第77話 嵐の遊戯


壁にめり込んだラジャンは自分の姿を見て戦慄した


彼が着ている鎧は「ガガンの魔鎧」と呼ばれる魔道具であり、加えられた衝撃や損傷を与えうるダメージを触れた瞬間に、着用者の魔力が自動でダメージを相殺する


金級の魔物による攻撃すらも、致命から無効化する防御性能は1つ購入するのに小さな家が建つような代物である


その制作には腕利きの防具職人が5人がかりで作り上げたマゼラン合金鉄による堅牢な鎧と三人の付与魔術が得意な魔法使いが作り出した名鎧は金級の冒険者にとっては夢のような魔道具だ


物理、魔法性能共に高性能に分類される強力な鎧だ



それが



「痛ぇっ!?よ、鎧がっ…そんな!?ガガンの鎧がこんな!?け、蹴られただけだろ…!?」



ぐしゃり、と少女に回し蹴りを受けたガガンの鎧はその胸に大型の魔物に踏み潰されたかのようにひしゃげ、あと少し鎧がひしゃげていれば自分の胸ごと潰されていたところだった


普通に考えて…


あのような闘士のようには間違っても見えない美少女から放たれた一撃とはあり得ないほどに桁外れな威力


本来なら痛みどころか僅かにでも飛ばされることは無かったであろう…筈なのに、闘技場の内壁に体が埋まる程の破壊力がこの身を襲っていた


あの一撃には純粋に考えて…少なく見積もっても水晶級以上の威力があったことに他ならない


ラジャンが慌てるのも当然だった


この鎧がなければ…それはほぼ致命の一撃を意味していたのだから



(なんだよあれ…!強化魔法かよ!?あり得ないだろ!どんな馬鹿みたいな魔力で強化したらこうなるんだ!?クソッ…魔法使いじゃ無かったのかよ…!)



悪態をつくラジャンがめり込んだ壁の穴から這い出てくると陽の光がさらに身に着けた鎧の惨状を照らし出す


へこむどころかほぼ変形に等しい程に形を変えヒビがそこから広がり、一部は断裂…とても金属を人が蹴ったとは思えない有り様にぞっ、としながら…体が軋むようなダメージが鎧を貫通しているのに表情を歪めた


そんな状態で、壁の穴から這い出た先で見たのは…自分を蹴り玉のように吹き飛ばした少女が鮮やかに白銀の棒を振り回し、不敵な笑みでこちらへ指を動かし挑発する姿…



「ッ…あの女…!」



頭に血が上る


自分が声をかけ、兄と自分の名に膝をついて従うことを誓わせ、自分達を取り巻く女の一人になる筈の少女が今…自分を見下すようにして挑戦的な視線を悠々と向けてきているのだ


こんなことが、あっていいはずがない


装備していた短剣と背中の小さなカイトシールドを手にする…魔法を無効化していることに変わりは無いのだ。先程は不意を打たれたが…このまま接近戦で慎重に仕留めてやればいい



「ほれ、我に近付きたいのか?くくっ…良いぞ、許してやろう。我の側に近づくことを、特別に許可してやる」


「偶然一発入れた程度で調子に乗んなよ!おい、賭けろ女!お前が負けたらお前は俺達の女だ!いいな!?」


「え?良い訳なかろう?貴様アホか?」


「なッ…に、逃げんのかよ!はっ…所詮魔法しか取り柄のない女は…勝てる自信が無いって吐いたようなもん」


「いや、賭けというのはお互いに何かを賭けねば始まらんだろう?何故、我だけがそんなリスクを負わなければならん。…賭けの意味、知っているか?」


「このッ……!」



予め、賭けでその身をテーブルに乗せようとするもこれに乗ってくる事もなく、挑発で返そうとするも不慣れな挑発に正論を返され言い詰まるラジャン


胡散臭そうにこちらを見る少女の視線がさらに不愉快を加速させる


怒りのままに、手にしたカイトシールドを前に出して走りだし、まずは接近…体の中心に構えたままそこに体重を乗せるようにして勢いよく少女へと突っ込む


つまり…シールドチャージ体当たりである


盾の硬さと自分の勢いを武器にした原始的な攻撃方法だが、自分と相手の体格差や体重差をくらべてこちらの方がその数字が大きい場合…それは大きな武器となる


ここに自身の肉体強化も合わせて突撃したならば、それはもはや魔物の突進と変わりない威力を発揮する


さらにラジャンは自分の脚部を守る革製の長靴に魔力を流す



『ドードブルの蹄』という名の魔道具であるそれは、着用者が魔力を流せば常人を遥かに超える脚力を得ることが出来る強化の防具


強化魔法無しに家を飛び越え矢のような速度で疾走することすら可能とするその力を利用し、突進の力をさらに引き上げると迷うこと無く少女の方向へ


なんの加減も技術も無い突進は、普通の人間が当たれば全身の骨が壊れかねない威力へと上昇を果たしていた


ほくそ笑むラジャンだが、目の前の少女は余裕を崩すこと無く…





「おごぇっ!?」



ーーガツンッ…!!



