第98話 見習い勇者と鋼鉄の森
「あ、またっ……ルルエラ!そっちじゃないよ!どこ行くの!?」
「ぅえっ!?あ、あれぇっ!?へ、変だなぁ…ボクこんな方向歩いてたっけ?」
「変よね…私もさっきので三回目よ?なんで変な方向に行こうとしてたのかしら……」
鬱蒼と茂る青々しい木々が並び立つ森林の中を縫うようにして歩く三人の姿があった
少し小柄で中性的な容姿…髪は目元に届くくらいに長く、やや細身なのが印象的な南耀が先頭を切るレルジェ教国出奔3人組
腰まで届く長い黒髪は鴉の羽を濡らしたようにも見える耀よりも背は高い、凛とした和風美人の印象強い朝霧と耀よりも小柄で白銀のサイドテールを歩く度にふりふりと揺らす蒼眼の少女ルルエラである
あれから僅か数日……ガボノス湿地帯を異例の速度で突破した3人はラヴァン王国への旅路を順調に進行していた
勇者の肉体的スペックに加えて湿地帯という特性上、氷や冷気を操る朝霧の魔法は沼地や歩きずらい水辺を全て氷結させて通ることが可能であり、これに加えてルルエラの
出没する平均金級クラスの魔物も耀と朝霧2人にかかれば数体程度はどうということは無く、そこにルルエラの魔法も加われば敵はなかったのだ
これが前例の無いレベルのガボノス湿地帯強行突破を可能とした
ガボノス湿地帯の先は暫くの間穏やかな平原が広がっており、そこは何事もなく進むことが出来ていたのだが…その先を超えるためには巨大な森林が三人の前に広がっていたのだ
レルジェ教国で手に入れていた地図を見ても目の前の森には名前らしき名前が付いておらず、ただ「異教徒の住まう地」としか記されていない…迂回しても良かったのだが、通った方が近い事もあり、ガボノス湿地帯での強行軍成功に背中を押されて目の前に広がる大森林の中央突破を決定
その森林は入った当初は問題なく進むことが出来ていた
大した魔物も居らず、進みにくい地形でもない
ガボノス湿地帯に比べればなんの苦労もない、とすら表現できるような場所だったが、途中から3人を異変が襲い始めた
迷子になろうとするのだ
主に朝霧とルルエラの2人が
なろうとする、というのは比喩でも喩えでもない
朝霧とルルエラが突然、3人で行動しているのに真横に進み始めたり不自然に後ろを向いて歩き始めたりと、明らかに異常な方向へと向きを変えて何食わぬ顔で進もうとし始めるのだ
それも幾度とそれが起こるのである
声をかけて止めれば、朝霧もルルエラもなんてことは無い顔で「どうしたの?」「なに?」と返事をして…そこで初めて自分が意味不明な方向を向いてることに気が付く
たった今も、ルルエラが突如として真右を向いて歩き出したのを耀が袖を掴むようにして引き留めたのだ
明らかな異変
そして、もう一つ…
耀だけが、この異変に何の影響も受けていないのだ
最初の2時間で朝霧が2回、ルルエラが8回……ここに来て耀が一度も方向を違えない事からただの偶然による方向音痴ではなく、何かしらの影響が及ぼしていると耀は断定した
耀の特異魔法『
あらゆる鑑定を超える観測能力を有し、その魔法を宿している影響によって『真実を視る』という能力が常に発動している耀に対して幻覚や幻惑等の魔法は一切合切通用しない
耀は予測する…恐らく、これは平衡感覚や視界感覚を狂わせる類の異常系魔法に似た能力がこの森に備わっている、と
故に、2人はそれに惑わされて真っすぐ進めないが…耀だけはこの異常に無敵の耐性を持っている事になるのだ
…と、言うわけで
「もうっ!面倒くさいなぁここ!…ほら、ヨウっ。ちゃんとボクの手握っててっ!」
「う、うん。…えっ、とその…朝霧さんみたいに服掴んでるだけでもいいんだけど…」
「あら、駄目よ耀?ちゃんとしっかり、ぎゅっと握っててあげなさい。そう、二度と離さないように」
「さ、朝霧さんっ…!そういうのじゃないってば…!というか別に僕のこと掴まなくてもちゃんと見てるって…!」
「駄目に決まってるじゃない。耀、握ってと頼んでくる女の子の手を押し返すなんて紳士じゃないわよ?蝶を摘むように優しく、だけどぎゅむっ、と力強く握り締めておきなさい」
朝霧の押しが凄かった
彼女は耀の服裾をちょんと摘んで歩いているのは自分が他所の方向へと歩き出した時に耀が気付くようにする為だ
そこに何度も何度もそっぽへ進もうとしてしまうルルエラが「うがーっ」と可愛らしく吠えながら耀の手を掴んで進み始め…3人綺麗に纏まって進むことはや半日
耀としてはルルエラの小さくて温かくて柔らかな手が自分の手をぎゅっ、と握ってくるところに高鳴る動機が収まらないところなのだが朝霧はそれを面白可笑しく耀の耳元でおちょくってくるのだから堪らない
ルルエラの方もぎゅっ、としっかり握っているのだから耀もちょっぴりあわあわしてしまうのだが…朝霧からはルルエラの耳が真っ赤に染まってるのも見えていたのがたまらなく面白い
…なので耀は一生懸命別のことを考える事にした
(はぁ…心臓に悪いよもう…。それにしても…変な森だ。普通じゃない…魔物の仕業かもって思ったのにそんな魔物も出てこないし気配もない。土地そのものに魔法の効果を付けるなんて不可能な筈だし…広範囲に迷いやすい結界があるとか?…いやいや、どんな化け物みたいな魔法なんだ…こんな広範囲をカバー出来る魔法なんて5分使えればいい方だよ。魔力が一瞬ですっからかんだ)
そう、ありえないのだ
魔物の攻撃だとするなら迷わせるだけで襲ってこないのは何故なのか…それに幻惑が効かない自分ならその気配は分かる筈なのだ
魔物では無いなら魔道具やアーティファクトだが…範囲が広すぎる。半日も自分達の脚で進む範囲をアーティファクトによって丸ごと包むなんてあり得ない
どれ程のパワーのアーティファクトならそんな事が可能なのか…可能とすればどんな馬鹿でかいアーティファクトなのか想像もつかない
つまり…この現象を説明できる要素を耀は持ち合わせていないのだ
解析の魔法を使おうにも使う対象が無いのでは解析のやりようがない
試しに地面にかけても魔法は検出されなかったのだ。これが土地固有の現象であることも、これで否定される
今は取り敢えず、耀の目を頼りに最短距離で森を抜けるしか方法がない状態だ
「それにしてもさぁ。ホント変な森だよ。この木とか図鑑でも見たこと無いし、景色が全然変わってる気がしないんだよね」
「そうなの?…というより、この場所の情報が地図に無いのは変よね…どういうことなのかしら」
「あー…それ、多分レルジェ教国のせいだよ。亜人を人って認めてない国だからね、多分この森には亜人の住処があるって事なんだ。亜人の集落すらも集落って認めないって事だから……この書き方だと多分、名前があるような巨大集落があるのかも」
「…なによそれ、胸糞悪いわね。やっぱあの国出て正解よ、むしろ荒らすだけ荒らしてから出た方が良かったくらい」
「だよねー。ま、あの時はあんまり力尽くとかは難しかったけど…でもさ!今のサギリとヨウはすっごい強くなったよね!やっぱり実際戦うと違うんだよ!」
「それは確かにそうだね。倒せて当然の相手じゃなくて野生の魔物相手はやっぱり違うよ。どうやって勝つか、どうやって避けるか防ぐか…考える事が多い。魔法も使えば使うほど強く使えるようになってきてるし」
「それよね。かなり魔法はスムーズに使えるし、なんなら威力も教国の頃より段違い。使えば使うほど…まさかここまでなんて思わなかったわ」
「だから言ったんだよ。『勇者の成長能力はその他と一線を画してる』って。昔の勇者もそうだったみたいだし」
そう、朝霧と耀の魔法の強さは使うだけ成長していた
召還された頃とは強化魔法も特異魔法も比べるべくもない程に、実践で考えて何度も何度も使うことによって面白いように成長していくのだ
朝霧の冷気を操るに魔法はその規模をさらに拡大していき、耀の鑑定、解析の魔法は精度を高めていく…強化魔法の効率と倍率も強力になっていきガボノス湿地帯を抜ける頃には金級の魔物数体は軽くあしらえる強さに辿り着いていたのだ
あまりにも異常な成長速度は、ルルエラから聞かされていた「勇者の特異性」に当て嵌まる
聞いてはいたがここまで顕著だとは思わなかった2人はその力をひしひしと実感していた
「そういえばルルエラは最後の勇者の事に関しては知らないんだっけ?世界を救ったなら有名どころの話じゃないと思うんだけど」
「んー…それがレルジェは名前の情報が出てないんだよ。ただ…勇者名だけは伝わってきてる」
「勇者名?…あ、もしかして「ナントカの勇者」みたいに通常があるかしら?それ私達には無いわね…」
「まぁこういうのは「そう呼ばれる事」で渾名されるんだよ。自分で名乗ってもそれは自称に過ぎないんだ。ちなみに最後の120代目勇者は『黒鉄の勇者』って呼ばれてるよ。ボクも見たことはないんだけどね」
そう言ったルルエラが耀の手をにぎにぎするのだから彼の心臓は兎のように飛び跳ねて仕方がない
何か他に気を逸らさないと余計なことを考えてしまいそうだ…何か鑑定とか解析して気を紛らわせないと
実は耀、攻略本を捲るのが好きで鑑定を色んな物に掛けてみるのがひっそりと好きなのである。なので事ある毎に色々な道具やらに鑑定をかけてみて素材や歴史なんかを調べていたりするのだ
そんな事でも繰り返し
だから…耀が気まぐれでそれを鑑定したのはただの偶然だったのだ
ルルエラが「図鑑でも見たことがない木」というのが気になって調べてみたのはただ、そんな気持ちから
『名称・樹木偽装型防衛移動歩兵2068番機
制作者・UNKNOWN
材質・マクロナイト合金、ナナイラ鉄、ジバイト 鋼
搭載魔機・
超振動ナノメタル触腕分断機構
移動用触脚八本
方向感覚変調魔導波放出器『メイズ』一機
解説・くr、UNKNOWNがユーラシュア地帯とゆtwdptmを防御、保護する為に制作した防衛魔導兵器。細部に渡って樹木質の迷彩が徹底的に施されており、その機能はあらゆる生物の方向認識能力を混乱させ森林外部へと向かうように仕向ける魔力波を放出する。近接戦闘に特化した触腕は伸縮自在の金属で作られ両断から破砕まで柔軟に対応可能。自立歩行が可能であり侵入者の進行経路に対して妨害可能なポジションへの移動により物理的に侵入を阻害する』
「……な、なんっ…………っ……!?」
耀は言葉を失った
とても樹木に対して出てくる鑑定結果ではない
と言うより書いてある内容はもはやSFの領域にしか見え無いと文言がずらりと並んでいるのだ。それに一部は文字化けや表示されない部分まである…この現象を耀は過去に一度だけ、経験したことがあった
「よ、ヨウっ?どうしたの?……はっ!?またボク変な方向に向かってた!?」
「どうしたのよ、耀?何か見えたとか?…何をそんなに驚いてるの?」
朝霧とルルエラが耀の顔を覗き込んでくるものの、耀はちょっとしたパニックに陥っていた
鑑定を見た限り、目の前の木はただの木ではなく人工物だ。そして気になるのは…『2068番機』という数字
嫌な予感に背中を押されて、2人に返事をする間もなくその魔法を行使した
「っ………解き明かせ!
鑑定魔法「
その結果
自分達を取り囲む全ての木が、まったく同じ鑑定結果を叩き出す
一言一句違わない鑑定結果に加えて、型番の違う数字…
森の中に居るのではない、自分達を謎の兵器が取り囲んでいる現状が、見えてしまった
「ふ、2人とも…これヤバイかも」
耀は表情を引き攣らせながら、二人の手を咄嗟に握ったのだった
ー
「ちょっ…急に走り出してどうしたのよ!?」
「は、速いよヨウ!?わっ、わっあ!?落ちる落ちるっ!?」
突然、耀がルルエラを横抱きしてから朝霧に「走って!」と叫んだのは少し前…現在、ルルエラを抱き上げた耀と朝霧は強化魔法と己の勇者補正による肉体能力に任せて木々の間を真っ直ぐに駆け抜けていた
何のことかも分からず、ただ…耀がここまで慌てて走り出すならば必ず理由があると分かっていた2人ではあったが、流石にこれには少しばかり驚いたままだ
特にルルエラは自分の機動力を特異魔法である
『視線の先に瞬間移動する』という魔法の特性上、こうした木々が生い茂り視界が数m先しか見えない環境下ではルルエラの機動力が極端に下がるのである
と言うわけで、耀は即座にルルエラを抱きかかえて走り出したのだが…
(わぁっ、わぁっ!?よ、ヨウがボクの事お姫様抱っこしてるぅっ!?こ、心の準備がっ…あぁでもすっごいいい感じしないっ!?ボク緊張感足りてないのかなぁ…!でもヨウだって背高くないのに力持ちと言うか軽々ボクの事持ち上げちゃうなんて…す、凄いドキドキしてるよ…っ!)
ルルエラはそれどころでは無かった!
なんなら一番パニックだったのはルルエラだった!
ルルエラが耀への淡い心を自覚したのは旅に出てから少し経ってからの事だ
旅の最中、さり気なく気を使ってくれる耀…普段から落ち着いてて頭も回り、同じテントでも紳士的(実は耀が初心なだけ)でトラブルも無く、何より朝霧の懐疑的な視線を振り切ってこの旅に連れ出してくれた事
自分でも、自分が怪しさ満点なのは理解していたし脱出を持ちかけた際のコンタクトもなかなかに悪かった…どう見てもメリットの薄い筈の自分の手を引いて旅に連れて行ってくれたのは耀だ
お陰で今、命拾いをしている
教国に残っていれば近い未来、ルルエラは破滅に辿り着いていたのは明白だったからだ
そこからの暫くの時間…耀と朝霧と過ごした時間は今までの人生がちんけに見える程濃密で、刺激的だったのだ
鳥籠の中でしか過ごさなかった自分が初めて世界へ飛び出したのだ
心躍らないはずも無かった
大好きなご飯は教国の質素な物と違って、豪快で工夫されてて美味しい。道行く人の表情は素敵で、話してみれば聞いたこともない話もたくさん聞ける
見てくれだけじゃなくて機能を追い求めた装備に、組み合わせで考える服装のお洒落も初めてだ
初めて見る町並みに目まぐるしく行き交う人々、旅のさなかに見える大自然、土の匂い、草の匂い、躍動する獣、殺気立つ魔物でさえもが新鮮で刺激的
言葉を交わさなくとも、戦いの連携が耀と朝霧と取れるようになるのは無性に嬉しかった
心が通じてきている実感があるのだ
そして……
(やっぱり…っ、ボク、ヨウの事好きなんだなぁ…)
抱いた想いも初めてのものだった
優しくされたから…とかではない
旅を通して見えた耀の人間性、頭で考えながら心に従うその姿に胸が弾んだ
自分の事もそうだ…リスクがあると頭で分かっていながらも、自分を連れ出す選択をしてくれた。そこから旅の中で…彼が常に朝霧と、そして自分の身を案じて頭を抱える姿を見て思ったのだ
" 側にいたい、支えたい…その不安を自分で和らげて欲しい"
朝霧にはどうにも見透かされてる部分があってとても恥ずかしいのだが…
「うわっ!?よ、避けて朝霧さん!横、横!」
「きゃあっ!?な、何よこれっ!?あっ!耀、足元見なさい!」
「うわっととっ!?朝霧さんこいつら凍らせられる!?」
「気持ち悪いわねこいつら!?トレントって奴かしら!?」
「ちょっと違うんだけど取り敢えずそれでいいよっ!足止めだけでもいいから早く凍らせてっ!」
そんなルルエラを他所に、耀と朝霧はまるで某S◯SUKEばりに跳んだり屈んだりしながらそれを避け続けていた
信じられない事に、耀が鑑定によって樹木がただの植物ではない事を看破した瞬間…森が動いたのだ
比喩ではなく文字通り…周りの木々が歩きだし、自分たちの方向へと向かい始め枝のように見えた部分が伸縮しながら3人を捉えようとムチのようにしなり、向かって来たのである
そう、まさに樹木に擬態して襲いかかるトレント系の魔物の如く
それを朝霧と耀はルルエラを抱えて一目散に走り逃げ始めたのだが
あまりにも相手の量が多すぎてこちらを捕らえようと伸ばされる枝をアクロバットに避け続けながらひたすら耀の進む方向に朝霧が着いて行き続けている状態だ
何故、殺そうとせずに捕まえようとしているのかは分からないが、捕まっても碌な目に遭わないに決まっているのだ
「ちっ……吹雪け銀道!『
朝霧が走りながらも太腿のホルスターから短杖を引き抜いて正面に向け、短い詠唱と共に冷気の波動を正面に叩き付ける
全ての木々に、その波動はぶつかる事無く包むように通り過ぎていき三人の正面は地面と樹木、あるもの全てが白銀の魔力光と共に凍り付いた
その凍り付いた道を駆け抜けるものの…樹木はバキバキと音を立てて氷を粉砕しながら動き始めたのを見れば朝霧の表情も引き攣るというもので…
「ちょっと、っポ◯モンなら効果抜群じゃないの…!?全然効果ないじゃないヘコむわよっ!」
「朝霧さん!こいつら草タイプじゃなくてはがねタイプ!足止めにしかならないから倒す事は考えないでいいよ!」
「なによそれ……っ!!?この見てくれで鉄製なの!?あぁもうっ!」
朝霧の信じられないと言わんばかりの声が響く
彼女がそれでもヤケクソ気味に放つ冷気の魔法で僅かでも凍り付いた瞬間に動きを止める樹木の隙間を縫うように直進しながらも…耀はひたすら考えていた
(なんで今になって襲ってきた…!?もしかして鑑定されて擬態がバレた事に気が付いたってこと!?それにっ、物騒な武器があるのに捕まえようとするだけ…変だよね…!もしかして……進ませたくない理由があるとか…だとしたら引き返せば襲って来ないっ…)
「っ、サギリ!ボクの手を掴んで!森の先が見えたっ、
「まっ、待ってルルエラ!そこは飛び込んだらマズいかもっ……!!」
耀の考えでは、この樹木モドキは侵入を阻む為のもの…つまり、侵入しようとしなければ襲って来ない筈なのだ。逃げるあまり気付かなかったが恐らく…自分達が進む進行方向にある何かを守っている
それに気づいた耀だったが…森の切れ目が遠目に見え始めていたのが災いした
逃げようとしたルルエラの…魔法発動条件が満たされた
並走する朝霧がルルエラの手を握り、抱える耀の腕をその手で掴むと耀の静止の声も間に合うこと無く…
その森の先へ…樹木モドキが通さんとしていた場所へと瞬間的に移動が完了したのだった
ー
「っ、とと…ここは…?」
走りながらの瞬間移動による崩れたバランスをよろけながら整える耀がルルエラを抱えながら辿り着いた場所を見回して…それまでの景色との変わりように思わず立ち止まって目を瞬かせた
先程まで走り抜けていた鬱蒼と茂る森林ではない…空からの太陽光が燦々と降り注ぎ、柔らかなクッションのような草原は整えられたように揃えられ、余計な草木は一本たりとも生えていない
その先からは隙間なく整えられた石畳が円形の模様を描くように敷き詰められており、明らかに人の手が加わっている事を物語っていた
何よりも…その石畳の中心に聳え立つ目にしたことの無いサイズの巨大樹がこちらを見下ろすように堂々と生えているのが…この場所の静謐さと清浄な空気を醸し出している
「追っては……来ないわね。それにしても…ここ、何なのかしら…?あんなトレントまみれの森に、今度は…遺跡?に見えるけれど…」
「朝霧さん、さっきの木は魔物じゃないよ。あれは多分魔道具…というかロボットみたいな物だったんだ」
「ロボットっ?ここファンタジーの世界よね…?まさか耀が鑑定で見て焦って逃げるように言い始めたのって…それが理由?」
