第58話 勇者、邂逅

静かな夜…街は最低限の灯りだけを残して静まり始めており、丁度日付が変わる時間だろう

夜遅くまで開かれている酒屋の類はむしろ搔き入れ時と賑わいを増していき、それに反して商店や民家からは明かりが消えていく


夜の風が緩く吹き抜ける音だけがやけに大きく聞こえ、喧騒も聞こえず街の中心であることを忘れてしまいそうな程だ


そんな街に囲まれた中心であるこの場所…セントラルと呼ばれる場所の中庭は魔法灯による柔らかな照明が光を降ろす植木や花が多く植えられ、柔らかな芝に一面を覆われた美しい場所である


そこは一般の信徒や関係者は一切の立ち入りを禁止された上級立ち入り区画でもあった


セントラルの中でも枢機卿への直接面会が可能な大司教クラスでなければ自由に出入りを許されない通称『大庭園』と呼ばれていた


白亜の城とも呼べる巨大建造物の中心に近い場所だ


そんな所に2人の少年少女の姿があった


若く、そしてレルジェ教の高位信徒の緩服…言わば礼服の真逆である屋内用の緩やかな寝間着に近い服装であり、ゆったりとした簡素な長袖と幅広の長ズボンのような格好で、どちらにも金の刺繍でレルジェ教を印す刻印や線が引かれた目立つものだ



「随分と慣れたんじゃない、耀?今日の訓練も、随分と動けるように見えたものね」


朝霧さぎりさんだって、多分僕より…いや、蓮司や瑠璃さんよりも成長が早いよ。僕はまだいまいち魔法の方が練習足りないかな」


「そう?でも、面白いわよね。日本では何にもやって無かったのに、こっちで体動かしてみたらオリンピック選手も真っ青よ?おまけに、ほら」


黒髪を後ろで1つに結った凛とした美人である朝霧がその場でぴょんっ、と飛び跳ねれば優に5mは軽く宙に浮かび上がり何事もなかったかのようにすとん、と着地をしてみせた


それを見た少し背の低い少年…長めの髪で目元まで少し隠れた、少年にしては少し声の高い声で可笑しそうに笑う耀


「ちょっと人間辞めてる部分ありそうよ?これ」


「あははっ、確かに。僕も素手で石が潰せた時はなにかの冗談だって思ったよ。でも、それより朝霧さんは魔法がかなり使えるからね。氷系の魔法、だっけ?」


「そうね。案外コツが掴めれば簡単よ?それに、使い方次第では耀の魔法の方がこの先役に立つわ。…ねぇ、胡散臭いと思わない?」

 

「…しっ、あんまり大きい声は聞こえるよ。…正直、かなり臭うと思ってる。僕も暇な時間で書庫に通って色々と読んでるんだ。魔物の書物とか魔法辞典とか、あとは歴史書なんだけど…この歴史書が厄介でね」


「そう言えばよく姿消してるわね。書庫に居たのね耀…それで?なにかわかったの?」


「正直、蓮司と瑠璃さんはこの状況にかなり浮かれてるから話せないけどね…。魔神とその配下の魔神族による襲撃、魔物の進撃よって何百年も前に異界から侵攻してきた彼らは世界を制圧して人類を滅ぼす王手を掛けてた。ここまでは良いんだけどね…この先が抜き取られてるんだよ」


「抜き取られてる、ですって?」


「うん。次の歴史書に進むと、近代になって魔神を撃退して世界に平和が訪れた…それだけが書いてあるんだ。誰がどうやって、どんな戦いで、何を行って、どんな犠牲を出して…今まで全部鮮明に書かれてたのにそこから急に大雑把というか…」


耀の顔色は優れない

元より朝霧はこのレルジェ教国に対してかなり懐疑的であり、そこから俯瞰的に見れる性格の耀に話をした結果、彼もまた様々な調べ物を経て出した結果が



「レルジェ教国は真っ黒である」



という物だったのだ


現在は4人で教国の戦士との模擬戦や手解き、たまに捕らえてきたらしき魔物との戦闘を訓練として行う日々を送っているのだが、蓮司と瑠璃は勇者や英雄という単語に強い憧れやロールプレイ感に浸ってしまっている節があり、この話をしては自分達4人が分裂する可能性すらあった


最初は血を見るのも吐き気を催した物だが、手にした魔法というファンタジーや人や自分の知る生物とかけ離れた魔物が相手という事も相まって慣れるものである


蓮司と瑠璃はこの事で勇者としての全能感というか…万能感に浸っており、既に勇者になりきったつもりの行動が見て取れるくらいなのだ


レルジェ教国はこの二人をさらにおだて、褒めちぎり、讃えてしまう事がさらなる増長を加速させる結果となっていた


「ねぇ、ちゃんと私達に変な魔法とか掛かってないわよね?隷属とか爆弾みたいな…また調べてくれない?」


「…うん、定期的に調べた方がいいよ。じゃあ……森羅を解き万物を読み解く…『万象看破マスターアナライズ』」  


朝霧の望みに応じて、耀が自身に宿った魔法を行使する


魔力の光が蛍のように舞い上がり耀の眼が月のような優しい光で満たされ、その視線で朝霧の体を頭から足先まで見通していく


時間にしてわずか数秒…彼の眼の光は静まりを見せる


「ふぅ…大丈夫、何も無いよ」


「ありがとう、耀。…やっぱりすごい魔法よ、それ。その魔法が無ければどれだけやり辛いか…」


「まぁ、戦闘にはからっきし使えないんだけどね。僕の魔法…『真羅天誠ザ・シャーロック』なら、そういう不正みたいな魔法は全部分かるから」


「それに、その魔法の鑑定ってかなり凄いでしょう?…視たのよね、鑑定で世話係のデルツェフ枢機卿の事」


「うん。…凄い魔法を持ってるよ、あの人。魔法名『魔手暴操デモンズ・ストライク』…魔力で出来た巨大な異形の手を操って攻撃、本来自分では操れない大魔法も、その手を使って発動できるみたいだ」




真羅天誠ザ・シャーロック


それが南耀の持つ特異魔法の名前だった


こんな早期に全員が自分の持つ魔法を認識して、それにあった魔法の習得を行えたのは彼が持つこの魔法のおかげであった


言わば、最高位の鑑定、看破系の魔法


魔法を突き詰めた枢機卿の隠蔽すら、自覚して間もないその魔法によって素通りして、その魔法や特性まで丸裸に出来てしまったのだ


さらに、魔法の鑑定から魔道具の鑑定まで全てに作用させることが可能であり、まさに名探偵の名を冠するに相応しい魔法である

加えて、その魔法特性から常に真実を見ることが出来るパッシブ特性のような物があり、これにより耀に対する洗脳や幻覚、幻惑の類は一切効果を示さない


まさに真実の語り手であり、守護者となる魔法であった


その鑑定能力は凄まじく、彼には鑑定した朝霧に被ってこう見えていた


〘名前・芽原朝霧〙

〘職業・勇者〙

〘出身・地球、日本〙

〘魔法・氷晶烈凍クリオ・フリーズ

〘二つ名・無し〙

〘魔力量・176600(数値化による誤差あり)〙

〘来歴・東京都出身の少女。性格は友人想いながらも俯瞰して物事を捉える事が出来、年齢に反して幼少期から大人びた性格であった。両親と弟の4人家族であり、家族仲は良好。特技は短距離走とチェス。好物はメロンと漬物、嫌いな物は猛暑。趣味は小学生高学年の頃からファンタジーやフィクション、漫画やアニメ、ゲームの類。小学校は有名な一貫校で大学までエスカレーターではあったが、家も近く仲が良かった幼馴染の同級生が小学6年生の頃に謎の失踪を遂げ、そのショックから不登校になり後に転校。その後、現在の高校へと進学する。高校2年生の春頃、レルジェ教国が行った勇者召還により勇者として異世界アルスガルドへと転移する〙


見ようとすればさらに詳しく見れるが、大雑把に鑑定してもこの程度の情報は表示されるのだ

魔力量に関しては恐らく、無理矢理数字で表現しているらしく、ある程度の誤差があるのだが言ってしまえばある程度は見えてしまう…戦闘前から相手の脅威度を測るにはもってこいであった


しかし、故に戦闘そのものに関与する事は難しい魔法でもある

現在、耀はその多量の魔力を一般的な攻撃魔法と体術による強化に回して戦う先方を取っており、むしろ特異魔法との組み合わせをあまり考えないで良い事から訓練はしやすいのだとか


「でも朝霧さんの魔法も凄いよ。攻撃範囲とかで言えば誰も勝てないと思う」


「まぁ、敵に近寄らなくて良いのはラッキーよね。…ねぇ、耀…私達、元の世界に戻れると思う?」


「…どうだろう。この国は多分、帰す気は無いんじゃないかな。テンプレ通りでいくならだけど…最悪、用済みとか役に立たないとか、適当な理由を付けて始末する…なんてことも考えないとだめかも」


「そう…今は力をつけないと駄目ってことね。いざとなったら逃げられるようにしないと…要は私達、体の良い兵隊よ。どんな使い潰され方をするか分からないし」


耀と朝霧は2人でそれを警戒し続けていた


あまりにも怪しい…


懐柔する気満々の態度、知られたら困る歴史と真実、持ち上げておいてやらせるのは戦闘ばかり、挙げ句の果てに出歩く自分達には常に監視が影から着いてくる


これで警戒しないのも無理な話だ


とは言え、あとの2人は完全に我が世の春と言わんばかりの勇者ライフを満喫しているようだが…


「街に出られれば持っと詳しく、この世界のことを調べられるんだ。問題は出してもらえるかどうか…」


「街くらいは良いんじゃない?…流石にここで缶詰は気が滅入るし…何より、戦わせる気なら私達を戦場に行かせないといけないもの。いずれ、外出のチャンスは来ると思うわ」


「だと良いんだけど…。…明日も早いし、もう戻ろっか。これ以上悩んでたら頭が痛くなるよ」


「そうね。今は精々、力を付けましょう。少なくとも、あの枢機卿以外を蹴散らせる程度には強くならないと」


沈んだ空気を振り払い、腕を伸ばして体を伸ばす朝霧に可笑しそうに笑いながら「そうだね、蹴散らせるようにだね」と相槌をうつ耀


日々の訓練や授業のような物が繰り返される生活だが、確実にこの世界で生きれる力を得ているのは確かだった


そこには感謝をしながら、明日の訓練は何を試そうか…そう頭に思い浮かべて歩き出す耀と朝霧



その眼の前で





セントラルが誇る白亜の城の天辺が、爆炎の華を咲かせて木っ端微塵に爆散した






【side 南耀みなみよう



「うわぁっ!?な、何っ!?爆発っ!?」



朝霧さんとの情報交換の為に定期的に行っている話し合いに一区切り付き、明日も繰り返し行われる戦闘訓練や魔法研究へ思いを馳せながら自室へ戻るべく、中庭からテラスへ入って屋内へ…そう歩き出した瞬間の出来事だった


まるで巨大な花火が直上で弾けたような轟音が響き渡り、周囲を昼間の如く照らし出したのだ


あまりにも突然に、その破壊は眼の前で起こった


上から降る衝撃に尻餅を着きながら見上げれば、まるで芸術品のように整えられていた城の頂上と思われる屋根の辺りが爆発により粉々に吹き飛んでいるのが見える



まさか敵が中にいる!?それとも事故がなにか!?


侵入するのも不可能と思えるのに、スパイのように忍び込んで誰かが破壊でもしたのか、それともガス爆発のような事故なのか…



半ば反射的に、目に魔法を宿した

魔法や肉眼では見えない物を看破する魔法『万象看破マスターアナライズ』は僕にそれを見せつけた


3枚もあった城を覆い尽くしている筈のバリアが、バラバラに砕け散っているのを


この城は巨大な魔法の道具によって三重に魔法のバリアが張り巡らされてる

試しに、と言われて蓮司や朝霧さんが天に向けて放った全力の魔法はドーム状に張られた透明なバリアで完全に弾かれていたのを思い出す



かなりの威力…勇者である僕達の魔法だってビクともしないようなバリアが3枚も張られていた筈なのに…!


つまり、中からじゃない…!これは…!


「…っ…!…な…い…!……う!耀!しっかりしなさい!大丈夫!?」


「っ…う、うん!ごめんっ…!な、何が起きたのかさっぱり…」


「私もよ…!なんで屋上が爆発するのよ、火薬でも置いてあったの!?」


「違う朝霧さん!城を守ってるバリアが、全部粉々に壊されてる!これ…っ…!兎に角、蓮司と瑠璃さんと合流しよう!」


「っ…何よそれ…!あんな硬い魔法のバリアを突き破って入ってきたって言うの!?私達でもヒビ1つ入らなかったのよあれ!」


2人揃って走り出す


目指すのは自分達の部屋が集まる区画だが、それより前に…眼の前に焦って様子の蓮司と瑠璃さんがばったりと顔合わせになる


「っ良かった!2人共大丈夫だった!?」


「おう!俺も瑠璃も何とも無いけどよ…!何が起こったんだよこれ!城の中どこも大パニックだぞ!?」


「こ、怖いですっ…ば、爆発があったみたいでどうして良いか分からなくてっ…!」


どうやらすぐに部屋から出てきたらしく、瑠璃さんはかなり動転しているのが分かる

でも良かった…まずは合流出来たのは運が良かった!


