第263話 あぁ、いけませんっ!

 しかしながら私達ブラックローズの下ではそれが日常的な風景であり、当たり前なのである。


 そして争いも無く、ただ一人を主にしてその庇護下の元で皆幸せに暮らす。


 これこそが私達の理想郷と呼べる国なのではなかろうか?


 そう我々ブラックローズの定期会議で出された時の衝撃たるや。


 その衝撃により最早誰が初めに提案したのかは分からないのだが(とりあえず私だった気がしないでもないのだが、何かあった時の為に発案者が誰なのか分からない事にしておいて損は無いだろう)皆この日を境に一つの目標に向かって動き始めたところを見るに、思う事は皆同じなのだろうという事が窺えて来る。


 そう、カイザル様を絶対君主にした大国を作るという大いなる野望へと皆心を一つに動き始めたのである。


 しかしながら一から国を作るというのも大変である為私達ブラックローズが考えた作戦は『だったら国ごと奪っちゃえばいいのでは? 大作戦』であり、この時『カイザル様のために(訳:カイザル様とそういう行為をするために)大作戦』も同時進行が始まったのである。


 なんなら前半の作戦は三割、後半の作戦が七割ほどの心境で動いている感は否めないのだが、どちらもカイザル様へ国を与えるという点においては同じである為問題は無いだろう。


 そしてこの作戦により既に王国は我らブラックローズの手に、そして今帝国すらも手に落ちようとしていた。


 これにより長年続いていた帝国と王国との小競り合いはなくなり、国境付近は平和になるだろう。


 そして貿易も盛んになるだけではなく、カイザル様の叡智でもって私達が思いつかないような方法でこの二大国を今以上に発展させ、餓える事のない豊な国へと作り変えてくれるだろう。


 その点に関してはなんら疑いもしていないので王国と帝国という二大国家という広大な面積を有する新国家であろうともカイザル様の智謀であればうまく国家を回して民へ餓えとは無縁の生活与えてくれる事だろう。


 しかしながら忘れがちなのがカイザル様も人の子という事である。


 流石のカイザル様も国内で起きる全ての犯罪にまで目を光らせる事はできないであろう為、その点は我々ブラックローズが隣国への牽制込みで行えば良いのである。


 正に完璧な作戦といえよう。


 後はカイザル様を皇帝にして奥方様達に子供を孕ませれば、次いで私達がカイザル様とあんな事やこんな事を……あぁ、いけませんっ! あ、そこはっ!? カイザル様、いけませんっ!!


 これは妄想がはかどりますねっ!! 

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