第56話 白原のブレイバー


材質は巨大な火山地帯と龍脈線上が重なる場所にのみ存在するストラトライト石材を切り出した強靭な素材であり、その鉄門はティルコン鉄とヴィジュラ鈴鉄を7:3で混ぜ合わせたジューディラン合金100%で造られた要塞にも使用される素材


その素材と形質から、城内の様々な建物の中でも特出して無機質で単純な形…簡単に言えばただの四角形をしている


そこは城内の関係者ですら立入禁止区域とされており、ここに自由に立ち入りが許される者はほんの一部の人間のみである


恐らく、この王宮の敷地内に存在するどのエリア、どの部屋よりも厳格に管理された「聖域」…それがここ、勇者の霊廟なのだ


故に、この内部で過去に起きたについて知る者も当然、殆ど居ない


中に招き入れられる者はもっとレアであり、外部の人間はそうやすやすと霊廟の門を見ることすら無い


つい数日も前に2人の一般の少女が招かれ、内部に招待されたのは特別の中の特別なのだ


「ほっほっ、全く…年寄りにこの階段はキツいのぅ。やはり登降機でも付けたほうが良いな。墓標に手は付けんでも、それくらいは良かろう」


「ははっ、検討しておきます、陛下。確かにこの階段はお年を召した陛下は少々、お疲れになりますね。午後は休憩のお時間をとっているそうですので…」


その霊廟は入口となる四角形の建造物の内部から真下に向けて四角の螺旋階段が延々と真下に向かって伸び続けており、周囲の風景は降りてる最中は全く変化がない


歩き続ける限り、壁に取り付けられた魔法の灯火が後ろへ流れていく光景がひたすら続いていく


まさに現在の地上のお祭り騒ぎと比較すれば異空間のようにも思える静かで重々しい空間には5人分の足音だけが木霊のように地下深くへ反響していた


この場所だけで見るならば、地獄へ降りる階段と言われても差し支えない程に、その雰囲気は暗くこの道中だけを見れば神聖な場所とは思えないだろう


「私もこの場所に来るのは…3年ぶりでしょうか?あまり良い記憶は無いですわね…」


「あれからかなり改修と補強が進みましたから、お見苦しい状態では無いと思いますよ。まぁ、肝心の墓標はそのままですがね…」




3年前…魔神討伐を終えたジンドーを私兵として服従させるべく「従隷の戒輪」と呼ばれる魔導具…相手を自身の奴隷とし、拒否権も無く命令を聞かせられる国際的にも取り締まられている筈のそれを、ズォーデン・バグスターが彼に使用しようとした


これは魂に対して従属を強制する禁制の魔導具であり、着用者は首輪に傷一つ付けられず、使用が認められた場合は商業連盟加盟国であれば冒険者ギルドで懸賞金ありの指名手配がされる程のものだ


それをジンドーに使用し、鎧の首元に嵌め、ここぞとばかりに今での勇者への悪行を自慢の如く演説し始め、かの最強の勇者を手中に収めたと高らかに笑い声を上げる最中


その背後で…全てを聞いた漆黒の勇者は自身に着けられた首輪を…握り潰したのだ


着けられた者には破壊できない筈の、隷属を強制するそれを事も無げに粉々に破壊した


震える勇者が


その手を握り締め


空中にゆっくりと浮かび上がり


体を屈ませ力を貯めて


次の一言














『ヴァニシング・フィールドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!』








全てが、破壊された


周辺にそびえ立つ石の墓標の群れは勇者ジンドーを中心に炸裂した破壊的な衝撃波によって芝を刈るように破壊されていき、立つ人々はまるで蹴飛ばされた鞠のように外壁に向かって吹き飛ばされた


衝撃波をまともに受けたドームのような墓標の外壁は一瞬にしてヒビが蜘蛛の巣のように広がり、洞窟が潰されるかのように天井から石片がボロボロと欠落していく


全てが…そこで終わったのだ


大戦すらも乗り超えたのに、その時勇者との関係も、信頼も、時間も、何もかもが終焉を迎えた




『全部、全部、全部ッッ!!!』



聞いたこともない彼の咆哮が



『許さないッ、許さないッッ、もう、何もやらせないッッ!』



荒れ狂う嵐のような狂気が



『イカれた国ッ!イカれた世界ッ!次ッ「勇者」にッ触れてみろッ!お前達の全てをッッ!』



怒りと悲しみの感情が



『全てをッ!!存在すらッ!!否定するッ!!』



この場の全てを制圧した






「ラウラ嬢、貴女があの時守ってくれなければ儂らはジンドーに殺されておった。その時の事は、感謝してもしてもしきれぬ」


「いえ、お気になさらずに、陛下。…あのまま、彼に怒りのまま、皆さんを殺させる訳にもいきませんでしたから。…まぁ、あの日がジンドーを見た最後の日になってしまったのですけどね」


