第72話より良い環境
そしてわたくしが悶々とした感情と闘っている事など知る由もない側仕え達が、わたくしがプリントしていく、今日撮ったお花畑の写真の数々に、思い思いの感想を喋り始める。
本来、公爵家に仕えるメイド、特に側仕え等が本来仕えるべき令嬢の前で集まって談笑し合うなど普通ならばありえない光景なのだが、我がランゲージ家では注意する事もなく好きなように談笑させている。
仕事をサボる事はいけない事としてメイド長に叱るようには一応伝えてはいるものの、自分の仕事さえ終わらせればあとは自由時間にしても良いとも言っている。
そのためわたくしと母上、そして義理姉の側仕え当番が回って来るのを皆楽しみにしているのだそうだ。
ちなみにお兄様とお父様の場合はお客様の相手を基本的には一日を通して行っているので流石にお客様の前で談笑等をするわけにも行かず、そして側仕えの粗相はそのままランゲージ家のイメージに直結してしまう為むしろ一番大変らしい。
そのためお兄様とお父様の側仕えはベテランが担う事が多くある意味ではやり甲斐があり、選ばれた者が仕えることの出来る誉ある担当でもある。
ちなみに側仕えとして毎日わたくしを支えてくれてくれているマリーが陰で『卑怯』だとか何だとか言われないように、マリーには別途英才教育を受けてもらっている。
と言っても数学や『日本語』の読み書きなのだが、それらが出来ないものからすれば『難しい計算や、他国のよく分からない言語を扱えるからこそシャルロット様専属側仕えメイド』なのだと思われるようにしているのだ。
マリーの為と思っていても、それでも毎日一時間から二時間ほどサービス残業に近い形で残ってもらっているので心苦しいのだが、以前そのことをマリーに聞いてみると「むしろ勉強が楽しくて逆に有難いくらいです。 それに、これらを覚えようとした場合に月々必要となる月謝を考えた場合むしろかなりお得な事だとも思っておりますし感謝しかないです。 おかげで簡単な計算程度や【ママゾン】で買って頂いた商品の取扱説明書などもある程度読めるようになりましたしね」と返してくれる。
しかし、雇っている側と雇われている側の立場の手前本心を言えないという場合も、分かっておりますので鵜呑みにはせず、より良い職場環境になるように心がけている。
正直な話、雑談禁止、小さなミスも怒鳴り散らし、常に誰かが叱られている姿が見える職場より、常に笑い声が聞こえる職場の方が良いし過ごしやすいと、わたくしは思っている。
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