第10巻 動かぬ足
二人が予定より早く遠野家に戻って来た、その翌日。
「・・そう」
桃子は祖母に、見たまま起きた事を話した。
「おばあちゃん、アレは一体なんなの?」
祖母は黙って首を振るだけだった。だがそれは妙な話で、桃子とは違ってもう何十年とこの仕事をして来た人だ、まして【千里眼の遠野小百合】として名のある人物でもある。
件の少女、あの着物姿に鞠を持つ少女を知らないハズが無いと思っていたが。
「天ちゃんと話は付けてあるから、桃子・・続きはお願いね」
その場に詩織の姿はなかった。代わって、天狛が桃子のボディーガードを兼ねて封印の監視に派遣される事になった。
比較的安全な街中の場所が一箇所あるが、それは勉強を兼ねて祖母が弓弦を連れて赴くと言う。
「詩織・・詩織の足はどう?」
桃子はそれを一番心配していた。昨晩、彼女らが帰宅した時には既に詩織は足腰の不調を感じていたが、我慢強くそれは訴える事はなかった。
自分も、長旅とあの一件で酷く疲れていたし転んで中々立てない詩織を見ても、きっと疲れたのだとしか思わなかった。
「病院には、ちょっとあの子が落ち着いた頃を見計らって行ってみないと、細かい事はそれから」
そう言う祖母の表情は重かった、昨晩は本家に泊まった桃子も一部始終を知っているのでそれ以上は聞かなかった。
座れない、階段を登れない。詩織がおかしい事に気付いた桃子は、祖母達を呼び詩織は祖母とその運転手をしている青木に連れられて病院へ運ばれた。
だが、帰って来た時に詩織の姿はなかった。原因不明の下半身不随であるという。
「・・わかった、あのオジサン連れて残り見て来る」
桃子は静かにそう言うと部屋を出て行った。毎年の事で現地の関係者も待ってくれている為に時間が無いし、さっさと終わらせて天狛を連れて行けば入院している詩織も少し元気付けてやれると思っていたからだ。
そう言う意味でも、あの鞠の少女の件でも天狛を手配してくれた事はありがたい事だ。
「おぅ、行くか・・」
桃子はてっきり、天狛の住み込む家まで迎えに行く手間を考えていたが、彼は既に駐車場で待っていた。
「ああ、天狛さん!・・どうして?」
天狛は何も説明せず、黙って助手席に乗り込んだ。桃子は知らない事だが、天狛は運転手の青木や法被姿で庭の掃除をしている永野との付き合いは彼女より長いと言う事だ。
青木は詩織を病院に連れて行ったその足で、天狛に事情を説明しに訪ねていた。
「・・ね、詩織のコトは聞いた?」
天狛は黙ったまま、外界の景色を眺めていた。桃子はそんな態度に腹を立てて、明らかに表情を苛立たせている。
「聞いてんの!?」
「今、俺達があーだこーだ喚いても仕方ない。・・仕事に集中しろ」
天狛は終始落ち付いた様子で、今も桃子の焦りや怒りを静かに納めるような穏やかな声で語っている。
「じゃ、まず金剛蓮寺って所の・・」
色々不満はあるが、天狛の言う事にも一理あると桃子は気持ちを切り替えた。
「千地蔵な、そこは終わった。異常無しだ」
「え?なんで・・」
天狛の言葉に驚いた桃子は、すぐに反応してしまった。
「昨日、婆さん達が来てな・・話は聞いたよ。そこならウチから近いから先に済ませといた、夜中に行けばあのガキが出てくると思ったんだがな・・」
天狛は天狛なりに、なにか考えあっての事らしいが・・単純にあの鞠の少女を討つ為に行動しているらしい。
「あんたね、先に言いなさいよ!逆方向じゃない!」
国道脇のドラッグストアに停まったなり天狛は怒鳴られ、車は来た道を戻り始めた。
これで担当している場所は残すを一つとなった。ここからなら高速道路に乗ってしまえば日帰りも可能だ。
ギリギリで面会時間にも間に合うかもしれない。もしかしたら天狛はそれを見越していたのかとも思って、桃子は車を走らせた。
「詩織の病院、アンタも来なさいよ?」
任意である必要はない、そう思ったが彼の真意は知っておきたい。拒否した場合の制裁を考えねばならないからだ。
「お医者先生に診てもらって、治るモンなのかね・・」
彼の反応は意外なものだった。桃子自身、薄々とあの鞠の少女と関連があるのではと感じていたからだ。
「トイレ行きたいから、次パーキング停まるわね」
桃子がそう言うと、天狛は何も言わずポケットの小銭やらを確認していた。
「天狛さんも、用事済んだら車で待ってんのよ。わかった?」
大人に言う事じゃないのはわかってはいるが天狛はある種何をするか読めない男で、自分の弟に言いつけるより若干厳しい口調になってしまう。
催していなければ返事があるまでしつこく言い聞かせるつもりだったぐらいだ。
天狛はそんな事はどこ吹く風と、自販機で何か飲み物を購入して入口近くの公衆電話を手に取った。
ちなみに彼は通信端末を所持していない。根っから自由が好きで、根無し草である故に誰から連絡があるで無し。
だから珍しく誰かに連絡をする時、まるで自分と同じように時代の流れに乗れずに消えて行く様な公衆電話を探しては、こうして手に取るのである。
「ああ、俺だ。天狛・・すまんな、久しぶりで・・」
何処に繋がり、誰と話しているかはわからなかった。ガヤガヤと集団が前を横切って、彼を隠したからだ。
「遅い!なにしてんの?」
車に戻って来た天狛は、相変わらず黙って桃子にペットボトルを差し出した。
悪態ついで小さく礼を言うと、こう言う所は憎みきれない男だと桃子は思った。
目的の場所に近い所で、有料山上道路に向かって車線を変えた。ここから北側に向かって一度山の反対側に出る。
「もうすぐね、天狛さん荷物持ってね」
ここの所、彼との行動が多かった桃子は、扱いという物がわかって来た。
頼まれなければ何もしてくれないが、頼んでしまえばなんだかんだ、聞いてくれる。詩織と二人より落ち着かないが、頼りにはなるのだ。
「奥の院、その更に先にあるのか」
途中、既に道が良いとは言えず、勾配がある上に凸凹としていて、ロープウェイが見える。行く先はかなり厳しい斜面もあり桃子の足では危ないかもしれない。
4代駐車出来る専用駐車場は埋まっていたが近場にアスレチックパークと題された施設があり、そこは有料ながら駐車出来る。
看板には様々と有名企業の保養施設や個人別荘が案内され、その案内板に書かれた道を歩いて行く。
大昔に建てられた私立学校の様な立派な門に沿って、その脇の小さな、人一人やっとの小道に差し掛かった。
「桃子、お前残ったらどうだ?」
「アタシ、遠野の人間よ?他所から来たアンタだけに頼るワケないでしょ!」
そうは言うが、荷物持ちとしてはきっちり頼る。天狛も足元以外危険は無いと思った。何故なら、嫌な気配は微塵もないからだ。
人が普段いない場所に入る時、この感と鼻が頼りだ。獣がいるなら臭う、邪な者がいるなら空気は冷たく重くなる。
「アタシが転んだりしたら絶対助けなさいよ、わかった?」
詩織がお嬢さんなら、コイツはお嬢様なんだなと今更思う天狛だが口にはしなかった。
そして歩く事10分ほどか。目的地の入口となるインドから渡来した仙人が開いたと伝わる寺院にたどり着く。
ここに祀られている神は仏教では弁財天と同一とされており、至る所にその名が書かれたり、又は刻まれている。
そこから道と呼ぶには険しい石を切り出したであろう階段状の坂を数人の参拝客が降って来ていた。