「あの時のラウラの防御は凄かったわねぇ。速さも硬さも…旅で鍛えててほんとに良かったわよ。あれ、私達まで木っ端微塵にされていたから」


階段を降り続けながら語られる話は全員にとってあまりにも苦く、苦しい記憶


自分達は最高の救世主を、忌まわしき主犯2人がそう言ったように究極の破壊者としてしまう所だった


長い階段は昔話を思い起こさせていくが、それも終わる


降りた先は広がっており、そこから1本道が真っ直ぐ伸びたその先には…かつてこれまで現れた全ての勇者達が眠りに着いていた墓場があるのだ


その場所こそがラヴァン王国最大最高の聖域にして最悪の事件が起きた現場…


5人の視界が突然広がり、巨大ドームのような地下空洞が露わになる

あまりにも広く、その中に整然と輪状に並ぶ3mもある巨石の立方体が並び立ち、その全てが純白…天井、壁、巨石、地面は大理石の如き滑らかな純白の石材で作られる


それらは全て、海の向こうの孤島、スミュエール島の巨大な岩山の最も天に近い場所からのみ切り出された天限石のみを使用されている


「天国に最も近い素材」とされ、成分に微量の銀色に輝く鉱物が混ざり合い不思議な輝きを放つ…神聖とされる超高級石材…石棺として使うのが主な使用法であり、それはこの世界で最も高貴で至高の石棺素材とされるそれが、この空間を構成する全てに使われているのだ

はっきり言って、常軌を逸した使用方法なのだ


聖女教会でも重宝されるこの石は、場所通り調達があまりにも大変であり、採掘と輸送だけで巨額の資金が必要となる


神聖な道具や教会の神体等、聖女教会での使用方法は様々でありこの世界で最も消費購入しているのは聖女教会で間違い無いだろう


つまり、この霊廟の中全てが宝の山で構築されている訳だ



「だいぶ修理が進みましたのね。もう元通りではありませんの?」


その墓標の中を歩き、中心に向かって行くラウラがそう感想を漏らすのも頷ける


かつては凄惨な破壊の光景があったのだから

壁は壊れ地面は砕け天井は裂け、墓標はへし折れた廃墟同然の空間だったのに比べ、既に全てが元通りに復元され、かつての霊廟の姿を取り戻していたのだ


そう…元通りに


「…ストラウスよ。…お主、全て直したのか…?」


「い、いえ陛下…私ではありません…。私もてっきり陛下が建国記念を期に思い切って直されたのかと…」


小さな声で耳打ちされるバロッサとストラウスの小さな会話は有るはずのない緊張が張り詰めていた


全てが直っている…そんな筈はないのだ


そう……なぜ墓標が全て直っている?


折れ砕け、ボロボロの石柱はバロッサの方針により勇者の怒りに触れないよう、破損状態から手を加えずに放置されていた筈なのだ


その全てが…元通り


かつての姿を完璧に取り戻している


いったい誰が?


「またここに来るとはねぇ。長居はしたくないのだけど…」


「同感、かな。私もここはちょっと、ね」


サンサラとナスターシャも久々のこの景色を見渡し、どこか所在なさげにする

3年前の最後の光景がどうしてもフラッシュバックする…ここが勇者と決別の場所だからだ


あの時から、ラウラ以外のパーティ全員が…彼を追うことを躊躇った


その彼女達に、ストラウスが伝える


「皆さん、正直にお伝えしますが…今、陛下にも予想外の出来事が起きています。…このまま、続けますか?」


その言葉はラウラ達に首を傾げさせるには十分…だった。既に中心地…一際巨大な石柱…いくつもの立方体を組み合わせたような巨大石碑の場へと足を踏み入れていた


「当然ですわ。…何をそんなに警戒していますの?」


「妙だね、ずっと周りを見回して…。何を怖がっているのかな?」


「ほっほっ、情けない姿を見せたのぅ。いやなに、簡単な話でな……儂らは、墓標を修理しておらんのじゃ」


「直してないって……直ってるじゃない、陛下。ほら、全部キレイに…まさか、ジンドーのあの言葉を気にして手を出してなかったの?」


「気にするのは当たり前ですよ、サンサラ様。次なにかあれば…この国は消される可能性もある。それを警戒して陛下は、壊れた墓標を全てそのままにしていたのです…が、今来てみれば…これです。正直、困惑していますよ」