強烈な金属音と共にラジャンの息が詰まる声が響いた


ラジャンの突進は一瞬にして停止していた


少女は持っていた銀の棒を片手で端の方を持ち、ただラジャンの方向へと突き出しているだけで…ただ、何気なく棒を前に向けて伸ばしているだけのような姿


その棒の先端が…カイトシールドのど真ん中を突きラジャンの突進のエネルギーを完全に正面から堰き止めたのだ


それも、片腕で後退ることもなく…防具の先端を突進する自分のシールドのど真ん中を突く、という非常識な方法で


ラジャンはカイトシールドが突然、凄まじい勢いで止められたせいで自分の体が腕とシールドにめり込んで無理な急ブレーキにより強烈なGが体を軋ませ、肺の中の空気が全て逃げていったのである



「弱い。肉体を強化し、魔道具に頼ってこの程度か

。見るに耐えん…何を止まっておる?まさか大人しく当たってくれると思ったか?」


「ぐぇっ!?」



嘆息…深々と息を残念そうに漏らした少女は手にした棒を僅かに上へとずらすとビリヤードのキューのように片手で前へと白銀の棒を撃ち出しラジャンの額を小突き…


苦悶の声を漏らして仰け反ったラジャンの足元を払うように一振りで薙げば受け身も取れずに背中から地面へと転がる



「それ、やり直しだ」


「うおぉぁっ!?」



少女がくるり、と回した棒の先端を地面にトン、と打ち付ける…それだけで顔の肉が波打つような爆風がラジャンを襲い風で舞う木の葉のように地面を転がる彼の体を壁際まで弾き飛ばしてしまった


そう、彼が埋まっていた壁の穴の前に逆戻りしたのだ


地を転がりながら前を見れば先程と変わらない場所で、つまらなそうに少女がこちらを見下ろしている…そう、あの少女は一歩も動かず、片腕だけで自分をなんの手間も無さそうにあしらっている


その結果がラジャンのちっぽけなプライドをじりじりと焼くように刺激するのだ



「なんだ、貴様の玩具はもうタネ切れか?そのジャラジャラと付けた魔道具は飾りではなかろう?次はなんだ?その剣はどんな効果がある?首から下げた宝石は?ヘルメットの効果は?…それだけの魔道具があるのに、まさか手も足も出んなど無いだろう?」


「うるせぇぇぇッ!後悔すんなよお前ぇ!俺は魔導拳の勇者ゼネガルの弟だぞ!俺の誘い断っておいてまともに外歩けると思ってんのか!?あのゼネガルが黙ってねぇんだぞ!」


「…何を言い出すかと思えば「お兄ちゃん助けてー」と言うわけか…。小さい男よな。我、貴様のような情けない上に性根まで腐った男は趣味ではないのだ。それに…自分で「勇者ですすごいでしょー」なんて言って回る恥知らずなど、こちらから願い下げに決まっておろう?」


「こ…のッ……!」



少女の煽るような情けなさそうに見えるモノマネに血管が切れんばかりに顔を赤くするラジャン


立ち上がり、再び盾を構え、今度は短剣を前に構えるも目の前の少女は構えることすらしない


まるでなんの脅威とも取られていないかのようで…



「そもそも何を勘違いして勇者などと名乗っておる?かの勇者ジンドーがその名を轟かせるこの世で良くもまぁなんの羞恥心も無く勇者を名乗れたものだ。貴様の兄が何かしたか?」


「黙れッ!兄さんは他の冒険者よりも多くの魔物を殺してる!その分だけ人が助かってんだろ!魔物を殺して人を救う!勇者じゃない理由があるか!?」


「ほぅ…魔物を、なぁ。それだけで勇者を名乗るなど烏滸がましいにも程があるが…。では、それで比べてみるとしよう。それで?だ?」


「……は?」



ーー?なんの話だ?



「だ・か・ら…その自慢のお兄様とやらは?」


「え…そ、そんな事まで知るかよ!関係ない話で誤魔化すな!」


「大アリだとも。勇者とは世界を救う使命を帯びた者…決して魔物を殺して回るだけの者ではない。…とは言え、だ。そこまで言うのならば…魔物を殺すしか能が無い貴様のお兄様と、人も世界も救った勇者ジンドーが魔物を殺した数がどれ程違うかだけでも比較してやろうと言うのだ」



