第73話一体どこから漏れたのか
他人から緩いと言われても、わたくし自身が過ごし辛い空間であるのならば、側仕えの仕事は主人に居心地悪い空間を作るのが仕事なのかと問うてやりたい。
なので、やる事さえやっていれば、それで良いのだ。
「あぁああっ!! こ、これはぁぁああっ!!」
「おぉーっ。 シャルロットお嬢様も隅に置けませんねえ」
「こ、これはこれで世の令嬢、いえ女性達に向けて販売すれば飛び交うように売れそうな予感ですっ!!」
そんな事を前世での嫌な記憶、主にブラック企業のトラウマという記憶と共に考えながら、スマートフォンからノートパソコンへと本日撮った写メのデータを写して順番にプリントしていると、今度は先程の『キャイキャイ』という声音ではなく、どちらかというと『きゃーーっ!!』というような黄色い声が部屋の中に木霊する。
何だろうと? と思い今印刷している画像を確認してみると、さりげなく隠し撮りしたブレットの写真と、わたくしとブレットのツーショット写真の項目に移っていたようである。
そしてその写メ達をわたくしは考え事をしながら機械のようにひたすら順番にプリントしていたと……。
「こ、ち、違うんですのよっ!?」
「あ、大丈夫です。 シャルロットお嬢様がブレットさんの事が大好きだって事はメイド達の間では既に全員が知っている周知の事実ですから」
「そうですそうです。 いつも、ヤキモキしてたんですよっ!! いつブレットさんに告白するんだろう、もしくは逆に、いつブレットさんから告白をされるんだろうって」
「シャルロットお嬢様から告白をする場合は、おそらく勢い任せのその場しのぎになりそうなのですが、ブレットさんから告白をされる場合はさぞロマンチックなんだろうなぁ、って皆んなで想像していたんですよっ!? そしたら、蓋を開けてみればやっぱりロマンチックな告白だと知って、今日はもう仕事終わりにルームメイトへと早くこの事実を言いたくて言いたくて、いっそこの持ち場から離れて言いに行きたいくらいなのですからっ!!」
そしてわたくしが取り繕うとするのだが、マリーの「周知の事実」発言からの怒涛のメイド達のターンによりわたくしは既に言い訳の仕様もなくブレットの事が好きなのだという事がバレているらしい。
一体どこから漏れたのか。
わたくしがブレットに恋心を抱いているという事は重要機密事項のはずである。
そう思いながら『よもや、お主ではなかろうな?』とマリーへ視線を向けると『いや、もう態度でバレバレでしたよシャルロットお嬢様。 むしろ気づいていないのはブレット様だけかと』と視線で返事をされた。
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