白の中は信徒の人や聖職者が騒がしく走り回っていて、明らかに緊急事態と見て分かる


いや、城の奥で破壊音と振動と衝撃がビリビリと響き続けており、さながら怪獣でも暴れまわっているかのような凄まじい音だ


「2人共、よく聞いて!多分、この国の敵が侵入してきてる!城のバリアは全部壊されてたんだ!僕達が傷つけるのも無理だったあのバリアを、全部纏めて壊してくる敵だ!まず僕達じゃ勝ち目はない!今はなるべく外に逃げよう!」


「はぁっ!?そんな奴が…っいや!俺達は勇者だぞ!?きっとこの先もこんな感じの敵は沢山出てくんだ!俺達でそいつを取っ捕まえてやろう!」


「馬鹿言わないで蓮司!あんただってここの魔法バリアがどれだけ頑丈だったか分かってるでしょ!?それを何枚も同時に破ってくる相手よ!」


「っ…いいや、やれる!勇者なんだよ俺達!この世界で英雄になるれる俺達がこんなところでビビってられねぇって!俺は行くぞ!」


「ま、待ってください蓮司君っ!」


「ちょっ、2人共っ!?あぁもうっ!朝霧さん!」


「ッ仕方無いわねぇっ!」


勝手に走り出す蓮司とそれに続く瑠璃さん


そしてそれを追いかける僕と朝霧さんだが…どうにも嫌な予感がする


勇者…確かにそう呼ばれている

僕が知る勇者だって、こういうトラブルに飛び込んで華麗に解決してみせるものだ。だけど…いざ自分が勇者だと言われて分かるこの先の見えない不安感がどうにも嫌な予感を膨らませていく


本当に、勇者だからと言ってトラブルを解決できるのか?そんな華麗に何かを助けるなんて可能なのか?どこまで自分達にできるのか?


考え出せばキリがない


だけど、蓮司は走り出してしまった

彼が突っ込んでしまう以上、それを見送って1人行かせる事など出来る訳がない


破壊音が響く方向へひたすら走り、辿り着いたのは巨大な水晶製の女神像がある礼拝堂のような場所だった。その直上から魔法による物なのか猛烈な爆音や発射音がけたたましく響き続けており、ステンドグラスの向こうでは眩い閃光が幾度と炸裂して不思議な色を室内に連続して落としている


その女神像を、僕達は1度だけ見たことがあった


そう、この世界に来たその日に…



「あ、あれ!枢機卿さん達が女神像の下に入っていきましたっ!あそこって…た、たしか私達が来た…っ」


「っみたいだな。よし、俺達も行くぞ!きっと、こういう時の為に勇者を、俺達を呼んだんだ!」


女神像の脚元、台座にただの台座の1面にしか見えない場所が落ち込み地下への階段を覗かせている。そして確かに、そこへローブを翻すデルツェフ枢機卿の姿がちらりと見えた


もはや考えると事も危機感も無く走り出す蓮司隣で朝霧さんが舌打ちをしながらこちらを見る

「このバカについて行くの?」という意思が丸見えだ…こういう朝霧さんはなんだかとても怖いけど…


「…行くしかないよ、朝霧さん」


既に2人はこちらを振り返ることもなく階段を駆け下りている

彼女も2人を見捨てたい訳では無いのだろう。だからこそ、その向こう見ずに苛立っているのがよく分かるが、そう言って走り出せば彼女も着いてきてくれている


この暗く地下へと続く階段は一回だけしか通ったことがないが、どこに続いているかは分かる

僕達が現れた、召還されたあの地底湖に繋がる隠し階段だ


…僕、こんなに走り続けられる程アウトドア派じゃなかったんだけどね

やっぱり、この身体は勇者として特別なものになっているのを実感する

日本に居た頃なら既に疲れて脚がもつれ、転げ落ちているだろう石を削り出した階段を数段飛ばしで駆け下りていく


その速さで1分も駆け下りれば…底へと辿り着いた


見渡す限りの巨大な地底湖に、中心の輝く大きな魔法陣が刻まれた島。多数の魔法による証明がぼんやりと広大な空間を照らし出す幻想的な光景


僕達が最初にこの世界へ来た場所だ



「デルツェフ枢機卿、どうするかね。今すぐに、この魔法陣を消去せねばいかんと思うが」


「えぇ、まったくその通りですクワイデン枢機卿。何故気が付かれたのかさっぱりですが…ここに来たからには、この魔法陣の存在に気が付いているでしょうね」


「…まだ、教国の勇者は当てられないか。此度の件、教皇猊下はなんと言われるか…。しかし、我ら教国とて奴と矛を交えてはどうなるか分からぬからな」


「彼らはまだ雛鳥です、ユーデンス枢機卿。今暫くの時が、彼らを育ててくれるでしょう。ですが…この魔法陣はもはやこれまででしょう。信徒達が時間を稼いでいる内に、すぐに消去を始めなければなりません」


「異議無し」


「よかろうて」


「ではすぐに、消去を開始しましょう」


3人の姿が、湖の畔に見えた


豪奢なローブに法衣姿は間違い無く、デルツェフ枢機卿と他2人…恰幅の良い白髪をオールバックにした男、クワイデン枢機卿に頭からローブを被る通った声を発する老婆、ユーデンス枢機卿だ


その会話の内容は聞き捨てることの出来ない情報がいくつか聞こえてきた



奴?魔法陣の消去?



その言い振り…まるで襲撃してきた者を知っているかのような…


「ま、待ってくれデルツェフさん!その魔法陣消したら俺達は元の世界に帰れないんじゃないのか!?」


…蓮司…!このタイミングで出ていくのはちょっと不味いと思うんたけど…!

この会話…どう考えても僕達には聞かせたくない話の筈だ。この後のことを考えれば、静観が一番だったんだけどね…!


「おぉ、勇者レンジ!不安にさせて申し訳ない…ですが、安心して欲しい。我ら教国には、召還魔法と対となる魔法もしっかりと用意しています。…ところで、勇者の皆さんはなぜここへ?ここは危険です、さぁ、すぐに上階から城外へと避難を…」


デルツェフ枢機卿が大仰に蓮司を迎えて、慌てること無く投げられた問に答えを返す姿は確かに安心できる物があるけれど…どこか、不審に思える


この世界に来るだけでもこんな大掛かりな魔法を用意しないといけないのに、この魔法陣が無くなって帰りもちゃんと用意出来ているのか…


口からでまかせではないのか…気掛かりて仕方ない


しかし、今はこうして向こうが取り繕ってくれたのから、それに乗るしか無いだろう


「俺達だって戦える!今攻撃して来てるの敵なんだろ!?勇者の力があればどうにかなるんじゃないのか!?」


「…勇者レンジ。今はまだ、その時ではない。確かに我らが教国の勇者達は特別な才能を持っている。話に聞くが4人ともが秀でた能力をそれぞれ花開かせていることも…」


「だが、奴と相対するのは許可できぬ話なのだ、勇者達よ。あれは人の領域から外れた怪物…打ち倒せる者は、今この世界に居ないのだ」


「っ…なんだよそいつ…っ!俺達だけじゃない、枢機卿の3人も、この城の人達だっている!どうにかなるだろ!」  


「それが、ならないんですよ、勇者レンジ。…今は時間がありません。さぁ、早く上階へ避難を」


食ってかかる蓮司をユーデンス、クワイデン枢機卿がたしなめるが、蓮司は…力を試したいのかそれとも勇者にプライドを燃やしているのか明らかに不満そうにしている


これだけ勇者としての自分にプライドを持ってしまったのなら、戦力外通告はかなり堪えるのかもしれないね…


「蓮司、今は行こう。皆さんが言った通り僕達はまだ成長途中なんだよ。…そいつもきっと、倒せる時が来るんだ」

 

「くっ……!」


「そうよ、冷静になりなさい。…私達は知らなさ過ぎるのよ、敵も、この世界も。戦うのは、もっと色々な経験を積んでからにするわよ、蓮司」


朝霧さんもフォローを入れてくれ、ようやく不満を顔で表す蓮司が踵を返してくれる


このままだと、蓮司はまんまとこの国に取り込まれてしまいそうで不安になる

瑠璃さんも、蓮司に着いて行ってしまうだろう


この国がもし、僕達の味方ではなかったら…


今の彼を見てると、その不安だけが頭を過ってしまう


「さぁ、早く行こう!今の僕達じゃ邪魔になりかねないよ…!早く城から出て……」



その直後、僕は…僕達は既に遅すぎたことを思い知った





洞窟の中心が、その天井を巨大な光の柱によって貫通され崩れ落ちたのだ


その光の柱は地底湖に突き刺さり、水蒸気の爆発を引き起こしながら周囲を衝撃波の嵐で薙ぎ払った


勇者として強化されているはずの僕達の体も地に伏せなければボールのように弾き飛ばされて壁に叩きつけられていたかもしれない



「う、わぁぁぁっ!?なんだよなんだよ!?」


「きゃぁぁぉっ!何が起こったんですかぁぁぁっ!?」


蓮司と瑠璃さんの悲鳴が直ぐ側で聞こえると、逆に僅かに冷静さを取り戻せたけど


一体何が起きた!?洞窟の天井からまるで……まるでSFに出てくる巨大なレーザービームが貫通してきたみたいな感じだった…!


地上からこの地底湖までどれだけ降ったか…少なくとも地下100m以上はあるのに、そこまでの岩盤や地層を丸ごとぶち抜いて来たんだ…!


天井の穴から落ちる土砂による砂埃と巻き上げられた湖水の水飛沫が視界を奪い去って、もうもうと立ち込めるそれらの向こう側の景色がようやく目で見えるようになっていき



その姿を見てしまう



天井に開いた大穴からゆっくりと降り立つ、漆黒の鎧が


まるで天使の翼でも広げるように、背中から光の本流を噴出させて…この地下空間に降臨した


いや、鎧というのは少し違和感のある見た目…分厚い金属の装甲は確かに鎧ではあるのだが…この国の人が装備していたような鎧じゃない!