言い淀むラジャン…兄の活躍は聞いてみているがいちいち退治した魔物をカウントしている筈もない


しかし、幼い時から見ていた兄の姿はその辺の者に負けるはずもないのだ


たとえ勇者と言えども、自慢の兄とならば…



「ふんッ…5000や6000は余裕だな。もしかしたら7000にも届くかもしれないぜ?どうだ?少しは考え変わったか?」


「ふむ。…どれ、アマテラスさん…。…ほぅ、そんなにか…ふむふむ…」


「おい!聞いてんのか!?あまりに多くてビビってんのかよ!今更遅ぇぞ!勇者ジンドーだってここまでの戦果は上げてねぇってことなんじゃ…」












、だそうだ」


「…はぇ?」



ラジャンの魂が抜けたような声が漏れる


桁外れなんてものじゃない…今、少女はなんと言ったのか理解が追いつかない


ラジャンは兄の背中だけを見て生きてきた。そう…他の者の活躍なんて目に入らないくらいに、夢中でその背中だけを見つめて…


自分の世界では兄こそが最強


兄と自分こそ世界の中心


だから…知る由もなかった


勇者ジンドーが、どれ程の怪物なのかを前評判で「強い」「世界を救った」としか聞いていないラジャンは本当の勇者がどんな存在なのか知る由もなかったのだ



「て、適当言ってんじゃねぇよ!あ、あり得るかそんなの!」


「うむ。まぁ自然な反応よな。だが…残念ながら事実のようだ。だがそれを踏まえて言うならば…………よくもまぁ、勇者などと自称したものだな」


「黙れ黙れ!もう加減してやらねぇ!『ボム・フレア』発射ファイア!」


「お、魔法射出の魔道具か」



構えた短剣の切っ先から放たれる赤い光球は火属性魔法『ボム・フレア』


着弾すれば爆発と熱によるダメージを与えるシンプルな魔法であるが、その連射性能こそが強みである


装備者の魔力を使用してマシンガンのように連発が可能であり、そしてこの装備のコンセプトの要でもあった


防御を上げ、相手の魔法を封じ、こちらは一方的に魔法でうちのめす


ヘルメットには魔力消費を軽減する能力が付与されており、カイトシールドには撃ち出した魔法の威力を少しだが底上げする能力がある


とにかく、目の前の少女をねじ伏せるために乱れ撃ち…自分の魔力がみるみる減っていくのも構わずにこの少女を自分にひれ伏させる為だけに使い果たす気で撃ちまくる



そして…目を見開いた



自分の放つ魔法は少女に命中する寸前で…彼女が目にも止まらぬ速さで振り回す白銀の棒が尽く弾き飛ばしているのだ


発射速度は優に機関銃のような速度にも関わらず、その手元が速すぎて見えない程の速度で華麗に振り回し、体に命中する直前に片っ端から叩き落としている


白銀の棒に纏わせた風が着弾しても爆発させずにボム・フレアを無力化し、そんな異常な速度で振り回しながら…徐々にラジャンに向けて歩いてきているのだ


その少女の顔に…愉しげな笑みが浮かんでいるのを見てぞわり、と背筋が凍り付いた


なんの抵抗もなく連射される魔法の中を歩いて此方に向かってくる姿はあまりに異常…



もう目の前まで来てしまうーー



その瞬間に、舌打ちをして不意打ち気味に手にした短剣で斬り掛かった


相手の獲物は長い…近寄ってしまえば短剣と盾による密着戦はラジャンの方が圧倒的に有利だからである


距離は人一人分…そこまで飛び掛れば…そう思ったラジャンの短剣を、真横から白銀の棒が弾く


まるで扇風機のファンのように真横に回転させた棒が狙いすましたかのように迫る短剣を弾き反らし返す一撃が鎧を穿つ



「がぁっ!?」



それは止まること無く…まるで嵐のようにラジャンを襲った


たおやかな手付きで振り回す棒がブレて見えない速度で旋回し、その先端をラジャンの鎧へと叩きつける



「ぎぁっ!?」



ガガンの鎧の効果でダメージが減退している筈なのに…骨が砕けそうな衝撃が絶え間なくラジャンに襲い掛かる


まさに乱れ打ち


構えた盾すら一撃で腕ごと跳ね上げさせ、がら空きになった胴体の鎧を滅多打ちにしていく



「ぐべぁっ!?」



ーードガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーッ!!



