第42話より有用に使ってこそ
俺が我が弟の事で頭を抱えているとブリジットが軽い口調で何とかしてくれると言うではないか。
渡りに舟とはこの事か、と思うものの余りにも軽い口調で思わず大丈夫かと心配になってくる。
とりあえず、兎にも角にもブリジットの話を聞かない限りはそれが良い案なのか悪い案なのかすら判断が付かない為取り敢えずブリジットの思い描いている作戦を聞いてみる事にする。
「ふむ、この面倒くさい案件を片づける方法をブリジットは知っているのか?」
「いえ、大したものではございません。 目には目を歯には歯を、そして公爵家には公爵家をでございます」
「どういう事だ?」
「今公爵家は裏で悪事を働いていた者全てを私の奴隷にしております。 勿論一人でも断れば裏で国家転覆を企んでいた事を公にバラすと言えば皆快く奴隷に落ちてくれました」
こいつ、しれっととんでも無い事を裏でやっていたのかと軽く引いてしまうのだが、それが表情に出なかった事は我ながら褒めてやりたいくらいだ。
「後は契約した奴隷の主人を私からご主人様であるカイザル様へ移し替えるだけで強力な手足が手に入ります。 そして我が正義と秩序を重んじるモーデル家なれば、同じ公爵家であるクヴィスト家に対していくらでも対処する方法はございましょう」
こいつ、俺に対する忠誠心が強すぎるあまり自分の家族を俺に売りやがった……。
ここ最近ほぼ毎日間近で過ごしたおかげでブリジットのぶっ壊れた異常性は分かっていたので流石に驚かないのだが、だからと言って引かないわけではない。
「な、なにか私に至らない箇所があったでしょうか?」
前回はなんとか耐えれたのだが、今回は僅かながら表情に出てしまったようである。
そのわずかな表情の変化すらブリジットは敏感に感じ取ると、まるで悪戯がバレた時の犬の様に目に見えてしょんぼりしはじめる。
「あぁ、大丈夫。 ブリジットは何も悪くない。 そもそもこの問題はクヴィスト家の問題だから俺がどうにかしなければいけない問題でもあるからな」
そして俺はそんなブリジットの頭を犬の様に撫でてやりながら考える。
確かにブリジットが言うようにモーデル家を使えばいかようにも回避できるのだろうが、問題は回避する方法である。
せっかく公爵家という駒を使えるのならば、より有用に使ってこそであろう。
とりあえず、今早急にするべきはモーデル家がブリジットによって潰される前に俺の物にしてしまうかと、ブリジットと共にモーデル家へと馬車を走らせるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます