第17話見えない所では人には言えない様な事をしているに違いない
因みに俺の班はというと、当然誰一人俺と組んでくれる者が現れる訳もなくボッチ街道まっしぐらである。
しかしながら、仲間外れというものがこれ程までに辛いものであると、前世の俺は知らずに生きてこれたという事はなんだかんだでいい人生だったのかもしれない、そう思えるくらいには辛いものがある。
現世の俺は一人でいる事が当たり前になっていたため、仲間外れにされるのが辛い事であるという事すら分からなかった。
しかしながら人との繋がりという物を覚えている前世の感覚が否応にも俺の感情を刺激してくる。
結局のところはこの痛みに慣れて鈍感になっていただけで、実際痛いものは痛いという事である。
本音で言えば友達も欲しかったし、家族にも愛されたかった。
幼いころ貴族の家庭に産まれなければ、平民に産まれたのであれば多少なりとも家族に必要とされ、友達もいる、そんな人生もあったのかもしれないなどと悩んだ時期もあった事を思い出す。
今の今まで忘れていた幼いころの記憶なのだが、俺という存在を保つため心の奥底に押し込めて記憶から消し去っていたのだろう。
その結果、反動で問題ばかり起こしていたのでは近寄る者もいなくなるという物である。
正に悪循環。
それでも、問題を起こした時だけ両親は俺を見てくれた。
まったく、クソガキ此処に極まりである。
だからこそ俺は両親を居ないものとして考え、これからを生きていくし、この世界で信じれる者は奴隷のみ。
「はは、中二病かよ」
そうぼやきながら俺は俺のするべきことを淡々とこなしていくのであった。
◆
クロード殿下の隣の席からカイザルの隣の席へと変わることを聞いた瞬間、目の前が怒りで真っ白になった。
何故この学園はカイザルという屑を退学にしないのかという不満が私の胸の中で渦巻いていく。
確かにカイザルの問題行動は、それら一つ一つを見れば『学園にとっては大した事ではない』事ばかりなのかもしれない。
しかしだからといってカイザルがやって来た事の中には犯罪行為ギリギリの物もあれば、人目が多くある場所で婚約破棄という人一人の人生を潰しかねない事まで、上げればキリがない。
そのうち学園にとっても大きなダメージとなるような問題を起こさない保証はどこにもないし、起きてからでは遅いというものである。
しかし、その事を学園長へ進言しても「罪を憎み人を憎まず」と返され、暖簾に腕押し、糠に釘で一向に相手をしてくれない。
だったらと私は考えた。
学園が動いてくれないのであれば私が動けばいいと。
そして私はその日からカイザルの監視を始めた。
普段から素行の悪さは折り紙付きである。
であるのならば見えない所では人には言えない様な事をしているに違いない。
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