第73話後で慰めてあげよう
ホント、この身体が嫌になる。
「マリー様っ!!」
そうわたくしが自分の身体に嫌気が指したその時、ウィリアムが私の前に現れたかと思うとウィリアムが突風に吹き飛ばされ、わたくしはなすすべも無く上空からわたくしを叩きつけて来る突風に押しつぶされて身動きが取れなくなってしまう。
「あなた方はここで何をしているのですかっ!?」
そしてこの強烈な突風を作り出した魔術師が怒りで満ちた表情でこちらに近づいてくる。
「あ、あう……っ」
言い返したいのだけれども、上から叩きつけて来る突風が強すぎて言葉どころか呼吸すらまともにするする事が出来ない。
「まぁ、マリーとかいうゴミのする事など知りたくも無いのですが、私の目にはスフィア様がずぶ濡れになっているように見えるんですがねぇっ!?」
「貴様ぁっ! 我がご主人様にこのような事をしてただで済むと思うなよっ!!」
「おぉ、怖い怖い。 どうせマリーの事ですから裏で賄賂を渡されたのでしょうけれども、それは明らかに被害者であるスフィア様ではなく、マリーを庇うに値する程の物なのでしょうか? 近衛騎士団を代々纏め上げる家系であるペイジ家長男が下した判断は、欲望に負けて正義よりも悪魔と手を組むことを選んだとは、スフィア様をマリーの悪事から守って来た元同僚としてとても嘆かわしいと共に、理解に苦しみますねっ!!」
ウィリアムが、わたくし達を攻撃してきた魔術師であるグリム・フェルディナン・ダルトワへと反撃してくれたお陰で上から叩きつけて来る突風が消えてなんとか息をすることが出来た。
もう少し遅れていたと思うとゾッとしてしまう。
それでもただでさえ体力が無くなって来たところでの突風であった為わたくしは身体を起こす事が出来ずにそのまま地面に倒れてか細い呼吸を繰り返すことで精いっぱいである。
「だ、大丈夫ですかっ!? マリー様っ!!」
血相を変えて即座にわたくしの近くまで来て顔を覗き込むように声をかけてくれるスフィアには悪いのだが、返事を返す気力すら残っておらず、目線を動かす事しかできない。
そして見たスフィアの顔は今にも泣きそうな表情をしていた。
「剣士の弱点を知っていますか? ウィリアム。 それは決して近づかず、遠距離から攻撃し続ける事ですよ」
「……ぶっ潰す」
首を動かす体力も無いため実際に見る事は出来ないのだが、声からして未だウィリアムとグリムは争っているのが分かる。
しかし、やはりというか距離をとられては剣士であるウィリアムにとって分が悪く、グリムに負けてしまったようだ。
きっとショックを受けているだろうから後で慰めてあげよう。
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