そう手を向けた先に無傷の墓標がそびえ立つ


2人の懸念の正体が分かれば困ったような表情のラウラは、現在のジンドーがそこまでビリビリした性格をしていない事を知っている


しかし、それは会ったことのある者でなければ分からない


会わなければ…彼らの「勇者ジンドー」は3年前のままで止まってしまったままなのだから


「陛下、今はそれより約束を果たして頂かないといけませんわ。…この場所でなければならない理由が、おありなのでしょう?」


「うむ。…そうじゃな…全てが元通りならば、説明はし易い。見て欲しいのは…この中央の石碑じゃよ」


見上げたのは辿り着いた空間の中央に聳える一際大きな石碑


周囲の物に比べて装飾の彫りも多く、複数もの石材を組み合わせた物でありこの空間を象徴するようなインパクトと存在感を放つ


すべての墓標がこの石碑を向くようにして円を描いて並び立っているのだから、いかにこの石碑が重要な存在であるかを物語っているようにさえ見えるものだ


「これ…ですの?これは慰霊碑ですわよね?」


「いや、違うのじゃ。これは慰霊碑でも祈念碑でもない。…儂らが建てた物でもないのじゃ、これだけは、儂ら王家が建てておらぬ」


「随分と含みがあるね。つまり、建てられるべき物ではなかった、と?」


「その通りじゃ。本来有るはずのない物…壊すかどうかすら検討したわい」


その天辺はよく見てみれば大きな布で覆い隠されており、見つめるバロッサの視線は険しい

ストラウスに目を向け合図を送れば彼も静かにうなずき被せられた布に繋がれた紐を解き始める


「教えよう、これは約3年前には既に建てられておった物…とある理由と予定で、これを使う予定だったそうじゃよ。しかし、その機会は現れることは無かった…造り主の予想を超えてしまったのじゃ」


「その理由は今も手を付けない理由と同じなのかしら、陛下。どんな目的の物かは知らないけれど…結局なんなのかしら、これ?」




















『俺の墓…らしいぞ、サンサラ・メールウィ』










ぞわっっっ


背筋に氷を差し込まれたような緊張感と寒気


体を動かせないようなプレッシャー


いつからそこに居たのか


その巨大な石碑の中段に、それは居た


色は漆黒、鋭利なフォルムに分厚い装甲、黄金の光が装甲に走り、胸の中心には宝玉にも似たパーツとそこに接するように小さな…真紅と新緑色の宝玉が光る、輝く眼のようなバイザー、元の声が人の物とは思えないマシンボイス…誰もが知らない筈もない


その男が、あぐらをかくようにしてそこに座っていた


『さぁ、その布を取って見せてくれ、ストラウス・マルトゥーカ。あるんだろう?その布で隠した石碑…いや、墓石の下に…俺の胸に刻まれた紋様が』


鋼の手で、鋼鉄の胸をカンカンと叩いて見せるその男に見られたストラウスは、驚愕が恐怖か…何も言えず、動けない


黒鉄の鎧が立ち上がり、石碑からゆっくりと降りる


ストラウスが思わず、後ろに引き下がり…手にした紐がその表紙に引かれ…被せられた布が、落ちた


石碑の天辺を覆う布の下には新品同様の美しい石材が続いており、そこに刻まれた紋様は



天空から落ちる光に、大地が砕ける模様を露わにしていたのだった



ーーー



【side ラウラ・クリューセル】


ばさり、と布が翻り、その下に刻まれたシンボルが露わになる


何故、貴方がここに居るのかは分かりません…けれど、どんな切っ掛けがあったのか…貴方はまたこの城…いえ、この方々の前に現れた


視線の先に露になったのは不思議な紋様…そして、それを私は見たことがありました


場所は湯の都ユカレスト、少し高級な温泉宿の大浴場で学院生の少女達と親交を深め…そしてとある少女達の胸の中心に刻まれた、己の師匠を表す紋様としてそれは刻まれていた


推測でも予測でも、確信ですらない


した


もはや間違い無い


あの教室で、隣で共に教鞭をとっていた少年が


親交を深めた少女達の想い人である少年が


彼こそが…勇者だった


長年その背中を追い求め、その心を触れようと走り続け、そして一度は全てが終わってしまった筈の彼の姿も、名前も、ようやく突き止めた


…ねぇ、カナタさん。私の隣で生徒に教え、隣で私を見て…どう感じていたのでしょうか


こんなに近くに居たなら、声を掛けて欲しかった…もっと早く、貴方の側に寄り添えた…全ての誤解を解けたのに


でも、分かっていますわ。カナタさんはこの学院にいる間に、変わったのでしょう?


