第57話やはり俺は天才だ

 一週間こいつらを監禁して、怪しまれていないようならば殺し、少しでも怪しまれていると判断した場合は足が付かないように解放すればいい。


 やはり俺は天才だ。


 そうと決まればこいつらはこのままここで監禁で良いだろう。


 どのみちこの地下室がバレたら終わりだしな。


 それにしても、この女を襲うのを一週間我慢しなければならないというのはキツイものがあるな。


 だが、もし怪しまれていないと分かればこのバカ殿下の前で犯してやろう。


 想像するだけでたぎって来た。





「はい? クロード・グラディアス殿下とスフィア・ラヴィーニが行方不明?」

「その様です。 二人が行方不明になってから三日が立っているみたいです。 カイザル様、まだ今までカイザル様に不敬な態度を取って来たお詫びすらし終えていない私ごときがカイザル様のお手を借りる事など、そんな権利が私に有るはずも無いと分かってはいるのですが、恥を忍んで私の願いを聞いて頂けないでしょうか? スフィアは、私の数少ない友人なのでございます……。 で、ですから……どうか手を貸して頂けないでしょうか?」


 そう言いながら俺の前で土下座をし、懇願してくるブリジット。


 そもそもこの帝国の第二王子であるクロード・グラディアス殿下は、少くともクロード殿下を守るための衛兵が常に十人以上が護衛していた筈である。


 にも関わらず、そのクロード殿下と一緒にいたスフィア、そしてクロード殿下までもが二人纏めて攫われるなどそもそもあり得るのだろうか?


 ブリジットには申し訳ないのだが妙にその部分が引っかかってしまい、二人が攫われたというブリジットの話をいまいち信じ切れない。


 なので俺は直接ブリジットに聞いてみる事にする。


 スフィアを助けるかどうかはそれを判断してからでも遅くないだろう。


 クロード殿下は知らぬ。


「それが、クロード殿下が『自由になりたい』とスフィア様を連れ、衛兵の目を盗んで城下町へ度々行っていたらしく、今回も衛兵の目を盗んで城下町へと行っていたようです。 ちなみに門番には賄賂を渡して口封じをしていたらしく、賄賂を受け取った者達は全員捕まえて拘束し、牢屋へ閉じ込めているみたいです。 スフィア様もカイザル様に婚約破棄をされてから実家からの圧が強くなり、そして自分よりも身分が上であるクロード殿下からの誘い、この二つからクロード殿下の誘いを断る事が出来なかったのだと思われます」


 なんなの? クロード殿下はバカなのだろうか?


 そして、スフィアが攫われた理由に少なからず俺の婚約破棄も絡んでいるのが質が悪い。 

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