第38話この瞬間、学園が歓喜で揺れた

学園の


廊下の


ど真ん中でっ!!!!


「俺の気持ちに嘘偽りが無いと示すためにも俺はお前の騎士になりたい。剣を受け取ってはくれないか?」

「は、恥かしいからお止めになってくださいっ!!」

「ならこの剣を受け取って、騎士の誓いを終わらせれば良いだろう?早くしないと野次馬が増える一方だぞ?」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ」


これは最早脅迫ではなかろうか。


そして既にわたくしたちの周りには野次馬が囲い始めており、今ここでわたくしがウィリアムの騎士の誓いを蹴った場合の事を考えると頭が痛くなる。


守ると言いつつやってる事が正反対なのですが。


舌の根も乾かぬうちからこれですか。


「き、騎士の誓いというものがどのようなものか分かっていない様ですので教えて差し上げま──」

「知っているから大丈夫だ。これでも俺の家は代々騎士の家系だからな。死ぬまでお前の剣となる覚悟はとうに出来ている」


『今の俺には家督も継げそうにないし、幸い優秀な弟がいるから家の事は心配する必要もないしな』とわたくしだけに聞こえるように言うとウィリアムはいうと自嘲気味に笑う。


ここでわたくしが見捨てても一人で逞しく生きていくだろう。


ウィリアムは子犬ではないし、可哀そうでもない。


にも拘わらずなんだこの、雨の中捨てられた子犬を見つけてしまったような罪悪感は。


イケメンが自嘲気味に笑うという威力をわたくしは身をもって思い知らされる。


周囲の目で逃げ場を塞ぎ、罪悪感を刺激してくるなんて……。


なんて卑怯な。


「わたくしの評判は最悪ですわよ。おそらく貴族会で一番どん底であると言い切れるくらいには。そんなわたくしの騎士となりたいと?」

「そうだ」

「わたくしは我儘ですわよ?」

「それだけではなく意固地なのも知っている」

「わたくしは勿論、他の令嬢と婚約して、家族を作る事もできなくなりますわよ?」

「ああ、全て知っている。先ほども言ったが全て知っている上で、剣を捧げたいと思ったんだ」


これはもうだめだ。


わたくしの負けである。


どうやったってウィリアムと剣の誓いをする以外の選択肢が無いではないか。


「あぁもう分かったわよ」


そしてわたくしはウィリアムが捧げた剣の柄を手に取ると、なおも頭を下げ膝まづいているウィリアムの右肩、左肩、そして頭の上と剣先を置き、宣言する。


「この剣確かに受け取りました。これからウィリアムはわたくしの剣ですわ」


この瞬間、学園が歓喜で揺れた。





「は?ウィリアムがマリーへ剣の誓いを立てただとっ!?この俺でなくてっ!!」



──────────────────────────────────────────


結婚したのか?俺以外の奴と。


が頭に過った方はフォローと、星の刑です('ω')ノ

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