本当に分かりやすいですわね…その胸の宝玉の色を見れば分かりますわ


「ジンドー……勇者ジンドーッ!あ、会いたかったのだ、お主に!儂の、儂の話を少しでも良い、聞いてくれんか!?頼む!この老いぼれの話を…!」


『……久しぶりだな、爺さん。残念ながらお前から聞く話はもう無い。ラヴァン王国は全ての勇者を非業の死へと追い込んだ諸悪の根源であり、その全てが王族の先導の元に行われた計画的な物である…』


老人とは思えない声を発した陛下ですが、それをこちらに歩き寄りながら遮るジンドーの言葉は…聞いていて耳が痛い程に辛辣で無情


彼の怨恨は変わること無く、その怒りの炎は衰える事を知らないように燃え滾っている…


『…それが俺の思い違いと言うことは、分かっている。俺がこの国に添うことは無いが…敢えてこの国を消す必要も、無いだろう』


と、言うわけでも無さそうですわ


あ、陛下が呆気に取られていますわね


だから言ったじゃありませんか…今の彼なら大丈夫だ、と


『これはズォーデン・バグスターとゲッヘナ・ガベルが魔神討伐に際して建てた俺の墓だ。奴等は自分に都合の悪い勇者は自らの手で処理していた事もある。…俺も、殺すつもりだったのさ。俺が隷属の魔導具を着けると思っていなかった奴等はあの日、あの時、制御出来ない勇者を始末してこの墓に収めるつもりだった…どれ、見た目だけはなかなか凝ってると思わないか?』


「縁起でもありませんわね、ジンドー。いっそ、壊してしまったらいかがですの?生者の墓なんて物騒極まり無い…」


『それは勿体ないだろう?折角ここらの墓をまるごと直したばかりなのに…』


わざとらしく残念そうに言ってのけるジンドー


やっぱり…直していないと陛下達が仰るから変だとは思いましたけれど…貴方が全部直していましたのね


昔からは考えられないくらい…いえ、本来の彼はこのような少し茶目っ気のある男性なのでしょうね。彼はそれを…私達にさらす気になった


人の心は、人の心でしか癒せない


まったく…あの3人にはどれだけの感謝を積めばいいのか…


「ねぇ、ジンドー。こうして眼の前に現れたってことは、そろそろ貴方の素顔を拝める…って事でいいのかしら?私、今どんな魔法研究よりもそれが気になってしょうがないの」


『残念ながら答えは「NO」だ、サンサラ。俺の素顔を、勇者と併せて知っているのは今、この世に3人のみ…いや、たった今4人になったかな?そうだろう……ラウラ』


「「「「!?」」」」


全員がこちらを振り返る


分かっていますのね、私が貴方の素顔に到達した事を


「えぇ。その紋様を見て…貴方の秘密のヴェールは全て解けましたわ。今度、挨拶に伺いますので…楽しみにしていて下さいまし」


『…まぁお前の期待したような男では無いと思うが…。これは忠告だが、人の顔も見ずに期待だけを膨らませるのは自分の首を絞めるぞ、ラウラ』


「あら、顔だけで判断するような女よりマシではなくて?私は貴方の行いや心に惚れ込んだのですから、どこにも首を絞める要素はありませんわ」


何を今更…そんな事を気にしていますのね

要するに、「実際に会うのが怖い」といっているのでしょう?ようやくここまで来たのです、もう逃がしませんわよ。ちゃんと顔を合わせて、そして今までの事や色んな事を面と向かって話して頂かないと…


「えっと…ら、ラウラ?なんかさもラウラがジンドーの顔分かった、みたいな感じだけど…さ、流石にそんな事…」


「えぇ、分かりましたわよ」


「本当に分かったのかい!?」


驚きすぎですわよ、ナスターシャ様…


サンサラ様は珍しく、茫然とジンドーと私をキョロキョロと交互に見回していますわね。これは相当ショックかしら…?


その間にジンドーは向き直って陛下へと近寄り、あれから言葉を失い何を話せば良いのか詰まっている様子の陛下の正面へ


『…勇者への干渉は許さない。だが…祈る程度は好きにしろ。遺品となる武装や道具の類はある程度墓標の中に収めてあるが…悪いが、遺体や遺灰は俺が預からせてもらう。彼らは俺が必ず故郷へと連れ帰る。…ここは、皆が眠るべき場所では無い』


「か、彼らを悼む事を…儂らに許していただけるのか…?」


『好きにしろ…だが、分かっているな?俺の怒りの琴線がどこにあるのか…分かっていないとは言わせないぞ、バロッサ・ラヴァン・クアンターナ。…妙な真似をすれば、次は城ごと破壊する』


「すまぬ…っ……すまぬ……儂らはお主にッ」


…不器用な男ですわね、貴方


それを、許すためにここへ現れたのでしょうに。そんな怒りと警戒を全面に押し出しても、私には分かりますわ


あと、絶対に後でツッコんであげますわ、カナタさん…!普段とキャラ違い過ぎでしてよ!そんなの隣に居たって気が付く訳無いじゃありませんの!?その声が変わる変声魔法を卑怯だと思いますの!それがなければもっと早く気が付いていましたのに…!




