第84話初代皇帝陛下
そもそも人属は元々魔力を持っておらず、当然魔術も使えなければ魔力欠乏症も、魔力がない事が当たり前であるため当然なかったとのこと。
では何故人属が魔力を手にしたのかというと、今から数千年前に人属の一人の女性がとある竜と恋にち、その間に生まれた子供が魔力を扱えたのだと言う。
その魔力は強大で父親である竜と比べれば少ないものの、それでも並の竜程度ならば余裕で上回る魔力を保有していたという。
その子供の血が、子供へ、そしてその子供へという風に広がっていったのが今の魔力を持つ人属だという。
それと共に竜の血も当然薄まる為、人属の中で魔力を持つ者が増えれば増えるほど魔力保有量は少なくなり、今では竜どころか亜流であるワイバーンですら一人で討伐できない程にまで薄まっているのだという。
そして今では人属が魔力を持つのが当たり前になったのだが、当たり前すぎて逆に魔力がないと生き辛い世の中になり、そしてその結果魔力を持たない物を魔力欠乏症という病名がつくようになった。
この症状は極めて稀で百年で一人生まれるかどうかという確率の為あまり知られていないのだが、現にゴールド家の娘、マリーがそうであるように実際に起こりうる症状である。
理由としては先祖返りであり、魔力が強力だった頃の世代を受け継ぐのか、魔力を全く持たない頃の世代を受け継ぐのかの違いでしかない。
そしてマリーは前者であり、膨大な魔力を引き継いだ結果、マリーの身体がその膨大な魔力量に耐えきれず魔力欠乏症となったのだという。
因みに後者の血を引き継いだ場合は、魔力がないというだけでその他はいたって健康そのものなのだそうだ。
「以上が、ゴールド家の娘であるマリーの身体に起きている事である」
そう父上に言われても、正直言ってにわかには信じられないというのが素直な感想であるのだが、実際にマリーの症状という事例が身近にあり、とりあえずはこの話を信じなければ先へ進めないというというのも事実である。
それはウィリアムも同じ考えであるらしい事が、その表情からも見て取れる。
「そ、それで、その話とマリーを救う方法というのはどう繋がるのでしょうか?」
「焦る気持ちも分かるが、順を追って説明するからそう急かすでない」
「も、申し訳ございません……」
そして焦る俺を嗜め、皇帝陛下は話を続ける。
「では、話を続けるとしよう。 そして先程竜との間に子供が産まれたとあるのだが、この方こそ初代皇帝陛下その者なのである。 彼は竜の血を濃く引く為強大な魔力を持ち、そしてその寿命も長命であった。 それが初代皇帝陛下の今尚語られている数々の伝説である」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます