第71話プリンターで印刷
それでも意識するなという方が無理な話なのだが、極力意識しないようにしていたのにも関わらずこの側仕えメイドのの一言により、せっかく意識外へと追いやる事が出来たというのに、また悶々と考えてしまうではないか。
このままではいけないと思い、わたくしは今日撮ったお花畑の写メを写真としてプリンターで印刷する作業を始めることにする。
せっかくブレットが観光地にと頑張ってくれた事業なので何がなんでも成功させたいと思うのと『消費されない物でお金を稼ぐ手段』という武器を得ることができればこれ程頼もしいものはない。
一応、今現在タリム領では食で集客をと動いているのだが、食の場合当たり前なのだが食べれば食べる分だけ材料は消費されてしまうのだ。
その分の食料を収穫するだけの田畑に加えて、収穫した穀物などの主食を一時的に保存する場所もまた必要となってくるのである。
さらには収穫する手間に、運搬、そして料理を作る料理人に従業員など、人の手が加われば加わるほど当然のことながらそこには賃金が発生するのだ。
もちろんそれらは利益として事業を回している雇用主が稼いだ分を雇用者達へ分配すれば良いのだが、その場合当然雇用主の利益も減るので税収も減る。
ちなみにタリム領の徴収は紙幣のおかげである程度王国側へ支払う税金をコントロールできるようになった為『取れる所から取る』という風に変更している。
話は戻し、お花畑なのだが、この場合育てるだけで良いのだ。
もちろん花を咲かせるまでにはかなりの苦労と労力が必要なのは分かっているのだが、それでも咲かせた後は収穫も、運搬も、保存も調理も配膳も必要ない分人手は当然少なくなる上に、食のように訪れたからといって花が消えるわけでもない。
さらに、花の時期ではない季節は別の作物なり、花なりを育てれば良い。
むしろ日本でよく見るコスモス等、田畑を使っていない時期に咲く植物を植えれば、田畑を有効活用でき、連作も防げるため一石二鳥なのである。
ブレットのお陰でここタリム領を食の街から食と花の街へと成長させるビジョンがわたくしの脳内で纏まっていく。
食は男性貴族を対象に、花は女性貴族を対象として呼び込めるのも強みであろう。
そんな事を思いながら今日撮った写メを整理していく。
「わぁー、綺麗ですね。 お嬢様」
「本当ですね。 この絵画って一枚貰えたりしないのでしょうか?」
「あらあら本当に綺麗ですわね。 まるで本物の景色をそのまま切り取ったみたいですわ」
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