でも、正直私は貴方が変わったことが嬉しい反面…悔しいと感じている



私が、貴方を変えたかった


私の心で、貴方を癒やしたかった


この身で貴方に和らぎを与えたかった


一番辛くて押し潰されていた時に、もっと力になりたかった



…その役目は、あの子達に取られてしまいましたけれど…それでも、負けるつもりはない

彼を思い続けた時間は私の方が多いのだから、この思慕に遅れは一切無い



全てはこれから、ですわね



ーーー



【side シオン・エーデライト】



「お、やっと起きた。大丈夫…ではないんだっけか…。無茶させてごめんな、ほら、水飲める?」


眩しい陽光に瞼越しから目を焼かれて、深い水に沈んでいた意識が急速に浮上していき、その声にうっすらと瞼を開けば私が眠るベッドに腰を掛けるさっぱりとした部屋着姿のカナタが目に入る


袖なしに膝下までの五分ズボンとラフな格好なのに対して、薄手のタオルケットに身を包んだ私は未だ全裸姿で…流石に少し恥ずかしい


「ありがとうございます。ん……もしかして、もうお昼ですか?」


「そ。ほら、お昼ご飯買ってきた、城下の縁日覗いてみたらすんげぇ色々あったからさ、手当たり次第に買ってきちゃったわ」

 

魔法袋がピカピカと片っ端から簡易的なパッケージに収められた縁日の食事を取り出して机の上に並べられていき…確かに凄い種類買ってきている


カナタがその内の1つを開ければまだ湯気の昇る温かい飯物の料理が詰まっており「お、美味そう」と鼻を近づけている


くぴくぴと水で喉を潤しながら、ちらり、とそんなカナタを見ればどこか…昨日の夜と違い一息着いたような落ち着いた印象が見えた


「取り敢えず服着る?」


「いえ、このままで良いです。…その…この後もする…んですよね…?」


「あー…それはまぁ…頂きます」


ぱちん、と手を合わせて手にした飯物、ピラフのような料理をもりもりと食べ始めるカナタですが…その「頂きます」は料理と、あと私のことも含まれてそうですね


ちょっと笑いが漏れてしまうと、スプーンを咥えたカナタが少し恥ずかしそうにしていて…それがなんだか胸にきゅんと来る


私も適当に料理を手に取り、開ければ串焼きが何本も突っ込まれていてそれを頬張れば強めの塩味…普段ならちょっと濃い味付けも色々と消耗したこの体には染み渡りますね…


いや、本当に、昨日のカナタとの戦いよりも消耗してます!

というか、あれはカナタが強すぎて一撃打ちあっただけで終わった…というか、私とカナタの破壊力ではあの一撃が上限値でしたからそれ以上の戦闘が出来ませんでした


もっと広範囲を更地にしてもいい場所じゃないと全力が出せません。これも今後の課題ですね…周りに物があっては戦えない、などと言ってはいられませんから


「…なぁ、シオン。一応改めて聞いておく……着いてくるのか?お前の覚悟を疑う訳じゃないけど…警告はしておく。俺の求める平和は、戦いの先にしか存在しない。文字通り、俺は命を賭けてる…そこに付き合わせたくないんだ」


「…分かります、カナタの言いたい事…でも、ダメです。私の心は既に決まっています。…『カナタと共に』…ただそれだけです。そこがこの世の果てであろうとも、この身と心は必ず側に…」


「…そっか。ありがと……そこまで言ってくれるなら、渡さない訳にはいかないな」


カナタが私の左手を取って、多分初めから手の中に隠していたそれを、私の薬指に嵌める


黒のシルバーリング…黒いのに銀光を返す不思議な指輪にルビーのような、真紅の宝石に似た物がリングへ等間隔に埋め込まれて一体となった見たことのない意匠の、シンプルながら見惚れてしまうそれが、ぴったりと測ったかのように私の指に嵌まる


そう…ペトラの指にも嵌っていたリングと同じ物


あの日、食堂でレイラが言っていた言葉が頭に思い浮かぶ




『実は勇者様の元の世界だと、結婚のパートナーにその証として相手の左手薬指に指輪を贈って嵌めるんだよねー。つまり、左手の薬指にリングしてるってことは…『私はこのリングを送ってくれた人のモノです』とか、贈った側からだと『この人は私の大切な人です』みたいな、ロマンチックな意味あんだよ』



顔が赤く、熱くなるのが分かる…つまり、これを贈ってくれたのなら、私は名実ともにカナタのパートナーになれたという事


そして、この指輪と言うことは…


「…これも当然、入っている…ですよね、ふふっ」


指輪に収納されたその箱を出現させる


素朴ながら整えられた木の小箱、蓋を開ければザラザラと大量の小さな乾燥種子が入っていて、独特の鼻に残る甘い匂いが箱を開けた瞬間に漂い始めた


二粒つまんで、口に入れる


甘い匂いに反して、違和感を覚える程の無味がコリコリとした食感と相まって不思議な感触を訴えてくる


これを飲まなければ大変です、まったくっ


「な、なんか嬉しそうに飲んでるけど…美味いか、それ?」


「いえ、そこまで…。ですが「カナタによってこれを飲まないといけない」と言うのが、堪らなく嬉しいのです」


「うっ…ほんと、どストレートにそういう事言えるよな…。いや嬉しいけど…!めっちゃ嬉しいんだけど…!……嫌だったならなるべく外で…」


「それはダメです。あれ、すっごく嬉しいし、個人的に好きなので」


「…ダメなんだ…」


何をおかしな事を…


私は出来てもいいんですよ?ただ…まだダメみたいですから。これから先、少し荒れた道を歩く事になるのは明らかです


その為にも…強くならないといけませんね


「…カナタ。マウラが同じ所まで辿り着けたら、私達にちゃんと修行し直して下さい。…今度は本気で、叩き上げでお願いします。今までカナタがどれだけの手加減や縛りの中で私達を鍛えてくれていたのか、はっきり分かりましたから。この胸の印…考えてみればペトラとマウラの物を合わせて勇者の紋様になるんですよね」


「あー…そりゃちょっとした遊び心というか…」


「思えば、この時から私達にヒントを出し始めていたのでは無いですか?最もらしい理由をつけてこの紋様を刻んでくれたのは…少しでも『勇者』に思う物があったからでは…?」

 

「……」


そう…一番最初に勇者らしい情報を私達に漏らしたのは恐らく、この師匠紋を私達がねだって刻んでもらった時の筈です


…なんで、本当の自分の紋様だけにしなかったんですか?


あんなに勇者である自分を恐れて、ひた隠しにしていたのに…私達を良く思ってくれていたなら尚更、自分が嫌悪している筈の勇者の紋様は刻まない筈では…?


少しの間、口を閉ざすカナタ


ベッドに座る彼がそのまま真後ろにぱたん、と大の字に倒れて深く溜息をつく


「……119人、これまでの勇者はこんな見知らぬ世界、関係ない人間の為に戦った…命を賭けて、だ。戦いなんか無い故郷からこんな血なまぐさい世界に連れて来られて…平和の為に戦ったんだよ、「勇者」達は。……その「勇者」って言葉を、ただ毛嫌いなんて出来ねぇ、って話。…だから、捨て切れなかった…」


天井を見上げながら苦い思い出のように口にするカナタはどこか寂しそうにしていて、それを見ているだけでは絶えられず、私もカナタの腕に頭を乗せるようにして倒れ込む


「俺が「勇者」を全否定して破壊の化身と称したら、全ての「勇者」までそうだと言ってるような気がして…だから、なるべく勇者は名乗らなかった。あくまで、あの血と屍の山を造った男は「神藤彼方」であって、「勇者」ジンドーでは無いと…思いたかった。………はぁ………歴代みんなは俺をどう思うかな……」


「決まってるじゃないですか、そんなの」


昨日の闘い、力の見せ方から分かりましたが、カナタの中で自分という「勇者」は怪物…それを見せつける戦い方でした


自身を勇者とカミングアウトしながら、貴方は「怪物」の方だけを見せていた…でもそれは違いますよ


「……勇者ですよ、カナタ。私達、この世界での勇者の意味は…「希望」なんです。他の勇者の皆様が成し得なかった到達点に、120人目にしてようやく手を掛けた勇者…それがカナタではないですか。それに…私はカナタが勇者でなくても愛していますが、勇者であっても嬉しいですよ?」


むしろ心が踊ります、と付け加えるとちょっと困ったように笑っている


勇者の弟子…私達の戦闘スタイルは、つまるところカナタの力の3つに分けた、ということです。


シオン・エーデライトは勇者の『火力』と『剛力』


マウラ・クラーガスは勇者の『迅速』と『強襲』


ペルトゥラス・クラリウスは勇者の『頑強』と『技巧』


私達は3人で、カナタに並び立てる…そういう事なんですね



「…ご飯、食べましょうか。元気を付けないと、この後倒れてしまいますから」


「そ、そこまで節操なしでは…あ、いや、なんでもないです…」




素直に私を欲してくれるカナタも素敵ですよ





ーーー





『なぁ、そろそろいいだろ?思い詰め過ぎなんだよなぁ、お前』


『ホントよ。私なんて結構能天気に楽しんでたトコあったって言うのに…ちょっと真面目すぎるんじゃない?』


『てか、やっぱこれ時間軸ズレてんぞ。俺が来たのが130年前なのに、多分近い時代から来てんな。いつ生まれ?』


『アタシ2065年』


『あ、俺2060年』


『んで、俺が2066年』


『すげぇ、マジじゃん』


『お、もしかして黒鉄の話してる?』


『そーそー。こいつずーーー…っと勇者だの殺し過ぎただの気にしてんだよ。そろそろ開き直っても良くねーか?』


『いやいや、俺も来た時は手が震えたもんだ。俺達みたいな平和育ちが世界救うなんて事自体、お門違いってもんだ』


『胸張って言や良いんだよ!「俺こそが世界を救った勇者様!」ってな!んで、そんなこと悩んでんの?』


『惚れた女達に勇者なんざ知られんの怖いってさ』

 

『はぁ!?勇者って言っちまえばよりどりみどりだろ女なんて!』


『うーわ、サイテー』


『サイテーなのです』


『いっぺん死ね』


『この程度は男なら当たり前だっつの!ってかもう死んでるわ!』


『まー、そろそろ立ち直ってもいいと思うんだがなぁ。あと一息と言うか…いやこれでもかなりマシになったんだぜ?開き直り具合66%ってトコだな』


『ま、謙虚は美徳よ?最初から勇者様ムーブでイキる痛いオタクじゃないだけ得点高いわね』


『ほら、言われてんぞ暗影』


『俺だけ!?いや俺より土天の方がイタイタしいヒーロームーブしてたろ!がっつり「帰ったら結婚を〜」なんて死亡フラグまでぶっ建てて死んだの知ってんだぞ!』


『バッカお前…それなら豊穣の「待ってて王子様」ムーブもなかなかに直視出来ねぇもんだったって』


『はぁ!?アタシを巻き込まないでくんない!?』


『なんで暴露大会になってんだ…?』


『夢幻の奴がオタク嫌いって話から転げ回って…ちなみに雷導は?』


『…聞くな、蒼炎の…。黒歴史は誰にでもある…』


どこか懐かしさを感じる馬鹿騒ぎが、遠くから聞こえてくる


まるで教室で帰る前に集まったクラスメイトが投げ合う、気兼ねの無い雑談のような…


人の姿が遠くに見える


見覚えのある…懐かしい服装の男女だ。ジーパンやパーカー、ポロシャツ、学ラン…この世界に無い先進的で、それでいて当たり前の姿をした彼ら彼女らはこっちを見ながら他愛ない話に花を咲かせているのだ


なぁ、あんたら…もしかして…


『焦んなって、時間ならあるし。このまま勇者だって思っきし開き直れば好き勝手会話も出来そうだわ』


『話してみたかったのよねぇ、私。黒鉄はなかなか女の趣味が良いわよ?』


『ま、お前とは違うわな、夢幻の』


『殺すわよ?』


『ま、何にせよこれからだ。なーに、俺達が憑いてっから、思いっきり「勇者」してこいよ、黒鉄。なにせ、お前さんは…』








『『『『『『勇者達の希望の星なんだから』』』』』』
















「うぉあっ!?………っなんだ今の……?」


がばっ、とタオルケットを弾き飛ばして体を跳ね起こす


何か、妙な夢を見た気がする


誰かと話していた…いや、夢にしては憶えが良すぎる


妙や汗が体を伝うのが居心地悪い


窓を見れば真っ暗で、夜もふけているのが良くわかり、傍らには裸体のまま寄り添って眠るシオンの姿…それを見て少し落ち着きを取り戻す


あの後、昼食の露天飯を2人で綺麗に平らげると、食事の次は…という勢いで2人揃って3大欲求の内1つに思いっきり精を出し、出しすぎてシオンが「か、なたっ、もうっお腹いっぱいですっ」「私もっ、限界はあるんですよっ!?」と言ってから3時間後に意識を失い、そのまま彼女を抱き締めて眠りに就いた


真っ昼間からである


つまり、昼間からぶっ通しで夜までやって今は深夜という訳だ


爛れた生活にも程がある



(明らかに夢じゃない…誰かの意思が語りかけてた…いや…誰か、なんて検討はつく。問題は…)


自らの胸の紋様に手を当てる


(…魂魄防御は発動していない。悪意と害意は無しか。ちっ…こっちから接触する魔法は持ってねぇ。死霊術師なんてレア魔法使い会った事も無いしな…)


ぼふんっ、と枕に頭を鎮め深々と溜息をつき、捉えどころのない出来事への不満を、眠るシオンの紅の髪を指先で分け、額にキスをして宥めていく


擽ったそうに喉を鳴らす彼女に心癒されながら、空間モニターを眼の前に出現させ、この世界について調べた情報をスクロールしていく


カナタが調べられる限りの情報と記録を全て詰め込んだのは紙ではなく電子媒体…ならぬ魔法媒体にデータとして残してある

それを素早く下へ下へと進めていき…ぴた、とある項目で停止した



『土天の勇者セナアズマ

土や土砂、岩を超広範囲かつ無尽蔵に操る特異魔法「天閉地闢エアーズロック」の所有者  174年前、大都市を滅ぼし王国へ向かっていた魔蛇龍ガヘニクスの侵攻を阻止するべく出撃し、善戦するも左半身を食いちぎられ 戦死』