「どうも、こんにちは」
すれ違う様、挨拶を返す天狛だが、桃子は高い場所は苦手かロープを握るのに精一杯のようだ。
この先に奥の院、その御神体たる巨石群がある。縄文時代から既にそれは存在を確認されており、一部人間が手を加えた遺跡でもあると言う。
「岩と岩を重ねた祠か・・」
至る所に飾り縄があり、古よりの日本人の山岳への深い信仰心がそこに遺されていた。
「や、やっと着いた〜」
へたり込む桃子には悪いが、実は遠野縁の場所はまだ先になる。ここから完全に道は無いので天狛はここで待てと言った。
「ここまで来て、アタシが退くワケないわ」
天狛はそれを聞くと、まるで猿の様に岩から岩を伝い、記された場所を探した。
「ちょっと、アタシ置いていく気!?」
すると、天狛は身体に巻いたロープの端を結び輪を作りそれを垂らした。掴まれという事だろう。
それに桃子が足をかけて掴まると、ゆっくり引き上げた。大した膂力である。
「60キロぐらい・・あるの?」
天狛はある程度持ち上がると、木に括り付けて手を貸してやってそう言った。
「ンなワケ、ないでしょ失礼ね!」
桃子は必死に岩と天狛の手に縋り付いて反論した。たった二メートルか三メートルかでも怖い物は怖い。
桃子も後で知る事になったが、子どもでも進めるような比較的安全に登るルートがあったそうだが、今回は急ぎで案内人が間に合わなかった。
そしてそこからは岩の上を歩く。しかし、それは木々に覆われた一本道と言っても良く、その先に洞窟が見えた。
「あの中だな・・」
真っ黒闇だが、火気は厳禁である。
「やるわね、ちゃんとライトあるじゃない?」
天狛の懐が光っていた。しかし、天狛自身は不思議そうにそれを取り出した。
「なぜ、光ってるんだ?」
天狛が握り締めたヴァジュラは、ぼんやりとまるでペンライトの様に発光している。薄明りではあるが、充分目先はわかる。
「あ、あれ!・・あれ見なさい!」
後ろから桃子の声が興奮気味に何かを指している。
その先には同じようにぼんやりと何かが光っている。
「行き止まりだ・・」
「何かの・・文字?」
二人には解読出来なかったが、その碑文はホツマツタヱ・・ヲシテなる神代文字で記された物であった。
「・・アンタ、わかる?」
ヴァジュラと共鳴する様に光る岩、持ち主である天狛が何かを知っているのかと思い、桃子は聞いてみたが、天狛は首を振るだけだった。だが、思い出した事はあった。
「この辺りにゃ、確かに古代文字で記された碑文はあちこちあるそうだ。だけどそいつは全部、意味の無い偽物だって聞いたな・・」
かつて天狛が聞いた話だが、桃子達の祖母、小百合には流石にここまでの道のりは厳しい。
そこでこう言った事を代行していた、以前遠野に出入りしていた結構な年齢の男性がいた。その人物からそう聞かされた事があったのだ。
「普段は左官屋でな、わかるか左官屋?釣りと酒が好きなおっちゃんでな・・ヒマな時はたまにおっちゃんの仕事・・」
「ちょっと、もういいから!」
昔話に咲きかけた花を桃子は押し退けてスマホで写真を撮影した。今後なにかの役に立つかもしれない。
「学術的に、なんか役に立つ物はない偽書ってたんだがな・・」
「ダミーかもしれないでしょう・・?」
確かに、言われてみればさっきまでの道のりでヴァジュラはあんな反応をしなかった。
もう6年は懐に入れているが、初めての事だった。
「そうだな、まあそいつは帰ってからまた考えようや・・もう4時だ」
天狛はそう言って、桃子を急かした。詩織の所へ行ってやるなら面会時間を考慮すると1時間ほど余裕があるだけだ。
「そっか!」
