのと同じだよ。悪いけど彼から君達を託された以上は、我慢してもらうしかないね」



くっ…と朝霧が悔しそうに目を細めるのも仕方なかった。本当ならば今すぐに駆け付けたい気でいっぱいだ


四魔龍がどんな存在なのかは、セントラルで本を読み漁っていた耀とルルエラから旅の最中に聞いた。曰く…「魔物を超えた魔物」「全生態系の頂点」「最も進化した生命体の1つ」である、と


過去に存在したいかなる大国すらも滅ぼし、これまでに存在した勇者達ですらも、その一角すら落とす事はできずに無惨に殺された、生ける悪夢


一体ずつがある分野において全てを置き去りにする力を持つ正真正銘の怪物



4体に与えられた名は「四魔龍」


大地を統べる蛇龍ガヘニクス


天空を統べる鳥龍グラニアス


海洋を統べる海龍ルジオーラ


生態系を潰す蟲龍エデルネテル



ルルエラは言った


「もしも出会ったら、何もかも終わりだよ」、と…


記録に残された物だけでも、その脅威は明確に記されているのだ


でも…同時に力になれないのも理解できてしまった


だから今は…





『お師様!聞こえますかっ!?ちょっとこれ見て欲しいんですけどーっ!?』


「あら、調査出来たのかしら?はいはい、繋げるわよレレイラ」


「あ、もしかしてジュッカロ魔棲帯の調査に出してた子?仕事早いねぇ、おじさんも調査とか下調べのお願いしていいかな?」


「駄目よ。自分でやりなさいなザッカー…」



サンサラの肘をついていた机に乗せていた水晶玉がピカピカと光りながら女性の声を響かせた。この水晶玉は他の繋がっている水晶玉と音声や映像を繋げて共有できる連絡用の魔道具であり、サンサラは己の弟子全員にこれを持たせて様々な場所へと差し向けていた


レレイラが向かっていた場所は封印の1つが存在する危険地帯、ジュッカロ魔棲帯


封印の状態や状況を詳しく認識するために、サンサラは独自で調査隊を組みあげ各地に向かわせている


現在、ジュッカロ魔棲帯はジンドーと魔神族が睨み合うホットスポットと化している要注意区画なのだが…



『ジュッカロ魔棲帯が……半分くらい無くなっちゃいましたぁっ!』


「「……はぁっ!?」」



素っ頓狂な声を上げて水晶玉を覗き込んだザッカーとサンサラ


それ程にレレイラからの報告は常軌を逸していた


ジュッカロ魔棲帯は大都市であるカラナックを優に超える面積を誇る巨大なジャングルのような場所だ。無くなる訳が無い


四方何十kmあるかも分からない程に広がる特別危険地帯…特別危険な魔物の群生地だ


それが……水晶玉の向こう側に見える光景で驚くべき姿に変わっていた


上空からの映像だ。恐らく浮遊魔法で真上に上がりながら映像を送っているのだろう、その光景では巨大なジャングルとなるジュッカロの森の中心部が





ばっくりとくり貫かれたように消滅して更地と化していた




緑の絨毯が広がるはずのジュッカロ魔棲帯のど真ん中が、隆起した岩と掘り返された土砂を剥き出しにされた姿にされている


そんな剥き出しの大地にポツンと存在する漆黒の巨大ピラミッドのような建造物…そこを中心として半径2,30km以上の何もかもが消し飛んでいたのだ



「これ、まさか…」


「ジンドーの仕業よ、間違い無いわ…!本当にまさかよあの真っ黒勇者っ…」


「え、何っ?森が消えたの?…どういう事なの?」


『き、昨日の夜に何度も光がジュッカロでビカビカって弾けてて…それで日が出て調べてみたらこうなってたんです!』


「この森だった場所の中心の黒い建物が四魔龍の封印よ。その周囲が綺麗に封印を残して消滅してるの。つまり……ジンドーは封印の防衛戦に邪魔だから…





のよ!」





ーーー





『お久しぶりです、マスター。いやはや、頑張りましたね。いえ、頑張らせた、の間違いでしょうか?』


「うっせぇ…今回は絶対俺だけのせいじゃ無いって。俺だって予想外だったんだ…まさか…」


『ラウラ嬢がここまでマスターと正面からとは。マスター、一応言っておきますが、あれから5日も経っています。5日です、5日』


「何度も言うな!分かってるって…」


『分かっていても止める気が無いだけですからね、マスターは』


「………止める理由ある?」


『ありませんね。おめでとうございます、マスター』


「…あんがと」



ぶっきらぼうに言い捨てるカナタがベッドに腰掛けたまま複数の光を放つ空中の投影モニターに目を向ける


ラウラの自室、彼女が浴室へと向かうのを見送ってからただ1人のタイミングでアマテラスとの会話を始めるカナタだったが、相棒の言葉は少しばかり耳が痛い


それもその筈


ラウラとの浴室で体も心もばっちり繋がったあの時から5日間…場所をこの部屋に変えて一歩も外に出ること無く彼女との熱い蜜月を楽しんでいたカナタは、ラウラが思いの外この手の行為に強くてシオン、マウラ、ペトラの何倍も打たれ強く…これにはカナタも興が乗ってしまったのだ


しかもラウラもラウラでそんなカナタを煽り、焚き付ける言葉を選んで彼の情愛を引き出してくるのだから止まる理由も止まれる訳も無い


ラウラと体を重ね、部屋に備え付けられたシャワーを浴び、そこでも彼女を貪るように求め、ベッドに戻ればラウラが上から体を乗せるように誘い再び深く繋がり、部屋の前に運ばれていた食事を摂り、胃が満たされれば満たされた元気を使い次は相手で自分を満たす


それはもうどろっどろに爛れた5日間を過ごしていたのだ


アマテラスからの日付報告がなければ何日間籠もっていたのかも分からないくらいだ


自分でも驚くほどに…ラウラ・クリューセルを欲していた事を自覚した


そして彼女もまた、神藤彼方を欲していた事を思い知らされた


そんな二人が揃って止まれる筈もなく結果としてこの有り様である



『マスターがラウラ嬢と盛り上がっている間にフェーズⅠは完了しています。計4発のミーティア・フォールによりジュッカロ魔棲帯の地表面を消滅。戦場の形成は完了しました。現在、フェーズⅡへ移行。召集させた戦力の配置を行っています』


「悪かったな…。アルビオンをSPRINGまで移動、バハムートは巡回飛行を継続。『スコーピオン』シリーズで編隊を組ませろ、残りのジュッカロ魔棲帯の魔物を一掃する」


『了解。掃討隊を編隊します。最終防衛線の形成を開始、観測機、警戒機は範囲を拡大します』


「あとは……『カーゴウィング』6機をロッタス山に回しておけ」


カーゴウィング大型輸送機を6機ですか?・・・トレース完了。成る程、了解しました。即時発進、ロッタス山にて待機させます』


「可能性としては……あり得る。は取り敢えずどうでもいいけど邪魔されると困るんだ。まずはグラニアスだけを確実に始末する」


『マスターの誤算は事ですね。お陰で封印の上から四魔龍を貫通、抹殺する事が出来ずに出てくるのを待つしかありません。下手に封印だけ壊せば四魔龍出てくるだけの結果になりかねません』


「龍脈の異常停止なんか想定できるかっての。ま、元からグラニアスだけはどうなっても殺しておくつもりだった…ちょうどいい機会だよ、ほんと」


『その分、ガヘニクスの解放は想定外だった訳ですが。しかし、マスターのプランに支障はありません


「あぁ。元からガヘニクスとルジオーラは。エデルネテルは……胸糞悪いから悩みどころだったけどな、今となっては抹殺対象だ。グラニアスの次に始末しないといけなくなった…ま、2体もいれば十分だろ」


『ここまでマスターが愛した女性を抱えていれば、エデルネテルを生かしておく価値は無いかと。ですが、マスター。そちらのプランは順調とは言えリスクがあまりにも高過ぎるのでは。よろしいのですか?このまま進めて』