全身隙間なく装甲に覆われていて、普通なら手足が動かなくなるはず…僕達が訓練でつける鎧も胴体とか脚、腕に金属を当てるようなものだったのに、目元まで覆われて2つの目を表すように光を灯している


体漆黒の装甲に走る金色のラインと光を放つ双眼、そして胸部の宝玉のような部位が薄暗い洞窟内でその威容と不気味さを際立たせていた


そして何よりも…



(な、なんだこの震え…つ!?体の底から震えが止まらない…っ怖くて今すぐに逃げ出したいのに怖すぎて動けない…!)


プレッシャー…いや、僕の目はその正体を目視で見ることが出来ていた


「まさかっ……これ全部魔力……!?」


「…っなんですって…!?」


「あ、ありえませんっ…!」


そう、魔力の波動だ、これは

無造作に放たれる魔力の波動が空間を震わせ、圧倒的なプレッシャーとなって押し潰されそうになっているんだ


魔法タイプの朝霧さんと瑠璃さんが僕の言葉に信じられないと言わんばかりの声を上げる…それも無理はない


僕達の魔力はこの世界の中でも破格と言える量と出力があるのは、もう知っていた

だからこそ…この世界で魔力を持つというのがある程度皆分かってる


…こんなイカれた魔力を放てる相手が、生物なはずがない…!


その鎧が、僕達前に悠然と降り立っている



瞬間、死を覚悟した


少なくとも、僕は今この場で死ぬんだ、と…


それ程までに、眼の前の存在は……次元が違う



『やぁ、御三方、良い夜だ……死ぬ覚悟はいいな?』



っなんだこれ…ボイスチェンジャー?

重低音で、どこか響くような声は明らかに肉声じゃない。アニメやドラマしか聞かないような明らかに人造と分かる声が不気味さに拍車をかける


現れたその瞬間から下される死刑宣告は…僕達から立つ力を奪い去るには十分すぎる威力があった


「ッ…随分とお早いですねぇ。今宵は如何しましたか?」


「何と野蛮な…!これだから異界の化け物は…」


『その異界の怪物を怒らせたのはお前達だ。…言ったはずだ、全ての国へ。「勇者の召還と関与は俺への宣戦布告とする」と…聞いてなかったは通らないと思え』


「…お聞きなさい。これは我が国を救う為の大きな手段…貴方ともあろう者が一国の破滅をお望みか?」


『いいや、違うな。勇者召還をしなければお前達はもっと長生き出来たんだ。だが、お前達は俺の警告を無視して勇者を呼び出した…自分の死期を早めたのはお前達本人だとも。それに…この国の内情と情勢程度、俺が知らないとでも思ったか?』


3人の枢機卿が言葉を交わす中で、気になるフレーズが幾つも出てくる


…この人は、この国と敵対関係にあるように見えたけど会話の中身を覗けばそれは違うように聞こえる


どちらかといえば、タブーを犯したのはこの国の方に聞こえるのだ


そして、そのタブーこそが…



「ま、待て!お、俺が勇者だ!お前の相手は俺がしてやる!だからその人達は放っておくんだ!」


ッ…本当に蓮司は…!この状況でよく声を出せるね…!


その声に反応して初めて、その光る双眸がこちらを捉える


『…へぇ……君が勇者か。成る程…この魔力圧の中で声を出せるなら確かに、勇者なのかもしれないな。それで、後ろの3人は君のパーティか』


「ち、違う!俺達4人とも勇者だ!勇者4人だ、勝ち目なんか無いぞ!」


『…4人…?』


かなり強気な蓮司だが、その言葉端が震えているのは眼の前の存在が普通ではない事を感じ取っているからなのか


でも、そんな事気にすることはなく…むしろ、何故か4人であることに疑問を浮かべる様子の黒鎧は重々しい音を立てて着地すると悠然とこちらへ歩み寄ってくる


思わず後ずさりそうになるけれど…怖くて動けない…!なんなんだこいつ…!?話に聞いてた魔神族なの!?


ギラリと光る双眸がこちらを見渡し、視界に入れられる度に寿命が縮んでいく錯覚に陥る

 


