第87話カイザルの覚悟
そこまで言うと鈍い俺でも皇帝陛下である父上が何を言いたいのか流石に理解できる。
そして皇帝陛下は一呼吸おくと、続けて話し始める。
「そう、お主らが今思っておる通り初代皇帝の父上は竜属なれば、その初代皇帝陛下の父上である竜の血を受け継ぐ者であれば、マリーを救う事もできる。 一度、初代皇帝陛下の父上である竜、
「「あ、ありがとうございますっ!!」」
まだマリーを救う手はある。
勿論その方法が方法である為マリーや相手となる方の気持ちにより左右される事は分かっているのだが、それでもゼロではないと知って俺とウィリアムは安堵するのであった。
◆
前日カイザル様に呼ばれた時は何が何だか分からず、それでも『マリーを助ける方法があるかも知れないから一緒に俺の父上である皇帝陛下との謁見の場に来てくれ」と言われれば行かないという選択肢は無い。
そして、そこで聞かされた話はかなり衝撃的な話であり、そしてその話を俺にも聞かせてもよかったのかとすら思うのだが「マリーの騎士なのであろう?」と返されては返す言葉もないし、皇帝陛下には感謝してもし足りない。
マリーを救う方法はとても条件が厳しすぎるようにも思えたのだが、ゼロではないと知った時は心の底から安堵すると共に嬉しさが込み上げてきた。
そして尚も、マリー様が助かるかも知れないという事を嬉しく思うと同時に、責任というものも同時に俺の背中にのしかかってくる。
しかし今はその責任すら心地よいとすら思ってしまう。
昨日までの、暗く閉ざされた未来しかないと思っていた頃と比べれば雲泥の差である。
「なぁ、ウィリアム」
「なんですか? カイザル様」
そう思っているとカイザル様が話しかけて来るので答えるのだが「俺はもう皇族ではないのだから様付けも敬語もしなくていい」と返されてしまう。
どうやら今日という日を作るのにカイザルは皇族という血を捧げたのだというのだから驚愕するとともに、カイザルの『マリー様を助ける』という決意の強さも同時に伝わってくる。
「俺もマリー様の騎士にして頂きたい。 その為にマリー様へ合わせて貰えないだろうか?」
「分かった。 カイザルの覚悟は伝わってきますので俺と一緒に頼んでみましょう」
「ありがとう。 恩に着る。 あとはそうだな、その前にやり残した事を、倒し損ねた奴を倒しに一緒に行かないか?」
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