「どんなリスクを背負おうとも…この世界に来た時から俺のプラン目的は変わらない。ただ…巻き込みたくない奴らが出来た、その為の最善策を尽くす。それでも…俺は止まれない。例えその選択が…ーー」





ーーアルスガルドに再び滅びの危機を運んだとしても









「お待たせしましたわ、カナタさん。お風呂、入ってくださいな」


「ん、ありがとラウラ」



自室に戻ってきたラウラがバスローブ1枚を身に纏ったまま、ベッドに座るカナタのもとへと近寄りその隣に自然な動きで腰を下ろす


バスローブ1枚とはいえ、腰元で結んであるだけの格好故に彼女の豊かで深い胸の谷間がしっかりと覗き込む少し危うい恰好なのだがこの部屋ではむしろ見せるべき相手しか居ない


肩を触れ合わせる距離に座るラウラにカナタもこれを避けるような動きもない…既に5日も体の奥深くまで交わりあっているのだからこの程度の距離感はもはや当然と言えた



「お風呂であの子達と会えましたわ。ふふっ、ほんとに良い子ですのね。同じハーレムとして仲良く出来そうで安心しましたわ」


「は、ハーレムって言われるとすごい駄目なことしてる気がしてくる…」


「あら、そうですの?庶民の方々でも普通の事だと思いますけれど…。あ、そう言えばカナタさんの国では一夫一妻が基本でしたわね…」


「そっか、こっちだとそういう感じだったなぁ…。うん、たまに忘れそうになる…そう言えばあいつらも言ってたような気がする」


「あまり人が増えすぎても愛が行き届きませんけれど、それでもカナタさんなら4、5人くらいは余裕ですわね。精神的にも、勿論…肉体的にも。と言うか、カナタさんを受け止め切るにはそのくらいの人数が必要でしてよ?」


「あっ、はいっ、すみませんほんと…盛ってばっかりで申し訳ないです…」


「ふふっ、そこはですわね」



悪戯に笑う彼女の笑みにどこか照れくささを感じるカナタ


彼女の手が自然と、ベッドに置かれていた自分の手に重ねられると彼女の柔らかく温かいその手を…指を絡ませるようにそっと握る


ラウラがこれまでの熱く激しい蜜月に満更どころか絶賛乗り気なのはたっぷりと味わっているのでそこは心配していないカナタだが、どうにも「ハーレム」という単語には背徳感を感じてしまう…本当に今更なのだが


彼女の瞳がまっすぐとカナタの眼を覗き込み、カナタはそれを受け止めて…そしてどちらともなく唇を重ね押し付けあった


押し当てるだけの柔らかいキス


これまでの行為を考えれば穏やかな好意の表し方


押し当て合う行為の最中、重ねられたラウラの手をきゅっ、と握ったまま彼女の左手を持ち上げて自分の前に持ってくる



「んっ……。…どうしましたの?」


「始めてからずっと夢中でまだ渡してなかったからな。一応これ…俺の気持ちって事で」



疑問符を浮かべたラウラの左手を取り、魔法袋の収納から光とともに取り出したそれを、そっ、と指に近づけた


メタリックなダークシルバーにピタリと埋め込まれたいくつもの黄金色の宝石のようなパーツがきらりと光る…1つの指輪


あらかじめ用意していたそれを、彼女の左手薬指へとゆっくり嵌める


あつらえたようにサイズはぴったりと彼女の薬指に…



「っ……これ…カナタさんっ」


「まぁ知ってるかもだけど…俺の世界だと一応パートナーの証というか…ほら、えっと…まぁ…そんな感じの……うん……良ければ…着けてくれればなぁ、と…」



後半からなんだか言葉がしどろもどろ、もちゃもちゃと小さくなっていくのはやっぱり気恥ずかしいからなのか…素直に「これはね、結婚指輪って言うんだよ♪」なんてストレートには言えないカナタであった