『お前達…4人同時にこの世界へ来たのか?』



その問いに、口を開けたのは僕だけだった


「そ、うですっ…!あなたは一体何なんですか!?」


息詰まる中で出した精一杯の声


それを笑うこと無く、黒鎧は頷く


『そうか……可哀想に。俺が何者なのかはどうでも良い。この国に居る限り、俺の事を知る機会は来ないだろう。…知りたければ、一歩踏み出すことだ』


違和感


…敵じゃない…?いやまさか……でも…


その黒鎧が、分厚い鋼鉄に象られた手を差し伸ばしてくる


『俺の手を取れ。お前達を、助け出してやれる』


「ッ待ちなさい!彼らを連れて行くとでも言うのですか!?許されません!彼らは我ら教国の勇者!そのような勝手が許されるはずがない!」


『俺が、誰の許しを乞う必要がある?何故お前達を慮ってやらなければならない?いや、むしろ許しを乞うのはお前達だ…彼らを俺に託せ、そうすれば命は助けてやる』


「巫山戯るでないぞッ!それは我が教国の秘術により呼び寄せた勇者達!如何に貴様と言えどもそれを連れ去るなぞ…ッ」


『ほざけ、クワイデン枢機卿。お前達がラヴァンのお友達から術式の情報供与を受けたことは分かっている。…何が「我が教国の秘術」だ、パクリの模造品風情が…』


その手を差し伸べた黒鎧に声を重ねて食いつく枢機卿達だが、取り付く島も無いというような態度…むしろ、手痛い返しを受けたようで口を閉ざす様子は敵というよりも…


朝霧さんも瑠璃さんもどこけ困惑というか…どうすればいいか分からないといった様子で視線を巡らせている


それはそうだ…いきなりこんな状況で右が左かを選べと言われてもすぐ決断出来るはずがない



…そうだ、落ち着け僕!目の前の黒鎧が何者なのか知る手段があるじゃないか!僕の魔法なら…鑑定によって人物の情報まで全て洗い出せる!何者か分かれば敵か味方の判別だってつくはず…!


目に魔力を滾らせて、見れば…!



〘名称・ジ⊃∂∈%∨タ〙

〘職業・UNKNOWN〙

〘出身・UNKNOWN〙

〘魔法・UNKNOWN〙

〘二つ名・UNKNOWN〙

〘魔力量・UNKNOWN〙

〘来歴・UN………………KNO……O……Oおど……いた…。ここま∂∨∂∈†強力な鑑€£%は初めてだ。それがお前の特異魔∩∨な?名付けると≯⊃∩れば『真実の勇者』といった∨∂∈ろか〙




「わぁぁっ!?な、なんだこれっ!?」



鳥肌が立ち、産毛が逆立つような気分を味わった


か、鑑定結果が話しかけてきてる!?どういうことなんだこれっ!?殆ど「UNKNOWN」って表示されてるのにどんどん文字化けしていって…ぼ、僕に話しかけるみたいな文章に変わってく!