まるで巨大な太鼓でもかき鳴らすように、少女の連撃は止まらない


耳障りな金属を穿つ音が絶え間なく響き渡り、盾と短剣を構える余裕など完全に消え失せただ打ち続けられるサンドバッグと化したラジャン


もはや立つだけで精一杯となったラジャンに向けて最後の一撃として少女はその鎧のど真ん中に向けて…




なんの威力も込められていない、ただのデコピンを当てた




それが、コツン、と音を立てて鎧を指先が弾いた瞬間ーー



バギャッッ、と聞くに堪えない破壊音を立ててガガンの鎧は粉々に砕け散ったのである



「ふーむ…案外方だのぅ。だが命を預けるには頼りない。どれ…次の守りも剥ぎ取るとするか」


「ゲホ…ぉ…ッ…な、ん……お…前ぇ……!」


「知っておるか?この手の魔道具は性能を超えた負担がかかるとオーバーヒートを起こして素材となった媒体は破壊される。くくっ…どれくらい保つかのぅ?」



少女の手が…不気味に新緑の輝きを宿した


ダメージに喘ぐラジャンは咄嗟にベルトに吊るされた2つの宝玉を触りその機能を開放する…即ち、魔法を弾く機能と術式を乱す機能の2つだ


この機能がある限り、自分に魔法攻撃は通用しない…


その筈なのに、なぜこんなにも頼りなく感じるのだろうか


新緑の輝きが彼女の人差し指と中指の二本指に収束し、星のようなつよい輝きを放ち始めた


どんな魔法か検討もつかないラジャンは体に打ち込まれたダメージで立つことすら覚束ない


その指が、そっとラジャンへと近づけられ2つの宝玉による防御圏内へと触れたその瞬間…



ーー刻真空撃エストレア・ディバイダー



空気が割れるような音が、響いた


鼓膜が破れそうな音はあまりにも異質で普通は耳にできないような音と共にラジャンのベルトに吊るされた2つの宝石は…割れることすら無く砂のような粒子となってボロボロに崩れ去ったのだ


普通に考えて勝手に宝石がザラザラと崩れることは無いーー


魔法効果を使用する為に宝石へ刻まれた回路が、一瞬にして最大の効果を遥かに超えてしまいオーバーヒートの末に媒体となった宝石が耐えきれずに崩壊したのである


この2つの宝石は少なくとも、ペトラの上級魔法に分類される嵐鉄の旋刃メタルサイクロンを止めるほどの効果があった


一級品の魔道具であったのは間違い無いにも関わらず…


指先に宿した魔法がその防御圏内に触れた瞬間…





一方的すぎる実力差


身に着けた防御装備が何一つとして役に立たない


その事実にラジャンの口が何かを言おうとパクパクと動くが、何も言えない…何を言えば良いのかわからない


自分が一体…何を相手にしているのか…それすらも理解出来ない


今、自分はどんな魔法を近付けられたのかも、その末端すら不明


この2つの宝石が崩壊するほどの魔法が…もし自分に触れていたらどうなっていたのか……



「さぁ、終わりにしてやろう。ルールだからな、殺しはせんよ…だが、二度と我らに近づけんようにしっかりとをしておかんとな…」


「あ、あっ…うわァァァァァァァァァっ!発射ファイアッ!発射ファイアッ!発射ファイアァァァッ!!」



目の前の少女が妖しい赤い瞳でこちらを見下ろしながら手にした白銀の棒を振りかざしてトドメを刺すべく動いたのを見れば


短剣を突き出し、全力で込められた魔法「ボム・フレア」を乱れ打ちするラジャンは半ば錯乱したかのように後退りながら声を上げた


遠距離も近距離も勝てない、防御は貫けない、こちらの防御は意味を成さない…ならばもう、こうするしか無くなったのだ


当然のその魔法攻撃は目の前の少女へ…




「む?どこへ撃っておる?」



…目の前の少女へは一発も放たれなかった


その両脇を綺麗に逸らすようにして魔法が通り過ぎていったのは少女がその身を魔法で守ったからではなく、元から当たる弾道ではないからだった


しかし、その意味を……ペトラは予選終了の大銅鑼が鳴り響いたことで理解する



「…成る程。無難に生き残る策を取ったか。うぅむ…ちと興が乗って遊び過ぎたかのぅ?ま、楽しかったから良しとするか」



目を細めて少し納得が言った様子のペトラは背後を振り返る


そこには…遠くで煙を上げながら倒れる数人の選手の姿があった


今、乱れ撃ちした魔法はペトラを狙ってはいない…そして、闇雲に撃ったわけでも無さそうだった


他の選手を狙ったのだ


自分が負ける前に、この予選を終わらせる為に



「少しは頭が回るではないか。うむ…我も少し周りを見ておらんかった…これも油断、か。仕方ない、はトーナメントまで取っておくとしよう。…そうだろう、ラジャン・クラシアス?」


「クソッ…クソッ…!覚えてろ!こんなんじゃ済まさねぇ…!見てろよ…俺達のモノにしたらコケにした分返してやる…!」



自分の前からヨロヨロと走り去るラジャンを見送ってつまらなそうに鼻息を漏らすペトラ…はっきり言って、大した脅威ではなかった


金剛級冒険者の弟と来ればどんな相手なのか…少し警戒していたにも関わらず、蓋を開けてみれば魔道具頼りの戦闘経験はそう多くなさそうなお子様だったのだ


それが賢しらに自分や親友の体を狙っていると言うのだから…虐めてやろうと思ってつい興が乗ってしまったのである



(…仕留め残ったのは素直に我の失態だな。大して強くなかったが、あの場で潰しておかない理由も無かったのは事実…そこは、あやつの機転が効いたと言うところか)