しかし、それでもラウラの反応は顕著だった


宝物を見つめるように自分の指にぴたり嵌ったリングに魅入り右手で触れて、上にかざして…簡単に言うならめちゃくちゃ嬉しそうにしているのだ



「えぇ、えぇっ!勿論っ!大切に、肌見放さず身に付けておきますわ!もうっ、素敵な風習がおありですわね、カナタさんの国はっ」


「そこまで喜んでもらえると安心するなぁ…。あ、それと指輪のはお守りというか、常備薬…?が入ってるから、必要なら都度飲んでな」


「……常備薬?……あ、成る程、なんだかわかりましたわ」



最初はこてん、と首を傾げたラウラはすぐに納得がいったと言わんばかりに指輪の魔法効果により収納されていたそれを出現させた


ダークオークのような木材を組み合わせた小さな木の箱…少し振ってみればざらざらと音が鳴るそれを開けてみれば、BB弾のような大きさの乾燥した植物の種子が沢山入っている


ラウラが鼻を近づけて、すんっ、と鳴らせば甘い香りが鼻腔を抜けた



「ふふっ、ムォッカシード…『婦女の祈り』ですわね」


「婦女の祈り?」


「あら、知りませんの?ムォッカの実の乾燥種子…後遺症無し、有効期間優秀、効果抜群の高級避妊薬。性的暴行を受けたり、魔物からの繁殖行為を受けた女性が天に祈るよりも頼りにする最後の希望、という意味ですのよ?」


「あ、成る程。確かに、天に祈るよりこの実に祈った方が効果は間違いないって事か」


「まぁ、わたくしにそのは必要ありませんけれど…。ふふっ、そう言えば愛し合ってる最中もさり気なく飲ませてくれていましたわね、カナタさん」


「そりゃまぁ……ラウラがそれを望んでるか分からないしな。こればっかりは…俺の身勝手で決めることでもない」



そう、カナタは避妊薬となるムォッカの乾燥種子をこの5日間の間で2度ほどラウラに飲ませていた


あまりこうして愛し合ってる中で「取り敢えずこれ飲んでおいて」なんて空気の読めない事は出来ないカナタはこれを激しく求めあってる最中に、口移しで飲ませていたりする


ラウラはその種を嬉しそうに摘みあげながら柔らかく笑みを浮かべた



「そうですわね……勿論、嬉しいですわ。このまま何も気にする事なく、この腹にカナタさんとの宝を孕み育めればどれほど幸せなのか…。でも、分かっていますわ。カナタさん…貴方の戦いはまだ終わっていない…。私はカナタさんに地の果てまで着いていくつもりですの、お荷物になる気は無くてよ?」


「そっか……ごめん。結局、俺の事情に付き合わせたんだな…。なぁ、荷物なんて思わない。もしラウラがなら、このまま……んぐっ」



ラウラの言葉を聞けばカナタも自分の道に付き合わせる罪悪感が湧いてしまう


それに、もしも彼女の腹に2人の宝が宿ったとしてもカナタはなにも変えるつもりはない。目的も、愛も、大切なものも…何も譲る気は無いのだ。そう考えれば無理に彼女の希望を曲げることもない


そう言おうとしたカナタの口に、ラウラの指に摘まれたムォッカの乾燥種子二粒が言葉を差し止めるように突っ込まれた


男が飲んでも意味はないのだが…



「そこから先を言うのは無粋ですわよ?……さぁ、カナタさん…そのまま飲ませてくださいまし」



ラウラの不敵なその笑みに…「あぁ……敵わないな」と心地よい諦めを感じながら、彼女の唇を再び奪う


今度は押し当てるような生易しいキスではなく、しっかりと互いの唇を深く食み合わせて相手を味わう濃厚な口付け


当然のように彼女の唇を舌で割り開き、にゅるり、と熱いラウラの舌を絡め取りながら…舌に乗せたムォッカの種を彼女の口の中に押し込む


それを舌で受け取るラウラはさらにカナタの口の中にもう一度押し返し…たっぷりの唾液とともに再び口内へと迎え入れる


ねだるようなラウラの舌が、カナタの口内と舌を絡めて舐め取りたっぷりの唾液を引き込み、その体液によってムォッカの種を……ご、くんっ……と喉奥へと飲み込ませた


そこからは…もう二人共止まることはない


カナタが勢いよくベッドに彼女を押し倒し、ラウラはカナタの背中に腕を回して彼を迎え入れ、今度は更に激しく貪り合うように互いの唇に食らいつく


もはや互いの口内は、相手と自分の混ざりあった体液でどろりとまみれ、それでもまだ足りないとばかりに舌を舐め取り、絡み合わせ、相手の口の中を味わい求め合う


カナタの手が彼女のバスローブの前に滑り込み、大きく覗いていた彼女の存在感たっぷりの豊満な胸を直接、指を食い込ませるように鷲掴みにしながら…



「んっく……ぷはっ…んっ……お風呂は後、ですわね…?」


「そうだな…っ。やっぱり後で一緒に入ろうか…っ」


「ふふっ、ですわね…っ。さぁ、カナタさんっ……今飲んだ種がなければ確実に身籠るくらい…っ、愛してくださいな…っ」


「当然…っ。覚悟してくれよ、全力でいかせてもらうから…っ!あれ飲んでなければ…今夜間違いなく孕ませてたってなるから…!」


「素敵ですわね…っ…ムォッカ種ではなく、カナタさんので…私の胎内はらの奥から誰の女なのか、マーキングしてくださいまし…っ」



2人の営みは止まらない


さらに熱く


さらに激しく


時に甘く


時に苛烈に


今度こそ、彼女が自らの脚で歩くのも億劫になる程に2人の愛の営みは温度を上げていくのだった







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 





【後書き】



ーーやはり性女…性女は全てを解決する…


「うわぁ……あれ、我がされたら2時間で沈むのだが…何故ラウラさんが正面から迎えられるのかまったく分からんっ」


ーーほら、だって大性女だし…君達ハーレムメンバーのメインタンクだよ?大事にしないと


「え?ベッドの上でも我ら、ロール分かれてたりするのか?」


ーーだってペトラちゃんは技巧派のテクニシャンで色々とか持ってるでしょ?ほら、この前とかカナタくんにパイズ…


「だぁぁっ!!?そ、そこまで言うなぁ!」


ーーシオンちゃんはほら、被逆嗜好でカナタくんのSっ気を刺激してくるし。前は後ろ手で縛って足開いたまま棒で閉じれないようにしてからひたすら抵抗出来ずに攻められ続ける上級プレイを…


「待て待て待てっ!し、シオンの名誉の為にここでの暴露はそこまでだ!その続きは別のサイトで書かんか!」


ーーマウラちゃんに至っては野生全開の交尾プレイでにゃんにゃん言ってるし…ほら、おねだりたっぷりで好きな体位はバッ…


「よさんかぁ!というかどストレートにマウラが一番激しそうだなぁ!?で、でも我ら3人でしてる時はそんなの見たことないのにっ!?」


ーーそりゃまぁ、ペトラちゃんだって皆の前でしたことないでしょ?カナタ君に、太ももで挟むとか、パイズ……


「だからそれを言うなと言ってるだろうっ!?というか何もかも知っているの質悪すぎではないかっ!?」


ーーちなみにラウラちゃんもしてるよ、「パ」で始まるやつ。でも得意技は上に乗るやつボリュームあるラウラちゃんのお胸の兵器が弾むように…


「この5日間だけでそこまで出来るのか!?何者なのだラウラさんっ!?ってことは、ラウラさんが要ればカナタに勝てるのではないか…?」


ーーあ、それは無理だね。残念だけどあくまでラウラちゃんが強いだけだし、カナタ君の攻撃力が高過ぎてまずペトラちゃん達が即オチ…


「まだ…まだ足りんというのか…!」


ーーま、4人合わせてもカナタ君の50%ってところかな?


「いやバケモノが過ぎんかカナタ…?倒せる未来が思い浮かばんのだが…」


ーーそこはほら…得意のテクニックを磨いてもらって、沢山手練手管で絞りと…


「やめんか!えぇい!じ、次回もご期待ください!以上!これ以上そなたに喋らせたら危うい事ばかり良いそうだ!あと我の羞恥心が耐えられんっ!」

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