まるで頭の中を見透かされたみたいで猛烈な忌避感に背筋が凍りついた


「耀!?どうした…っお前が何かしたのか!?」


「耀君っ、だっ大丈夫ですかぁっ!?」


「しっかりして、耀!……っ何か見たのね!?あなた魔法で!」


3人が慌てて支えてくれるけれど…それも気にならないくらいの未知の恐怖に呼吸まで苦しく感じてくる


「っやっぱり敵かよお前!耀に何をしたんだ!?」


『いや、どちらかと言えば…彼に「された」方だ。驚いたよ…勇者というのは本当みたいだ。強力な魔法を秘めているな』


「もういいっ!お前をぶっ飛ばせば良いんだろ!?さっきから訳分からないことばっか言って…っ惑わせようったって、俺には効かねぇ!その鎧ごと…ッ」


「ま、待って蓮司!違う!この人は…!」


「吹っ飛べ!『第一鍛造!祓魔剣』ッ!」


蓮司は既に止められる状態ではなかった。彼の魔法がすぐさま完成し、その手の中に魔力が結晶のように集まり始め一本の剣へと姿を変える


蓮司の魔法は『創剣鍛造バース・オブ・ブラックスミス

自分の魔力から様々な特性を与えた剣を魔力の限りの生み出すことが出来る

今産み出したのは祓魔の特性を持つ剣…魔物や魔神族に対しては絶大か威力を発揮する特効武器だ

蓮司はこの魔法で相手に対して即座に弱点特効能力を持つ剣を大量に生み出せる

つまり…彼は必ず相手に対して有利な武器で戦いに挑むことができる、ということだ


純銀と純白の剣…意匠もデザインもシンプルな西洋剣へと完成したそれを両手で握り締め、渾身の一振りで黒鎧の頭部へと真上から振り下ろし




バギンッ




耳障りな音を立てて、黒鎧のヘルムに当たった剣が半ばから圧し折れた


「…………へ…?」


気の抜けた蓮司の声が木霊となって反響する


いや、僕達全員が啞然としていた


何かされたわけしゃない、ただ無抵抗に蓮司の剣を受け…剣の方が破壊されたのだ


『…どうやら、着いて来てくれる雰囲気では無さそうだ。また、縁があったら会おう、勇者達』


もはや、なにか言い返せる気力は誰にも無かった


漆黒の鎧が向きを変え、ゆっくりと立ち去っていくのを見送ることしか出来なかった


その手を湖の方向へ向けて突き出し、指を二本突き出すとそれを無造作に下へと向けた瞬間…



洞窟に開いた大穴から光の柱が再び飛来し、今度は中央の島に直撃して大爆発を巻き起こした

飛び交う砂塵と岩が飛び礫となって周囲へ飛び散り、灼熱と衝撃の嵐が地底湖の中を蹂躙していく



視線を上げた先に、もう自分達が現れた魔法陣を刻まれた島は石の一片すらも存在しなかった



『勇者達は預けておこう。くれぐれも、丁重に扱う事だ。何かあった時はお前達がどうなるか…よく考えて行動するといい』



振り返ること無く、その言葉を多分…デルツェフ枢機卿達に向けて残した黒鎧は背中から光の奔流を噴かせて浮遊し、あっという間に洞窟の穴から姿を消してしまったのだった




それを、僕達は…見上げる事しか出来なかった





ーーー




『よろしかったのですか?強引に連れ出してしまえば良かったのでは?』


「…しねーよ、そんな事」


背面から魔力のブースターを噴かせて滞空し、遥か上空からレルジェ教国の首都ラレイラを見下ろしながら嘆息気味に呟く


街は今、何が起きたのかと大パニックになっている


それもそうだ、言わば国の王城が大爆発したり襲撃されたりしているのだから騒然とするのも当たり前だ


「俺は聖人じゃないの。助かろうともがく奴なら差し出す手もあるし、逆にそんな気無い奴は勝手にすれば良い。だから…あの4人にはこの世界を自力で知って貰う」


『あのレルジェ教国です。このまま彼らを任せておけばどんな不具合が起こるか分かりません。むしろ、あの国を出ることすら出来るかどうか』


「なに、無碍には出来ねぇって。どちらにせよ、頭回すか腕前通して脱出くらいやれないならそれまでだ。…地球に帰る時には、拾ってやるさ」


『マスターがそう言うのであれば。それと、スサノオからの報告です。レルジェ教国へと向けられた龍脈の進路の修正が完了するそうです。ですが、恐らくはかと』


「厄介な話になった…どれくらい保つ?」


『現在、内部で対象が活性化の兆しを見せています。保って、2ヶ月かと』


「仕方ない…バハムートをカラナックに回せ、付近の基地から航空戦力と地対空機を集めろ、ストームライダー型全10機を集結…カトリーナ、ベツィ、アグネス、ハービーの4機をカラナック近郊の基地へ、ミューラー平原地下基地にオードリー、サンディー、カミールを、ガボノス湿地帯第二基地にダイアン、アイク、イルマを待機させる。すぐ動かせるようにしておけ。…この件でお前は直接動かせられない、警戒監視に注力しろ」


『了解しました、マスター』

  

「はぁ…なんだってこんな事ばっか…癒やしが欲しい…とっとと帰ってペトラ抱き締めて寝よう…」


まるで死神のごとき漆黒の鎧が肩を落として項垂れる


その姿に、先程までの圧倒的なプレッシャーはどこにも存在しないのであった















『ちゃんと寝てくださいね。「寝る」んじゃなくて』


「流石に無理矢理起こしてまでしねぇよ!?」







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【後書き】


いつも応援、コメント、☆等いただきありがとうございます


とても励みになっていて、貰う度にテンション上がってしまいます


「零細小説ですし、毎話いくつか応援いただくだけでも助かっていますよね」


「作者はスマホが震える度にソワソワしているからなぁ」


「……ちなみに…遊◯王のコメントはいくつか来てた……主に持ちデッキの……」


「あー…あれか。いや、我らのデッキが変態過ぎるだけなのだが、読者さんはマトモなデッキが多くてお恥ずかしい…」


「……ちなみに……一番コメントが貰えたお話は……」


「む、それなら知っているぞ。たしかカナタが仇の二人を消し飛ばした爽快シーン…」


「いえ、ペトラがカナタと初めてエッチした話です」


「はいっ!?初耳なのだが!?」


「……具体的には…「やったぜ」「あと2人美味しくいただけ」「げろ甘」…などなど……」


「うっ…あ、えっと…あ、ありがとう、ございます…うむ……………は、恥ずかしい…っ」


「甘んじて受けてください、生クリーム大好き大魔神」


「……カナタの生クリームも大好き大魔神…」


「うをわぁぉっ!よせマウラぁ!というか大魔神と言うなぁ!」


「……上からも下からも、生クリームを飲む女……!」


「ド淫乱みたいに言うでないわ!」


「……………………ぽっ」


「おい何を恥ずかしそうに「そんな事言われても…」みたいな顔をしておるシオン!そなた、我と変わらんからなぁ!?」


「……それは認めてるのと同じ台詞……私も早くしたい……!」




…えー、本作を今後ともよろしくお願いします

暖かい目で見守って貰えれば嬉しいです

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