日が落ちかけて、あんな道なき道を戻るのは御免被る。ただでさえ、登るより降りる方が怖い。
「よし、来い!」
案の定、天狛はこの急な斜面を滑り台にして、先に降りてしまった。来いと言われてもすぐに絶壁。怖くて仕方ないがこんな時見栄っ張りなのは救いにもなる。
「アンタ、絶対ちゃんと止めなさいよ!!」
桃子は腰掛ける様に岩に座り、相棒を信じて滑り落ちた。
「いつまで触ってんのよ、このエロオヤジ!」
自分の身の安全を確認して安心したら、さっきまではもし失敗していたらまるで道連れにせんがごとく勝手にしがみついていたのにこの言い草で、女と言う生き物は寸分漏れずこうだなと天狛は再確認するに至った。
「それが、何処にも異常は無いんです・・」
病院では、祖母・小百合が医師から説明を受けていた。
脳神経、筋肉、骨、脊椎あるいは血液、あらゆる箇所に所見なし。至って健康なのだ、と言う。
もし精神的な物が原因であるのならば、このまましばらく入院し、車椅子で自宅療養して経過を見る。それはもはや運を天に預けるしかないと宣告された様な物だ。
だが小百合は気丈な振る舞いは崩さず、そのまま病院を出て運転手の青木と自宅へ戻って行った。
昼までに詩織との面会は済ませていたし、何より詩織自身が一番打ちのめされていた。なんとか解決する方法を探してやりたい。
「・・天ちゃん、行ってくれるかしらね」
そう独り言を呟いた小百合を、バックミラーで少し覗き込むと青木は言った。
「あれ、ああ見えて意地の悪い男じゃありませんよ・・きっとお嬢さまの為に駆けつけます」
青木は天狛とプライベートはたまに出かける仲だ、とは言っても青木の趣味の競艇をやって帰りに一杯引っ掛ける程度だが、男の遊びは男がわかる。
それが青木の自負する所である。しかし、小百合の言葉の意味は少し違っていた。
それから数時間、すっかり日が落ちる時間は早くなった。もう月が病院の駐車場の木々から覗いている。
「天狛さん、ちゃんとお花持って!二人っきりにするから、詩織になんか言ってあげんのよ、わかった?」
車から二人が降りて、長旅の疲れに背中を伸ばしていた天狛に、花束が渡された。だが、それを投げ返して野暮用があると、桃子の制止も聞かず一人天狛は正門へ歩いて行った。
「なによ、これあのオジサンからって言っとくから!」
桃子は大声で天狛の背中に向けてそう言った。もっとも天狛からむしり取ったお金で買った花束なので、それで間違いでは無いのだ。
「久しぶり・・」
天狛が向かった先に、一人の女性が玄関ホールの柱の前で腕時計を眺めて待ちぼうけしていた。
天狛の声に振り向いた女性は、豊かなウェイブのかかった長い髪を揺らしてこちらを見た。
キリッとした太い眉で、オリエンタルな彫りの深い顔立ちの美女だ。ゆっくり天狛に近寄ると、180センチを超える天狛と比較しても遜色無い長身がそれに説得力を持たせた。
そんな立ち姿はまるで海外のモデルの様に威圧感すらある。
「久しぶり!天ちゃん・・ウチを待たせるなんか、出世したな!」
意外にもキツい関西弁を口にした謎の美女は、見ためとしては詩織達より少し上程度に見える年齢だと思われるが、天狛の古い知り合いの様である。
そのあたりは、人間表情に良く出る物だ。女は男の片腕を握り締めて、お互いにまるで遠い昔を懐かしむ様な柔らかい眼差しをしていた。
「・・桃!?」
病室では枕元にいくつか好きな詩集や小説を並べて、詩織がベッドにかけていた。
「詩織、大丈夫?痛くない?」
桃子は詩織の側に立ってベッドに乗り出し、花束を持ったまま詩織の頭を抱いた。
「ううん・・大丈夫、ただ動かないだけ」