結果として、逃がしてしまったのはペトラの失敗だと悩むところではあったが闘技場の乱闘という変わった闘いやら体に漲る元気やら精力のせいでテンションが上がっていたのは否めない…


ゲートから退場するペトラは「うーむ…」と悩ましげに唸りながらも「ま、良いか」とさっぱり諦める



ーーシオンはライリーという好敵手をトーナメントに残しているのだから、自分もが残っていても悪い話じゃないだろう



カナタの前ではヤラれちゃうのがペトラだが…敵の前では一方的に強気で責める


その姿に…客製のカナタ達は「おぉぅ…」「なかはか…」「…あり…っ」と三者三様の反応を示しているのであった






「な、なんか凄かったなペトラ…。そんなに気合い入ってんのは意外というか…」


「意外な事はあるまい。目指すは優勝ただ1つ…というのはついでだ。我らはそなたに武勇を示すためにここに居るのだぞ?気合いも入るというものだ」


「でもペトラ…絶対いつもよりやる気入ってましたよね?…やっぱりですか?沢山入れられるとハイになってしまうんですかっ?」


「まったく……その通りだシオンっ」


「その通りじゃないよ!?」


「…やっぱりっ…!…きっとカナタのは特別製…っ!……効き目が段違い…っ!」


「効き目とか言わないでくれるかね!?俺はドーピングでも麻薬でも無いんだけど!?」



ゲートの先で出迎えたカナタ達


長椅子に座ったカナタの膝の上に横向きにしっかりと乗っかって機嫌良さそうにしているペトラが自信満々に言った言葉はカナタの悲鳴のような言葉で返される


カナタの両側に座ったシオンとマウラも「やっぱり…!」とちょっと顔を赤くして言っているのは…そう!


ペトラのノリノリな戦い方を見れば何かが違うのは一目瞭然…つまり、今回一番特別な事と言えば…そう!カナタが一晩かけてペトラにたっぷり仕込んだせ……に他ならない!


シオンとマウラが沸き立つ中でペトラまでその効き目を断言し始めればいよいよカナタは人間ドーピングの可能性が出てきたらしい…いや、普通に気の所為の筈だが…


そんな人間辞めてる能力はいくらその他怪物的なカナタと言えども丁重にお断りしたい能力だ


仮面の目をピカピカ光らせながら必死で否定するも…何故だろう、シオンとマウラの視線がちょっと捕食者的なのはきっと気の所為ではない



「ま、まぁそれは置いといて、だ。あれが勇者君の弟だったんだろ?…なんか全然強くなさそうだったなぁ」


「というか、はっきり言って弱いぞ、あやつ。闘いのなんたるかが何も分かっておらん…読み合いも無く、策略も陳腐、道具に頼り切りで実力は伴わないと来た。まったく…ライリーと闘ったシオンが羨ましいくらいだ」


「強いのは本人だけ…という事なんでしょうね。恐らく、張り付いて行動してるだけなのではないですか?」


「ん…言えてる……あ、ほら…あそこ…」



ペトラと闘った勇者の弟というラジャン・クラシアスははっきり言えば弱かった


闘っていたペトラからしても、見ていたカナタ達からしても明らかに強者とは呼べず、戦闘…特に対人戦は素人と言って差し支えないレベル


ラジャンから兄のゼネルガ・クラシアスの実力を測るのは少し難しそうである


金のかかる魔道具ばかりを装備していた…それはつまり、金剛級冒険者である兄のゼネルガが得る莫大な報酬で揃えられている可能性が高い


戦闘不得手な弟へとせめてもの自衛手段を渡していると考えれば微笑ましいが…



そんな中でマウラが指差した先には先程戦闘を行っていたラジャン・クラシアスが居た


なにやら色々と喚き立てるように声を上げているようだがその相手は、ラジャンよりも背が高く同じ色の薄い金髪に世間ではイケメンと揶揄される整った顔つき、細身ながら鍛えているような体には金と銀を織り交ぜた雄壮かつ豪奢な鎧に包まれておりその様相はまさに物語に出てくる貴公子然としている


はっきり言ってかなり目立つ容姿だ


成る程…絵物語だけを聞いて育てばあの見た目は勇者っぽく映るかもしれない


その男…ゼネルガ・クラシアスが喚き立てるラジャンが指差す方向を振り返る…そう、こちらの方へ



(うわぁ…すっげぇ嫌な予感…)



ゆっくりと歩み寄ってくるゼネルガに猛烈な不穏を感じるカナタたが、その表情はヘンテコなマスクで見えることがないのが残念だ…



「のぅ、カナタよ。トーナメントは明後日だろう?今日と明日は観光にせんか?ほれ、オアシスに入れる筈だし」


「あ、そうですね。折角色々と買ったのだから泳ぎに行かないといけません。明日もゆっくり出来ますし、少しても大丈夫ですからね」


「んっ…!…いいね、オアシス…っ。…日焼け抑える魔法薬買ったから……塗ってね、カナタ…?」



自分を囲む3人の少女はぜっぜん気にしてない!


