第60話そ、そうか……

「その、秘密結社ブラック・ローズというのは──」

「ご主人様の集めた奴隷達を上手く動かし運営する為に組織化させました」

「その際、奴隷達全員でアンケートを取って付けられた名前が秘密結社ブラック・ローズです。 ご主人様にはサプライズで後日お伝えしようと思っていたのですが、勢い余って口から零れてしまいました」

「そ、そうか……」


 これ、ただの奴隷の集まりから秘密結社になった事でテロリストとして判断されるのではないか? 逆に俺の死亡フラグが増えたのではないか? で、あれば即刻この組織は解体するべきだろう──


「みんな、只の一奴隷からご主人様の組織の一員という枠組みになったお陰で、もともとあったやる気や忠誠心が更に跳ね上がっており、日々苦しい鍛錬をも泣き言一つ言わず、来る日の為いつ招集されても良いようにと耐えておりますっ!!」

「ご主人様に教えて頂いたダンジョンで皆レベルを上げ、最早世界を取れそうですっ!!」

「あ、ああ。凄いな……」


──と思っていたのだが、国よりも彼女達に楯突く方が俺の死亡フラグが跳ね上がるのではないか? と思ったため死亡フラグ回避の為に俺はこの日闇の秘密結社ブラック・ローズを設立するのであった。


 どうしてこうなった。





 結局、あの後ブリジットとサラが互いに譲らず押し問答をし、一向に終わる気配が見えないのでブリジット以外の奴隷も数名連れていく事にした。


 因みに連れて来る奴隷は空を飛べる魔術かスキルを持っているもの中から二名までとしたのだが、その者達を選ぶのがかなり大変であった。


 最初、軽い気持ちで「戦闘力順で」と言った瞬間、冗談ではなく本気の殺気を奴隷全員が放ち、急所を容赦なく狙う乱闘が始まった為、怪我人、最悪死人が出る前に止めさせた程である。


 そして最終的にじゃんけんとなったのだが、役を出す瞬間某ハンターの漫画レベルで振り下ろすまで攻防戦が繰り広げられていたのには流石の俺も引いたし、その攻防戦、俺じゃなきゃ見逃しちまうレベルであった。


 そのレベルの高さたるや巷で『じゃんけんに勝ったら銅貨十枚、参加料銅貨六枚』という商売で荒稼ぎできそうなレベルである。


 そして選ばれたのが、ブリジットの他に元メイド長であるメリッサ、そして自称筆頭奴隷であるサラの二名である。


 流石にこれ以上は大所帯となりクロード殿下とスフィアを助け出す前に敵に見つかる恐れがある為連れて行かないし、新たに枠を設けるつもりも無い。


 そもそも俺一人でも何とかなるような案件なのである。


 だからそんな表情をされても困るし、罪悪感が半端ないので止めて欲しい。

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