第26話一生訪れないと思いましてよ?
「何を言い出すかと思えば、そんなあなたの方こそ失礼でしょう。 私はカイザル殿下の婚約者となりますのでこの国の未来の国母となる私に対してその様な態度を取っても良いと、そう言うのですか?」
「スフィア様は、今はまだ男爵令嬢でしかありません。 それに、まだ婚約もされておりませんし、国母でもございませんわ」
自信満々の表情で何を言ってくるかと思えば眩暈がしてきそうな内容で思わず頭を抱えそうになると共に、こんな当たり前の事すら分からず権力を持った瞬間振りかざすような者が皇族に入る可能性があると思うと頭を抱えそうになる。
皇帝陛下からすれば正にバカ息子で頭痛の種なのであろう。
お父様からは皇帝陛下がカイザル殿下へこっ酷く説教をして一週間謹慎処分を下し、さらに解けるまで地下牢にぶち込まれる処置をされたという事を、スフィア様は情報として入ってきていないのだろうか?
流石に腐っても皇族内の話である為たかが男爵令嬢の小娘の耳まで情報が届いていないと言われてもなんら不思議ではないのだが、カイザル殿下と婚約するのだとカイザル殿下本人を前にして宣えるぐらいの仲にも関わらず聞かされていないのだろうか? という疑問が湧き上がってくる。
そもそも一週間も姿を見せなかった事すら疑問に思わなかったのだろうか? それともカイザル殿下がお茶を濁すような曖昧な発言で真実を伝えなかったのか、真実が何なのか分からないし、砂粒程の興味も湧かないのでどうでも良いのだが、もしスフィア様が、カイザル殿下が皇帝陛下よりこっ酷く説教をされて謹慎処分をくらった事を聞いていたのだとすれば、今ほど偉そうな態度はしていなかったであろう。
「そんな事を言っていらっしゃるのも今のうちです。 その高飛車な態度がいつまで続くかみものですっ!!」
「そうは言われましても、おそらくその様な未来は一生訪れないと思いましてよ?」
「は?」
「そもそもカイザル殿下の皇位継承権第一位であった大きな理由は長子だからという事も少なからずありましたが、ゴールド家の後ろ盾があってこそですもの。 その後ろ盾が無くなった上にこないだの婚約破棄によるごたごたで皇帝陛下からの印象も最悪。 結果カイザル殿下は皇帝陛下からこっ酷く叱られ一週間地下牢へ入れられる程ですのよ? あら? あらあらあら? この話はカイザル殿下からお聞きになっておりませんの?自称ご婚約者様ともあろうお方が?」
「え? へ? ど、どういう事……? そんな話聞いていないっ!」
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