なんかちょっと桃色な話に花を咲かせていてそれどころではなさそうだ


カナタとしては是非とも「はっはっは、こいつぅ☆」とそっちの話に顔を出したいところなのだが…わざわざ自分の前に面と向かって立つこの男の対処は自分がしなければならないだろう



「マスクの男、名前は?」


「以外だな。用があるのは俺なのか?」


「そんなに目立つ見た目をしていれば話しかけたくもなるさ。まぁ、確かに用があるのは君じゃないけどね。そう、君達さ」



てっきり自分には話しかけないと思っていたカナタの言葉に肩をすくめるゼネルガだが、あっさりとそれを認めてカナタを囲む三人の少女へ視線を向ける


そして、その上でカナタの膝の上に座り、肩をカナタの胸に寄せるペトラへと視線を向ける



「まずは君だ。不肖の弟と闘った君…うん、近くで見るともっと魅力的だね。強さも美しさも…まさに、俺のパーティに相応しいよ。隣の2人も、予選は見せてもらったが…その強さも、愛らしさもまさに俺の為にあるようだ」


「勝手な事をほざくのは弟と変わらんな。そこでこっちを見てる弟も、なにやら自分の都合ばかりべらべらと語るような魅力の欠片もない男だったが…」


「ははっ!これは手厳しい…しかし、弟と俺は違うよ、お嬢さん。それは俺のことを知らないからさ。俺のパーティは「光の行軍」…つまり、この俺…魔導拳の勇者であるゼネルガ・クラシアスが率いるんだ。どうかな?君達、何か断る理由があるかな?」


「悪いな、勇者殿。3人とも俺の一味でな、他をあたってくれ。目の前でそんな話をされて、大人しく「はいどうぞ」なんて言うとは思ってないだろ?」


「身の程を弁えた方がいい、マスクの男。この勇者ゼネガルに麗しい少女達を献上できる事を、むしろ誇りに思うべきだ。それとも…君達は関係だったりするのかな?」


「…見てわからないか?」



やはり、この弟にしてこの兄と言うべきか…


どうやらこの男、他の予選も見て品定めをしていた らしくシオンとマウラにもしっかりと目を付けていたようだ


案の定というべきか…絡まれるなら彼女達関連だとは思っていたがここまで直球で彼女達を寄越すように言ってくるとは思わなかったカナタは深く溜息をついた


まるで茶化すように恋愛関係があるのかを聞いてくるゼネルガに、膝の上というこの上ないポジションに収まっているペトラが見えていないのか…?と呆れの声で伝える


ペトラはカナタのそんな声に合わせるように両手をカナタの首の後ろへ回してその首筋にキスを押し当てた…そう、見せつけるように…あからさまに見せつけるように!


このゼネルガを焚き付ける行為を受けて平然とした態度の中でカナタは思った…


ーーそこまでしろとは言ってない…!


そして、以心伝心の少女達にこの思いはしっかりと伝わるはず


2人は顔を合わせて考えが通じたように頷きあった…そして…



シオンはカナタの手を自分の腰元に当てさせて体を擦り寄せ、まるでカナタに抱き寄せられるかのように体重ごとしっかりと密着


マウラはカナタの手を自分の頬に押し当てさせるとすりすりと柔らかな頬を擦りあて、その胸に寄りかかるように倒れ込んだ…



ーーぜんっぜん通じてねぇ!?あーあっ、ほらめちゃくちゃ不機嫌そうな顔してんじゃんこいつ!明らかに「こんな変なマスクの奴に俺が負けた…?」みたいな顔してる!




「…この魔導拳の勇者より、こんな訳の分からないマスクの男の方がいいのかな?」



ーーほら見ろ!やっぱり思ってるじゃん!



カナタの予想は当たりまくっていた…!


マスクの中では白目を向きそうになりながらも彼女達を抱き寄せ、撫でる手は何だかんだいいつつも自分から動かしており、引き攣った顔がマスクで見えない状態ならば悠然の美少女3人を侍らせる姿の出来上がりだ



「…ことだ。諦めて別の奴を探せ」


「そういう訳にもいかない。この俺が見初めたんだ……あぁ、そうか。対価が居るのかな?そうだね…2000万でどうだい?」


「脳味噌足りてるか?こいつらは非売品だ…お前にとってはとても残念なことに、3人とも髪の一本から魂の一片まで俺の物だ。失せろ」



カナタの語気が強まる


まるで金さえ積めば手放すとでも言うかのような物言いに流石のカナタも青筋が額に浮かんだ


しかし、そんなカナタにゼネルガは首を横に振りながら手のひらを彼に向けて「やれやれ…」と言うように溜め息を漏らしてわざとらしく視線を少女達に向ける



「いや、もう君の意見は必要ないよ。彼女達が「うん」と言えばそれでいいんだからね。さぁ、俺と一緒に行こうか。こんな怪しい男とは比べるべくも無いだろう?こう見えて、俺は金剛級の冒険者でね。欲しい物も何もかも、俺の女になれば手に入る…この大会に出たのも名を売りたかったんだろう?そう…君達は幸運にも、このゼネルガの目に止まったのさ。だから…」



