第74話 理解できるだけの頭

「何を考えているんだ君という男はっ!! 目上である年上の電話をしても出やしないとはいかに常識がないのが分かるなっ!! これ程周りに迷惑をかけておいて申し訳ないとも思わないのかっ!! たかが浮気ぐらいで大袈裟なっ!! たかが浮気の一つや二つくらい男であればドシっと構えて許すのが普通であろうっ!! そもそも浮気の原因はお前の甲斐性が無いのが原因だろうっ!! それなのにまるで私たちの娘が悪いような事を抜かしやがってっ!! こんな事をしておいてタダじゃおかないからなっ!! まずは当然慰謝料は当然として、それとは別に謝罪として現金お我々に用意するようにっ! 当然金額は百万や二百万では無いからなっ!! 数千万単位ならば許してやらん事もないっ!! それだけでは無いっ!! 我々の娘が経済DVをしているという嘘についてはまた別途慰謝料を用意しておくようにっ!! そもそもこんな嘘でどうにかなるとでも思っているのかっ!? こんな事をされてはこっちは弁護士を雇って裁判沙汰にしても良いんだぞっ!!」


 押して電話に出るや否やマシンガンのように義理父が一方的に捲し立ててくるではないか。


 その無いよは頭が狂っているとしか言いようがないのだが、義理父の言い分を噛要約すると『目上である俺の電話を無視するな』『男なら浮気は許せ』『浮気はお前が原因なので悪いのはお前だ。なので俺達の娘は何も悪くない』『だから慰謝料を一千万以上、それとは別途和解金を用意しろ』『経済DVについては完璧にでっち上げだ』『訴えられたくなければそれなりの慰謝料を用意しろ』と言いたいようだ。


 さらにこれを簡潔にまとめると『俺たちは間違ってない。 金をくれれば許してやる』という内容なので狂っているとしか思えない。


 むしろこの義理実家には浮気を旦那に隠して援助していたという事でこちら側が慰謝料を取るつもりなのだが、それを今言ったところで理解できるだけの頭があるとは思えないので黙っておく。


「あ、そうですか。 まぁ、どう思われようがあなたの勝手ではありますがどちらが悪いかというのはすぐにでも法に則った形で分かるでしょう。 ちなみにこちらの電話は録音しておりますのでそのまま此方が優位になる証拠として使わしていただきますね」

「何をっ!? 卑怯な奴めがっ!! そんなんだから娘にも愛想を尽かされて浮気をされるのだろうっ!! むしろ娘の浮気の正当性を──」


 そして俺は言いたいことだけ言い終えて一方的に電話おを切る。

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