第40話結局俺が悪者になる
一度あの光景を目撃した一人が股間をがっちり防御して挑んだ事があったのだが、結果だけ言うとあの後誰も股間を防御して彼女達を口説こうとする者が一人も現れなかったという事だけ言っておこう。
情け容赦ないあの光景は、それを目撃した全ての男性に深いトラウマを植え付け、そしてかく言う自慢ではないが俺もその一人である。
今では彼女達を束ねているご主人様はドМなのではという噂まで流れ始めている始末だ。
「おいっ! 誰かこのバカを運ぶのを手伝ってくれっ!!」
「はいはいっと」
そしてここからが俺や一緒に飲んだくれている連中の出番である。
今回は涎と失禁だけで済んでいるのだが、脱糞までしていたり、最悪死体の処理にその後の片付けまでする場合もある上に賃金も普通に中級のクエストを受けた方が金になるため為普通の人はやりたがらない仕事なのだが、この仕事はクエストと違い危険は無いし、ランクが上がったりして調子に乗って周りが見えなくなりコイツみたいにバカをする事も無い。
汚れ仕事やらハイエナやら言われるのだが、ほどほどの暮らしを安全に過ごしたい俺からすればそれくらい甘んじて受けよう。
それに何だかんだ言っても俺たちがいないと汚れ仕事が自分たちに回って来る事を奴らも知っている為、これ以上何かをされるという事も無いしな。
しかしながらここ最近は彼女達に大変稼がせてもらったので、俺は心の中で感謝をするのであった。
◆
「ふうん、それで今冒険者ギルドが密かに熱気で溢れているのか」
弟のそんな声が廊下から聞こえてきた為聞き耳を立てていると、どうやら今冒険者ギルドでは没落貴族が住んでいた屋敷を買い取った豪商の奴隷達めが通い始めているらしく、その奴隷メイドの話をしているみたいである。
と、いうか没落貴族の屋敷を買い取った豪商の奴隷メイドって、俺の奴隷達の事だよな……。
何をしているんだ、俺の奴隷達はっ!?
心の中で今俺は頭を抱えて絶叫していた。
確かに何か役立つことをしたいと言っていたので適当にギルドカードを作らせ、何グループかのパーティーで登録してはいたものの、ここまで大事になっているとは今の今まで知らなかったのである。
そしてその事を知った衝撃たるや、頭を抱えて絶叫もしたくなるほどであり、その上奴隷メイドの話を執事から聞いていた弟であるグエンがまるで玩具を見つけた様な表情をしだした。
「良いな、それ。 その奴隷メイド、僕の物にしてみたいな。 いったい噂になる程の美人とはどれ程のものなのだろうか?」
屑が。
コイツは昔から要領が良く、周囲からは俺と違い優等生で性格もよくできた弟だと言われ続けていたのだが、その中身は俺以上に屑なのを隠し、そしてバレそうな奴は全て俺へと擦り付けているだけである。
そして当然周囲の人間達も否定する俺なんかよりも弟の言い分を聞き、結局俺が悪者になるのだ。
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