第262話 カイザル様のために
そんなクロード姫を見て『どうしてこうなったんだろうなぁ……』と俺は思うのであった。
◆
我々ブラックローズの活動も最終段階へ来たのだと、カイザル様に寄り添うクロード姫を見ながら思う。
思い返せばブラックローズの筆頭奴隷になってからは楽しい思い出ばかりであったと言えよう。
ただ文句があるとすればカイザル様に夜伽として呼ばれない事くらいである。
そかしながらそれも無理からぬ事。
正妻やその他婦人よりも先に万が一身籠ってしまい第一子、それも男の子を身籠もってしまうという可能性を考えればカイザル様が他の娘に手を出せないのは少し考えればわかる事。
しかしながら、分かっているからと言って『カイザル様とそういう行為がしたい』という欲求がなくなるのとはまた別問題である。
こればかりは『男の子を身籠ってしまうリスク』で抑えることはできるが、だからと言ってその欲求が無くなるわけでは無いのだ。
その欲求を発散させるのはやはり『カイザル様とそういう行為をする』というのが一番手取り早く、そして唯一の解消できる手段でもあるだろう。
だからこそ私たちブラックローズのメンバーはその一点、カイザル様とそういう行為をしたいという欲求を解消するという事に関しての団結力は凄まじいものがある。
そして今、その我々の悲願とも言える『ブラックローズのメンバーがカイザル様とそういう行為をする為の大作戦』がもう少しで達成されようとしているのである。
しかしながらまだ達成された訳ではないので最後まで気を引き締めなければと、分かってはいるのだが我慢できず私の目からは温かい汗がこぼれ落ちていた。
それと共に今までブラックローズのメンバーとカイザル様には秘密裏に行ってきた作戦の数々が走馬灯のように思い出してくる。
みんな生まれや部族、更には種族や国すら違う者達がいて当然価値観なども違う小さな小競り合いはありつつもそれでもみんな『カイザル様のために(訳:カイザル様とそういう行為をするために)』を口癖に一丸となって一つの目標に向かって協力しながら走っていくのは、まるで御伽噺の世界に入り込んでしまったような感覚でもあった。
生まれや育ち、種族や国が違えどカイザル様の下では皆等しく一人の奴隷である。
これこそが世界平和に必要な事なのかもしれない。
カイザル様の奴隷になる事こそが幸せなのだ。
カイザル様の下ではエルフとドワーフもお互い笑い合える仲間であると説明してもブラックローズではない人々に伝えたところで誰も信じてくれないだろう。
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