「うん。あの森の木は全部、侵入者を撃退するための魔道具だったんだ。方向感覚が度々狂ったのも、あの木一本一本が方向を狂わせる魔法を放つ魔道具だったからだよ」
「…ねぇ、まさかその「侵入者を通さないようにしてた場所」って……」
「多分ここだね…ルルエラの魔法でひとっ飛びに侵入出来ちゃったんだ…」
耀と朝霧の「あちゃー…」という雰囲気にルルエラが「…もしかしてボク、やっちゃった?」という呟きを漏らす
そしてこの場所まで、先程の樹木に擬態したロボットのような物は追い掛けて来ることは無かった…まるで、この場所は荒らしてはならないと言うかのように
ルルエラが恐る恐る耀の腕から降りる。今の所、この場所での脅威と呼べるものは何も感じ取れない…怖いくらいに穏やかで静かで…どこか神聖な場所とすら思える程に別の空気が漂っているのだ
巨大樹には美しい宝石と見間違える程の果実が星のようにぶら下がっており、3つの星座のように縦に並んだ木の洞がまるでこちらを見つめているようにすら見える
「…なんだろう、ここ…。なんの為の場所なのかな…?」
「魔物は…居ないわね。安全って事でいいのかしら…いや、絶対違うわよね。とい言うか、耀…気付いてる?あの高層ビルみたいな木…」
「うん……さっきのロボットみたいなのと同じ種類の木に見える。もしかしたらあれも動いたりするんじゃないかな」
「…冗談じゃないわよ。あんなの襲ってきたらぺしゃんこよ?」
「ねぇ、でもボク達を襲う気は無さそうじゃない?なんだか…待ってるように見えるよ?」
「「…分かるの?」」
「えっ、あ、いやいや!そんな気がするというか、なんというか…えへへっ…」
ルルエラのそんな言葉に警戒心をビリビリに張っていた耀と朝霧が顔を見合わせて肩を少し落とした
確かに…今の朝霧と耀ではあんな巨大な樹木が生き物のように襲い掛かってきては成す術がないのだ。どうせならばこの際、ルルエラの言葉を信じてみるしかないのも事実…
どうせ後ろには先程の無数に思える樹木モドキが壁のように立ち塞がっているのだ。ここまで来たら前進あるのみであった
顔を見合わせて頷きあい、ゆっくりと巨大樹へと向かい始める
草原から石畳へと変わり、近付いていく度に目の前の木のあまりの巨大さが伝わってくる
「木だったら樹齢何年かな…正直、これもロボットみたいなのとは思えないと言うか、思いたくないと言うか…」
「万年どころか億年はありそうよね。ま、どうせこんな大きさの化け物だったら今の時点で私達ぺしゃんこよ?行けるとこまで行ってやりましょ?」
「だよねっ。シナバモロトモってやつだよ!」
「そ、それはなんか違うかもルルエラ…」
ルルエラの明るい雰囲気に耀は内心押し潰されそうな不安とプレッシャーが和らいでいくのを感じていく。朝霧のポジティブな言葉にも背中を押されて、遠近感が狂いそうな大きさの巨大樹の根本へと足を進めてきた
先程の樹木モドキからは逃げ回っていてよく観察出来なかったが触れる程近くに来ても木にしか見えない…耀が手を幹に当ててみてもにしか感じない
触りながら歩いてみるも怪しい箇所はなく、木のザラつきを手に感じながらも触っても特に動いてくることも無いのは敵ではないのか、はたまたこの木は本物なのかは鑑定してみないことには…
「ねぇ!サギリ、ヨウ見てよ!石碑があるんだけど……ボクの知らない言葉だ。昔の言語かな…何かの記念碑だったりするとか…?」
「石碑…?ってことは遺跡なのかな…。あっ、確か先史遺産のダンジョンとかがあるんだよね。もしかしてここってそういう場所とか?」
「ってことは結構お宝とかあるのかしら…。いいじゃない、そういうのはロマンあって好きよ私。見てみるのもいいんじゃない?」
「うーん……あんまり時間を使うのはマズいと思うけど確かに魅力的だよね。アーティファクトって確かかなり強力な魔道具の筈だし手に入れば心強いよ」
ルルエラの声が朝霧と耀を呼び寄せる
石碑…と言うことはこの場所が生活圏というよりも何か特別な場所として存在している証拠だ
あり得るのは何かしらの古代遺跡の可能性…魔道具を超える性能であるアーティファクトを回収できるならばかなり強力な手助けとなる
耀の中でこの場所に留まる時間のロスとアーティファクトを手に出来る可能性で天秤がゆらゆらと傾く程度には魅力的なのだ
アーティファクト…その力の強さは教国の講義でもルルエラからも伝え聞いている。言わば「オーパーツ」…過去に存在した現在でも再現不能のオーバーテクノロジーだ
だが、その算段も…
「………え……?」
「ちょっ……嘘でしょ……?」
石碑を見た瞬間、体ごと凍り付く
朝霧と耀の2人が、同時に
「よ、読めるの二人共?ボクでも分からないんだけど…」
2人の様子に少し不穏を感じながらルルエラが2人の間から覗き込むが…様々な書物を読み漁ってきて幼き日から聖女としての英才教育を受けてきたルルエラですら、その文字は見たことはない
角張った字と、ミミズのような曲線ばかりの字が組み合わさった法則不明理解不能の言語
「ひ……"" 日の本より来たる者 遥かなる故郷を願い この場にて待ち眠る ""……日本語…っ!?なんで…っ」
耀の少し震えた声が響いた
それはこの世界で見ることの叶わない筈の故郷の言葉
この世界で何故、この言葉が…こんな誰の目にもつかない場所に刻まれているのか
混乱で頭がくしゃくしゃになる朝霧と耀…
そして、耀が石碑の文字を読んだことに反応したかのように…目の前に聳え立つ巨大樹にぽっかり開いた3つの木の洞が…光を放ち始めた
はっ、と反応して警戒を強める三人に…その物音は真後ろから聞こえてきた
石が擦れるような音と歯車が動くような音が静謐なこの空間に似合わず響き、振り返れば先程まで歩いていた石畳はブロックごとに動き変形して…その下から金属製にガラス張りのような透明の面が張られた長方形が迫り出してくる
それも…耀達を囲むように、大量に
「ちょっと…何よこれ…!もしかして罠とかじゃないわよね…」
短杖を構える朝霧が魔法の発射準備に入るが、それを…耀は手で押さえた
「待って朝霧さん。ここってもしかしたら…そういう場所じゃないかも」
思いの外、冷静な耀の姿に上げた杖を下ろす朝霧も、よく迫り上がってきた箱を見てみれば…息を呑むように言葉を失った
元の世界でも見たことが無い…見るような物騒な事件にあった事などない物が、その中には納められていたのだ
恐る恐る近づくルルエラが中を覗き込み、呟く
「これって……骨だよ。随分と損傷が酷いけど……」
「二人共、ここは多分…お墓なんだよ。あの樹木モドキはきっと、このお墓を護ってたんだ」
「ねぇ、それってつまり…この墓を作った人があの石碑の文字を刻んだって事よ?だとしたら…」
「うん…ここを作ったのは日本人ってことだよね」
朝霧の予想は耀の考えとも当てはまる
明らかにこの場所を作ったのはこの世界の人間では無い
ルルエラに続いて恐る恐る耀も箱を…いや、棺を覗き込む。中には白骨化した死体が横たわっているが、その壊れ方は明らかに風化しただけの物ではない
胸の中央の骨がぐしゃぐしゃに砕け散り原型をとどめていないのだ。明らかに何かが胸を貫いた痕跡がある…穏やかな死因ではないのは確かのようだが、その棺に刻まれる文字を見て…耀の驚愕はさらに加速した
「さ、朝霧さんこれ見て…っ!」
「っ……嫌な予感ばっかりね…」
「こ、これも読めるのヨウ?」
「うん。僕達の故郷の文字だからね…ルルエラならもしかしたら知ってるかも。覚えてたり聞いたこと無いかなーー」
ーー変幻の勇者、オオフジ アキヒトって名前
「変幻の……っよ、ヨウっそれは……あ、あり得ないよっ!?それはラヴァン王国の霊柩殿に納められてるはずだっ!な、なんでこんな所に……43代目勇者の遺骨があるんだっ!?」
ルルエラには…変幻の勇者、という言葉に覚えがあるのだ
遥か昔に呼び出された…43人目の勇者がそう呼ばれていたのである。それをルルエラは歴史書やこっそり覗いた秘蔵書などで知っていた
そしてその遺骨は本来…召喚国であるラヴァン王国王宮内に存在する勇者専用の霊廟、「霊柩殿」に安置されていなければならない存在のはずなのだ
あるだけでも、異常…ルルエラは動揺を隠せない
朝霧はその隣の棺へと移動し…「…やっぱり…」と表情を曇らせながら口にした
「こっちは…鎖弦の勇者ダイチマコト、ね。やっぱり…もしかして全部日本人かしら…。あの詩の内容は全部…間違いなかったのね」
「それはっ…ろ、66代目勇者だよ…っ。嘘だっ、こんな所にある訳な無いよっ!だってここにあるとしたら、その理由は…っ」
耀も他の棺を回るが、その全てに「勇者」の文字が刻まれている…日本人名と共に
これだけで、確証がついた
自分達が迷い込んだこの場所はーー
「ーー勇者達の、墓場なんだ。それも多分…今までの勇者達、全員が納められてる…」
『その通りだ。よくここに辿り着いたな』
「「「っ!?」」」
その声は、すぐそこから聞こえてきた
三人しか居なかったはずのこの場所に響くこの声は……機械によって変換されたようなマシンボイスには一度だけだが聞き覚えがある
朝霧も、耀も、ルルエラも…凍り付いたように固まり、ゆっくりとその声の方へと視線を向ければ…あの日、レルジェ教国のセントラルで邂逅したその姿があった
漆黒の鎧、金色の線が走り、明らかにこの世界に存在する鎧ではないSF世界のパワードスーツと折半したようなその存在は、石碑の前に屈んで花束を備えていたのだ
(…っ、き、気付かなかった…!今の僕なら遠くに居ても敵なら分かると思ってたのにこの距離に居ても違和感すら感じない…っ…!)
(確定ね…っ、そう……よく見てみればこれ以上無いくらい名前が見た目を表してるじゃない…!私達に教国でコンタクトをとったのはそういうことね…!)
この時点で…朝霧と鎧には目の前の鎧姿をした相手の正体が既に検討が付いていた
この場所に平然と現れた事、あの時セントラルの地底湖になぜ現れたのか、枢機卿達との会話の意味、何の目的であの地底湖へ襲撃をかけたのか
この鎧の正体が予想通りなら全て筋が通る
「キミは…っ、こ、ここの遺骨はまさかキミが持ち去ったのかいっ!?これは本来ラヴァン王国にあるはずの物だ!何故こんなところに…!」
『俺だからこそ、だ。そして本来ならばこの遺骨……彼らはラヴァン王国に居るべきでは無い。…霊前だ、大声は控えた方が良いルルエラ・ミュートリア』
ルルエラが逸る…相手の危険性を分かりながらも言わずにはいられない様子で詰め寄りかけるが、予想に反して漆黒の鎧の反応は穏やかだ
そんなルルエラを下がらせるように前に出る耀は緊張に喉を鳴らしながらも…その正体に手を掛ける
「っ…あなたなんですね…120人目の、世界を救った最後の勇者…『黒鉄の勇者』は」
『なんだ、気づいてたのか……その通り。この世界では、確かに俺は「黒鉄の勇者」と呼ばれてる。世界を救ったつもりはないんだが…そこはいいか』
「黒鉄の…っまさか本当に…本物なの…っ!?な、ならなんであの時教国を襲撃したんだいっ!?あれは本当に危なかったんだ!誰が死んでもおかしくなかったんだよ!」
ルルエラが息を呑んだ…姿も見たことがない名前だけを知る英雄、それが目の前に立っていると知れば言葉も失うというものだろうが…セントラルを大規模に襲撃したのがこの勇者であるならばこの疑問は当然のものだった
世界の守護者である筈の彼が何故、一国を襲撃したのか…
「勇者を呼ばせない為よ、ルルエラ。…この場所を見れば分かるでしょ?日本から来た勇者は全員が非業の死を遂げた……もう誰も、日本からこの世界に来させない為に、あの日セントラルを襲撃したのね。何もせずに去っていったように見えたけど…最大の目的は果たして行ってたのも今ならよく分かるわ」
「目的…っ…?す、枢機卿達の命を狙って来たって聞いたけど…」
「それもあるんだろうけど……あなたはあの日、勇者を召喚する魔法陣そのものを破壊しに来たんですね。もう誰も、呼ばせない為に…」
ルルエラが目を見開いて漆黒の鎧を見つめ直す
その彼は、鋼鉄の手を叩き合わせて拍手をするように耀と朝霧を見ていた…まるで「御名答」とでも言うかのように
『そこまで知られていると少し恥ずかしさもあるな…。まぁ概ね正解だ。それにしても…あの防衛網を超えるなんて、やるじゃないか。殺す気は無かったとは言え捕まえられなかったのは…少しプライドが傷付いたぞ?』
肩を竦めてひょうきんそうに言って見せる黒鉄の勇者に対して…耀は躊躇うこと無く『
その正体は何者なのか…喩え敵でなくとも見方とも限らないならばその正体は見極めなければならない
前回は全く成果の上がらなかった自分の鑑定魔法だが…耀は僅かばかりの自信があったのだ
ーー今なら少しは通じるのではないか、と
『名称・◯◯◯ウ◯ナ◯
職業・勇者
出身・地球、東京都
魔法・
二つ名・黒鉄の勇者
魔力量・91670000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000(∨∂≯%£∨†€€∂∨∩UNKNOWN
来歴・5年前に現れたアルスガルド第120代目勇者。歴代最年少の勇者にして史上最強の勇者と呼ばれ、殲滅した魔物の討伐数は81億体を超える。四魔龍の封印、魔将の撃退の末に召喚より2年後、アルスガルド侵攻の主犯格である《時の魔神ディンダレシア》を単身にて撃滅。召喚時は僅か小がkkkkんsssいであり、現在の年れれれrrrは………さ…で…る。その目的はく££の∈≯£を……っ……ることであ……⊃∈%%その為にへ††%をたく€%∨て…にそな……るrrr』
『おぉ……すごいじゃないか。まさか俺の鑑定妨害をここまで貫通して見られるのは初めてだ。やっぱりお前は「真実の勇者」を名乗れる、もし勇者として動くならそう名乗るといい。それだけの力が…南耀、お前にはある』
「っ、それはどうも…っ」
機嫌良く笑う漆黒の鎧に対して、しかし耀の気分は優れなかった
自分の鑑定は目の前の鎧が本物の「黒鉄の勇者」である事を示した…しかし、重要な所はまだ文字化けしたように意味不明な記号の羅列が並び解読は不能だ
この旅の間に様々な魔法を使い、力を上げてきたと思っていたがそれでもまだ…目の前に居る勇者を見極めるには足りなかった事に悔しさを感じるのだ
「ねぇ、あなたはあの時私達を連れて行こうとしたわよね?…元の世界に帰れる、ってことでいいのかしら?」
押し黙る耀に変わって前に出た朝霧が切り出したのはこの旅の目的の1つでもある…帰還方法
元より最後の勇者に会うのが目的だったのはこの世界の本来の情勢と、もしかしたら帰る方法を知っているかもしれない…それを尋ねるためだったのだ
知っていれば御の字…その期待を込めた朝霧の問いに、黒鉄の勇者は…
『……芽原、朝霧………朝霧……さっちゃん…?いやまさか………マジで……?』
兜の中で誰にも聞こえないような小さな声で、信じられないと言わんばかりにこぼしていた
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【後書き】
ーーえー、コメント返し、という感じでもないかもしれませんがそれっぽいことに触れてみたいと思います
「あら、珍しいですわね…基本的に個人への返信はしない方針でしたから、良い機会だと思いますわよ?」
ーー特に「質問」とかではないんだけどね。あ、気になる点とか設定とか知りたかったら教えてください。後書きでお返事とか出来ると思います
「なるほど…それで、気になったコメントがあったんですのね。どういった内容ですの?」
ーーほら、前の話で「この物語本にするの無理だよねー。年齢制限的に」って話したでしょ?それについてなんだけど…
「あぁ…まぁ
ーーが、ダメ!私の作品では残念ながら生々しさ満点のアダルト表現をぶちこんでやるぜ!へへっ…手加減は無しさ、いずれは様々なプレイをそれとなく描写しまくって他人にお勧めするのが恥ずかしい作品にしてやるのさ…!
「…それ、読まれる幅を狭めているだけなのでは?そんな読者さんがお勧めするの恥ずかしい作品にしてどうするんですの…」
ーーはい、すみません…。あ、それでね。コメントで貰ってた内容なんだけど、結構色んな人がね…
「やり過ぎるな、でしょう?分かりきっていますわよ、そんな事…求め手が居なくなっては元も子もない無くてよ?」
ーー『エロ本でも買うぜ』『むしろ加減は無しでいいョ』『コンプラに屈さずこのままでいて欲しい』などなど……うん、エチエチな部分は欲されてる人は居るみたいだね
「えっそうなんですの?この健全第1っぽいカクヨムで求めてる人居ましたのね…というか、今考えればよく連載できてますわよねぇ、このお話。46話のペトラさん回とか見て下さいな。完全にR182歩手前ですわよ?」
ーーふふっ…どうよ、この制限の際際を見極める洞察眼。…ま、この先消される可能性はあるんだけどネ。ほら、ペトラ回の「溢れる」部分とかめっちゃ攻めて描写したんだよ凄くない?あ、何が溢れちゃうかと言えばそれはまぁ…カナタ君の「愛」だね
「色は白くて温度が高くて、沢山出てくる半分ゼリーっぽくて粘液質な「愛」ですのね…まぁ、確かに「愛」の形と言えばそうでしょうか?愛を確かめ合う行為の結果、出るものですし」
ーーお、攻めるねぇラウラちゃん。そういうの、私大好きだよ
「それはまぁ、私だって沢山受け止める予定ですので。焦らされた分、カナタさんにはたっぷり愛していただきますわ」
ーー…覚悟、決まってるね。うん…そういう覚悟を決めてる女性を描くのも私は大好きさ。というかかなり大胆に誘ってたもんね。ちなみに一部で「性女」って言われてる件に関しては…
「ふふっ…その方の住所、教えてくださる?」
ーーやっべ、読者さんが始末されてしまう…。ちなみに、初めて攻めた描写を入れた回は結構思い出深いですね私。29話のシオン混浴回でした…うん、あれは最初だから勇気を出して書いたなぁ
「確かに……とてもフレンチキスの次のステップとは思えない程積極的に行きましたものね、シオンさん。でも本番以外の部分で一番攻めたのはマウラさんの湖回では?」
ーーあー……まぁ「ヤること以外だいたいヤった」って本編でも書いたくらいだし。あれは攻めたなぁ…今となっては良い思い出…
「今では本番メインで書き散らかしてますものね。だから人を選ぶようになってしまったと言いますか……」
ーー私のスタンス的に、求められてる物を出すより描きたいものを垂れ流してるって言う方が近いからね
「今も読んでくださる方に、最大の感謝をいたしますわ」
ーーその通り…フォロー数も6000を超えました。ここまで増えるとは思いもよらなかったのが正直なところ…。先程言った通り、質問とか疑問があればこういう場でお答え出来るものはしようと思うので何かあれば教えてください。ほら、「好きな遊戯王のカードは?」とかでも私、全然楽しいですしね。…あ、「大人な質問」の場合はノクターンにお願いします。今後ともどうぞよろしくお願いします
「ところで、私を「性女」呼ばわりした者についてお話がありますわ。住所氏名年齢生年月日職業家族構成日常ルーティンまで詳しく教えてくださる?」
ーーやっべ、逃げてくれ読者さん。ここは私に任せて先に行くんだ。2年後に、アルスガルドで会おう…ーー
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