カーテンが揺らめいて、桃子は寒く無いかと聞きながら、据え置かれた花瓶に花を挿した。
隣には祖母が見舞った際に生けた紫の花束が月明かりに照らされている。
「これね、天狛のオジサンが買ってくれたのよ、詩織の為にね。もうすぐ来るハズだけど・・」
そう言われて、詩織は花束を見つめた。その表情からすぐに陰りが少し消えて、桃子も眉が少し緩んだ。
「・・あのお花、天狛さんが」
そこに、やっと天狛がやって来た。そしておかしな事だが、何故か見知らぬ女性を連れている。
「天狛さん・・!誰、その人?」
こんな時、反応が早いのは桃子だ。だが、天狛は紹介などするつもりも無い。そして隣に立っていた謎の女性から話し始めた。
「なーんや、カンタンな術や・・天ちゃん、ちょっとこの娘の足持ったって!」
そう言うと、謎の女性はバッグから1枚の札を取り出し、ふくよかな胸に盛り上がったビリジアンのセーターの前に構えた。
「お嬢さん・・ちょっと、すまないな」
そう、一言詩織に囁くと、天狛は布団を這いで両足を持ち上げた。
突然の事で、詩織はおろか桃子も言葉を失ってしまっている。
「そやな、影が出来たらエエよ」
そう言うと、謎の女性は眼を閉じて小さく唸る。すると札はピンと張って、額、胸元と振られても紙とは思え無い硬さを感じさせた。
「破ッ!」
そして掛け声と共に、詩織の足とその影を幾度か切り裂く様に激しく札を振り捌いた。
「・・影しばり。古典的で単純な呪術や、私にかかったらこんなんの浄解は朝飯前や!もう晩ごはん前やけど、な!」
そう言うと、女性はもう感覚は戻り始めているハズ、と続けた。
「もしかして、あの時・・」
確かに、鞠を持った少女が何かしらしたのであれば・・桃子も心当たりがあった。
「なんやあんたら、遠野の娘やろ?そんな事も知らんのかいな・・」
桃子は悔しくて、女性をつい睨み付けてしまった。しかし、こと美貌、ルックスに関しては自信のある彼女も、何故か気圧されてしまって言葉は出なかった。
事実、彼女が言った事が本当なら、自分にはいつ術中に嵌まったか気づけなかった事も負い目となっている。
「・・あ、ああ!動く、少しだけど」
そんな時、詩織の発した声に病室の緊張は柔らかいだ。
「良かったな・・お嬢さん」
詩織は天狛の眼を見た。それはとても優しい声でどこか申し訳なさそうな悲し気な眼差しだった。
「ほな!約束通り、この天ちゃんは今後ウチで預かります、じゃあね、バイバイ!」
「アンタ、ナニ勝手な事言ってんのよ!?なんとか言いなさい!」
桃子はその言葉に、院内である事など知った事でなく即座に怒鳴り声をあげて出て行こうとする二人を止めようとした。
怒りに任せて天狛の背中を鷲掴みにしたが、彼はただ少し立ち止まるだけで振り向きはしなかった。
「・・こうするしか、なかった」
天狛がそう言うと、詩織はなにかを察したか涙をポロポロと零した。
「天狛さん・・まさか、私の為に・・私の足を治してもらう為に・・?」
桃子が詩織の肩を抱いても、詩織はまだ動かすには厳しい足を無理にベッドから出して立ち上がる。
しかし、コントロールするにはまだ時間が必要だったのかすぐに倒れた。
「天狛さん・・天狛さーん!」
床に突っ伏して泣く詩織。二人と入れ替わりの様に入って来た看護師達に桃子も退けられたままただ、呆然とするしかなかった。
風が一陣、病室に吹き込んで花びらを1枚攫う。月明かりに舞うそれは天狛のさようならの想いを乗せているかのようだった。
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