『夢幻の勇者カイユリエ

ゴーレム等の無機物にすら幻覚や幻惑、認識変更を可能とする特異魔法「幻想大全ミラージュ・プライマリー」の所有者  210年前、謎の失踪を遂げ1年後にボロボロの姿で戻るも、翌年、魔物を率いた魔族の大攻勢を止めるべく出撃し、先導の魔族に心臓を貫かれ、209年前戦死。尚、この失踪にはバグスター、ガベル両家の関与あり』


『暗影の勇者アスマクニト

自分や物の影を自在に実体化させ、変幻自在に操る特異魔法「影創無明シャドウ・アサルト」の所有者 117年前、旅の最中に立ち寄った村を魔物の大軍に包囲され、仲間と村人の退路を維持する為に殿を努め、負傷者すら出すことは無かったが魔物大軍に押し潰され 戦死』


『蒼炎の勇者シマダヨシヤ

超高温かつ、物理的に性質を持つ奇怪な蒼い炎を操る特異魔法「蒼天炎熔メルトブルー」の所有者  336年前、始めて確認された四魔龍ルジオーラと初めて会敵した勇者であり、奮戦の末全身を氷漬けにされ 戦死』


『雷導の勇者アカシマリト

物はおろか空間ですら自在に反射し変幻自在に軌道を変え、当たれば貫通する特性を持つ膨大な雷と電力を操る特異魔法「雷源千導ミスティックプラズマ」の所有者 270年前 ラヴァン国境付近に進軍した魔神族を率いた魔将ガランドーサと激突。左腕喪失、胴体に3箇所の大穴の重症の末に戦死』


『豊穣の勇者イツカマホ

あらゆる植物、希少な魔草であろうとも瞬時に成長、変形させ、様々な植物の生態そのものを弄ることで新種の植物すら産み出し自在に操る特異魔法「地母豊穣エタナシェルナ」の所有者  227年前、その特徴的な大魔法故に彼女を戦わせずに食料事情の解決に従事させるべき、との論争が起こるも、付近の山に魔蟲龍エデルネテルの営巣が始まり出撃。撃退の末行方不明となるが後にエデルネテルの巣跡に彼女の無惨な亡骸が発見され死亡を確認』



額を抑えて、息を深く吐く


その遺影となる映像や当時の映像記録も可能な限り掻き集めたが、その顔はあの夢に出てきた面々と同じ顔をしている…間違い無く、夢の中で語りかけてきたのは彼らだ


…まさか、まだ意識のある状態で、魂のままこの世界に残り続けている…?


(…駄目だな。分からない事が多い…彼らに話を聞きたいがこっちからは接触出来ないとなると…)




「待ち…か?」



難しい顔を辞めて欠伸をする

敵じゃないならそれでいい…そう判断するカナタは再びシオンを抱き寄せて眠りにつく



意識が眠りに入る直前…その様子を、どこかで先輩達が見ていて、楽しそうに指をさしてる光景が、何故か頭に思い浮かんだのであった






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【後書き】

 



「っ…むぅぅっ………むぅぅっ……!!」




「ま、マウラさん、どうかなさいましたの?」


「しっ!ラウラさん…!マウラは今、ムカついておる…!」


「ムカついてる!?ど、どうして…」


「…私が本編でしこたまカナタとお愉しみ中ですから、まだ私達の中でシてないのマウラだけなんですよ…。それで………あんな感じに……」


「その言い方だとカナタさんと体を重ねたいだけに聞こえますわよ!?それだとただの淫乱に聞こえ…」




「…っ私もカナタと…っえっちしたい…っ…!」



「言い切りましたわ!?」


「奴は今、獣人の本能のままに欲した男へ動く本能の獣なのだ…今のあやつにカナタを会わせたら、即押し倒し、即合体の可能性すら…」


「マウラは…激しそうですよね。カナタ、大丈夫でしょうか…」


「縁起でもありませんわ!…いえ、お待ち下さい!でもその先の展開が私にも見えますわよ…どうせカナタさんの事だから一度始めたら多分激しくなるのはどちらかと言うと…しかも変に襲われて逆に火が着いたらどうなるか…」


「「……危ないのはマウラだった!?」」


………


「……いや待て?むしろそれはアリなのではないか?」


「……確かに。壊れる程一心不乱に求められるのは…アリです」


「お二人共!?考えてる事がマウラさんと変わりませんわ!?あと私がお相手する時のハードルが上がるからおやめなさい!私、貴女方のようにフィジカルのステータス高くありませんのよ!?」







R18版〜シオン編〜はその内書きますので、気が向いたら読んで下さいです


ここまで読んでくれてありがとうございました


それではまた


「む…つ、遂に私ですか…流石に恥ずかしいです…」


「くくっ、存分に乱れて来い、シオン」


ちなみに、ペトラ編2とか3とかも考えてます。だって、ヤりまくってたし


「えっ」

 

「楽しみですね、ペトラ」


「ちょっ」

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