第41話面倒くさい事になりそうだ
どうせ今回も公爵家の権力でモノを言わせて奪い取ろうというのであろう。
そのようにして今まで何人の者を不幸にしてきたと思っていると問い詰めてやりたい所だが、コイツの場合は問い詰めた所で何が悪いのか全くもって分かっていないというのが救えない。
正直言って貴族以下は人間とすらも思っていないだろう。
我が弟は、いや、クヴィスト家は典型的な貴族至上主義の家系である。
平民一人が不幸になろうとも、それこそ死のうがどうなろうが気にならないし罪悪感は毛ほども感じないだろう。
特に我が弟はこの考え方がかなりひどく、自分の家の家格より低い貴族に対しても似たような事を思っているのが普段の言動から見て取れる。
そもそも公爵家と同等の家格など片手に収まるほどである為、故に下に見られる事に慣れていない弟であるグエンは自分より上の立場であった兄である俺が憎く、そして自分が一番ではない事が耐えられなかったのだろう。
そんな価値観の弟が家を継げば横の繋がりは間違いなく無くなりクヴィスト家は孤立し、そして真綿で首を絞められるかの如く衰退していく未来が容易に想像できるのだが、我が両親達はクヴィストの面の厚さでまだそのグエンの持つ価値観に気付いていないのだが、もし気がついたとしても『流石我が息子だっ! 公爵家としての自覚がどっかの誰かと違ってあるみたいだなっ!』と褒めまくる未来が容易に想像できる。
「はぁ、バカのせいで面倒くさい事になりそうだ……」
確実に面倒くさい事になる未来を想像して俺は溜息を吐きながら、弟にバレてしまう前にこの場から離れる。
しかし、バカな弟が問題を起こす前で先程の場面に出くわし、弟が俺の奴隷達に興味を持った事を知れたのはかなりありがたい。
いきなり問題を起こされて後手に回ってしまうより、来ると分かっていればあらかじめ対策もできるので何倍もましである。
さて、対策をどうしようか?
しかしながら我が弟が俺の奴隷を奪う為に動くと分かってはいるのだが、肝心の対処法がなかなか思いつかない。
いっその事こと今ボコボコにして手を出さないようにするべきだろうか? とは思ったもののその場合我が両親により俺が悪者にされ牢屋にぶち込まれてしまう。
逃げたり武力で抵抗した所で指名手配にされるだけなので得策ではない
◆
「成る程、実に面倒な事になりそうですね」
「そうなんだよ。何か良い方法があればとあれから頭の中で試行錯誤してしまうのだが何一つとして良い案が思いつかないんだよな。腐っていても相手は皇族系の息子だからな……」
「それなら私がなんとか致しましょう」
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