あくまで、選ばれるのは自分…自信なのかプライドなのか、それとも確信でもあるのか…優しく語りかけるように、まるで親切で言ってあげるようにシオン、マウラ、ペトラの3人へと視線をわざわざ合わせようと顔を覗き込ませて語る


恐らく、容姿も武器にして誘い込みたいのだろう


確かにカナタより顔はアイドル的というべきか、若手のイケメンに間違い無い


年頃の少女ならば、この笑みと声にころり、と心を射抜かれ……






「あ、そうです。まだ新しい水着を見せていませんでしたね…ふふっ、明日しっかり見てもらいましょう。それか…今夜、使を試してみますか?」


「のぅ、早う帰らんか?昨晩は時間がなかったから不完全燃焼でな…今夜こそたっぷりもらわんと燻りが収まらんのだ…」


「んっ……ずるいっ…!…今夜は私から…溢れるまで…?…ちょっとそういう気分だから……激しくシちゃうかも…っ」



いや全然そんな事無かった


それはもう全くと言っていいほど相手にしていなかった!


なんなら自分に話しかけているとは思っていない程に華麗なスルーを決めながら、カナタに擦り寄って朱に染まった頬で恥ずかしい夜のお誘いを彼女たちの方から仕掛けてみせている!


もはや興味の欠片も示していない!



「まったく…こんな真似はしたくないんだけどね。誰の誘いを断っているのか、まだ理解できていないみたいだ。弟に勝って随分と調子付いてるみたいだが…これは俺が直々に躾をしてやらないといけないかな?」



これにはゼネルガもかなり堪えた様子だが、ここまで女性に相手にされないのは初めてなのだろう


自分が選ばれて当然の筈なのに自分が誘った少女達は欠片も相手にしていない…その事実は彼を大いに苛つかせていた


ペトラの肩を掴むべく、手を伸ばすゼネルガ


この手で、自分という男を理解させて自ら自分の女として降らせる…そうしなければ腹の虫が収まらない


少し可愛がってやればすぐに頭を下げて謝りながら自分の前に膝をついて仲間になると懇願する…





















『兄さん、冒険者なったの!?すげー!俺もなる俺もなるー!』


『ラジャンにはまだ速いさ。そうだね…将来はパーティで一緒に旅をしよう』


『やったぁ!約束だよ兄さん!』




『ゼネルガ、これで俺達も水晶級だな。ここらじゃお前が若手のエースらしいぜ?』


『そうなのかい?へぇ…そう言われるのは少し恥ずかしいね。これでもギリギリなんだけどね』


『謙遜すんなって!お前はまだまだ伸びると思うぜ?俺はそんな気がしてんだ!』




『君の金剛級はすぐに通るだろう。しかし…最近の君は少し身勝手が過ぎる。金剛級は人格も問われるランクだ。気を付けた方がいい』


『俺は自分の価値に応じた物を得ているだけさ。ここまで順調に来て今や金剛級…俺はそれをしていいだけの価値があるってことになる』  


『はぁ…兎に角、バカをやってるとその内お咎めが下るぞ。調子に乗りすぎるなよゼネルガ』




『はぁ!?勇者を名乗るだぁ!?馬鹿言ってんじゃねぇ!子供のごっこ遊びじゃねぇんだぞ!』


『知ってるさ。俺は金剛級に上り詰めた…ならその上は?ここで行き止まりなのか?…いや、違うね。英雄には英雄に相応しい称号が付くものだ。それが俺の場合…『勇者』だったに過ぎない』


『勘違いしてんじゃねぇ!んなパーティには俺達だって居られねぇぞ!聞いてんのかゼネルガ!?おいーー』






ーー





ーー





ーー




(…何だこれは?夢?こんな時にか?昔のことが次々と…そんなことを思い返してる場合ではないんだけどね。この少女達を俺のモノにしてあげないと…)


突然、目の前に懐かしき日の記憶がビデオを切り貼りしたような所々で脳裏を埋め尽くした


しかし、そこに疑問を覚えながらもゼネルガは銀髪の美少女の肩を掴もうとして、止まっていた自分の手を動かそうとして、ふ、と自分の手に違和感を覚える


妙な感覚に、くるり、と手のひらを自分に向けて見てみれば…まるで今手を洗ったばかりかのような手汗がべったりとその肌を濡らしていた


いや、手だけではない


今、鼻のラインを伝って落ちてきた水滴は自分の汗だ


それも、全力の運動をしたような酷い汗のかきかた…いや、そもそも…


なぜ自分の呼吸はこんなに、空気が薄い場所にいるような荒く深いものになっている?





