第61話お姫様抱っこ
そして俺達四人は目的の場所へ向かうべく夜の空へと静かに消えていく。
「ご主人様、この足手纏いを捨てて行きませんか?」
しかし、クロード殿下とスフィアを助けに移動し始めて十分程は、間誰も口を開かず終始無言であったのだが、時間が経つにつれサラとメリッサの苛立ちがものすごい勢いで増加しているのがピリつき出す空気(実際に溢れ出た魔力が漏れ出て『パチリパチリ』とピリついていた)の中、最初に口火を切ったのは自称筆頭奴隷サラであった。
「空中も自力で移動できないなんて、みっともないですわね」
「あら? でもそのお陰で私は今こうしてお姫様抱っこをされているので寧ろ
「それでご主人様のお手を煩わせていたのならば本末転倒ではありませんか?」
「私達の立場というものがどういうものであるのか理解出来ていない様ですね。 元学友だか何だか知りませんけれども、今の私達はご主人様のいち奴隷に過ぎません」
「あら? 学友だからこそクロード殿下とスフィア様捜索にその経験が生きると判断したのはご主人様ですけれど? まさかご主人様の判断が間違っていると?」
何故だろう、胃が痛むのは。
コレは俺の所為だろうか?
これから一緒に活動をして行くので君達にはもっと仲良くして欲しい。 切に、俺の胃の為にも。
「い、いえそういう事を言っているのではなくて……」
「それでも少しはご主人様の手を煩わせないように努力をですね……」
「因みにこの後メリッサさんとサラさんもお姫様抱っこしてもらったらどうですか? 私、奴隷同士でエコ贔屓はダメだと思うんですよ。 私も一緒にお願いさせて頂きますよ?」
「私達は産まれは違えど姉妹である事を忘れていた様ですね」
「今は存分にお姫様抱っこを堪能しておきなさいな」
あぁ、聞こえて来る三人の奴隷達の会話が耳に痛い。
「分かった分かった。 今日のミッションが全て完璧に終わる事が出来たのならばメリッサとサラもお姫様抱っこを飽きるほどやってやるから喧嘩をするのはやめてくれ。 あとブリジットも明日から空中を移動する手段を一つは覚えておくように」
「即潰す、直ぐ潰す、悪即斬っ! そしてお姫様抱っこ」
「あぁ、想像するだけで濡れて来ちゃいました」
「ご主人様、空中の移動の仕方を今度教えてください、ええ、勿論手取り足取りと」
彼女達の対応、間違ったかなぁ? と彼女達それぞれの反応を見てそう思う。
そして俺は彼女達の言葉を聞き流しながら目的の場所へと向かうのであった。
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