「…おい」


「ッ!」



その低い声に、目を見開いた


声を出して、その不遜な物言いを咎めようとして…口が開かない事に気がついた



「その手を下げろ。…2度は言わねぇぞ?」



ーーぶわぁぁっ!!



その言葉を聞き終えた瞬間……一気に


汗腺が壊れたかのように全身から滝のような汗が流れ出した


ゼネルガは自分の体に起きたその異様な現象に、懐かしの光景にようやく、何が起きたのかを理解する



(まさか俺が……ッ……こ、こんな男の殺気を受けてーーー!?あり得ないッ…俺が、金剛級冒険者にして魔導拳の勇者である俺が…これ以上手を伸ばすのがなんて…!!そ、走馬灯を見たということは…それはつまり……ッ)



それはつまりーーーーー




自分は次の瞬間、死んでいた可能性があった事に他ならない




目の前のマスクの男が、今こうして手を伸ばした瞬間に自分を瞬殺することが出来たということを、自分の本能と経験が認めたことに他ならないのだ



「うん、魔導拳の勇者殿は少し気分が悪そうだな。ここらで俺達は失礼させてもらうか」



何もなかったかのように、マスクの男は立ち上がる


自分の目的であった、本来ならば今頃この身の横に侍らせる予定だった銀髪の少女を横抱きして、二人の少女を横にぴたりと着けて振り返ること無く歩み去る


その背中に対して…ゼネルガは制止の言葉を吐くことが出来なかったのであった


いつもならば、そんな真似はさせない筈なのに…動くことが出来なかったのである







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





【後書き】



◯お題ーー好きなプレ…



「言わせるか!その話は本編こっちでしたらマズイだろうが!」


「語り尽くそう、夜明けまで」


「己の癖を吐き切らなければ明日は拝めません」


「…羞恥心は……未来に置いてきた……!」


「よせぃ!その話はしたらこの小説に明日が来なくなっちまう!」


「落ち着くのだ、カナタ。何も可怪しな話をする訳ではない。ただ…」


「え?そ、そうだよな…流石にこの話をはこっちでしないよな…」


「ただ、『挿れて』『動かして』『出される』…この3つの行動について理解を深めるだけのことだ」


「だからアウトだって言ってんでしょうがっ!?この小説ただでさえ下ネタ多めの路線なのに明けっぴろげに話し始めたら官能小説になるっての!」


「ちなみにカナタ…『後ろから』と『下から』と『前から』ならどれが好きですか?」


「ヤメテ!俺の癖をここで暴こうとしないで!」


「…じゃあカナタ……『小柄スポーティ系無口獣人』と『グラマー敬語文系眼鏡エルフ』と『スタイル神憑りクール系古風魔族』なら…どれが好き…?」


「全部だよチクショウッ!!」


「その調子だ、カナタ。では『お外』と『自宅』と『学校』ならどこでするのが好きだ?」


「だから全部だよバカヤロウッ!!」


「では『強気でガンガン責めてくる受け弱いじめ甲斐ありすぎ獣人』と『かなり激しく力強くシてくれるの大好きMっ娘エルフ』と『超テクニシャン再戦回数最多保持魔族』なら…誰とするのが好きです?」


「全部って言ってんだろコンニャロウッ!!」


「「「…えへへぇ♪」」」


「くぅっ…い、言わされた…!なんという羞恥プレイ…!って言うか答えてんの俺だけかよ!?お前らは!?」


「「「全部」」」


「質問する前から答えが!?えと…じゃあ入れて欲しいのはどこ…?」


「それはまぁ、外からは臍の下の辺りにあって…」


「……袋状で下腹部の奥にある…」


「命を宿す為の大切な器官…これ一択ですね」


「ふぐっ……あ、ありがとうございます…っ!」


「では実際に今からしましょうか」


「うむ、折角好みが分かったからのぅ」


「んっ…れっつちゃれんじっ…♪」


「ハメられた!?」


「何を言っているカナタ…ハメるのはそなたの方ではないか」


「むしろハメられるのは私達の方ですね」


「んっ…気合い入れて……搾り取るぜ…っ!」


「えぇい!纏めて返り討ちにしてやらぁ!」






〜主人公、返り討ち中(96時間経過)〜






「ふぅ…少しハードにし過ぎた…これ当分あいつら起きてこないんじゃ…」


「さて、ちなみにですが…『反則ボディラインお嬢様系お姉さん聖女』はどうですの…?」


「アレェ!?なんでラウラがここに!?」


「どうですの…?」


「い、いやちょっと待って…それはここではまだ…」


「…どう、ですの…?」


「大好きだよクソぉぉッ!!」


「…ふふっ。楽しみにしてますわね?」




※作者は作品にアダルティを匂わせる下ネタをド直球に仕込むのが結構好きです。ご注意下さい…



「注意喚起遅すぎだろ!?この後書き読ませた後に書くなよ!」


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