第73話 お花畑
その、手が震えてしまう程の大金を元嫁は一日で使う日も普通にあった。
レシートの文字と、写真でその事を知るよりも、実際に五万円という金額を手にして、自分で使う立場になる事により感じる怒りの方が大きい。
これで何が経済DVと良く言えたものだ。
はっきりって一日で一万円を使い切るのも難しい。
そして俺は、今まで行きたくても行けなかったラーメン屋さんへと入り、ラーメンと餃子を頼む。
ラーメンと餃子。
タバコも酒も田島ない俺にとってこのラーメンと餃子が嗜好品でもあった。
特に餃子に関しては独身時代に、剛座のためだけに日本各地を観光し、家の近所で行ける近場のラーメン屋の餃子は全て食べ比べをしている程、好きだった料理でもあった。
「うめぇ……うめえよ……っ」
久しぶりに食べる餃子は、なんの変哲もないごくごくありふれた餃子であったのだが、今まで食べてきたどの餃子よりも最高に美味しく感じるのであった。
そんなこんなで店主に軽く慰められ、軽く事の経緯えお話たら瓶のコーラを奢ってくれ、それがまた俺の心の染み渡り泣いてしまう。
そして俺は久しぶりに食べるラーメンと餃子の美味しさと人の温もりを堪能した後、予約していたホテルへと荷物を置きに戻る。
とりあえず、荷物を置いた後はもう一度観光を、と思い、今の時間を確認して軽く予定を立てようかと電源を切っていたスマホへと電源を入れてみる。
勿論、そろそろ送った内容証明という爆弾が間男宅と義理実家、そして俺の家へと送られていてもおかしくないため奴らの反応を確認する為という目的が無いと言えば嘘になる。
そして俺はほんの少しの好奇心と共に起動したスマホ画面を確認してみると、元嫁、間男、義理実家から着信百件以上、メール百件以上。
あいつらはそんなに暇なのか。
今更俺と話あった所で事実は変わらないし、俺の気持ちも変わりようが無いというのに、どうして今更になてた必死になるのか、俺には全くもって理解できない。
ならばなぜ、今までこんな仕打ちを俺に対してしてきたのかと。
今までかなり時間もあった筈である。
それだけ俺のことを馬鹿にして見下していたのだろうが、こうして攻守が逆転しなければ自分たちの立場がどういう立場なのかという事が理解出来ない程、頭の中がお花畑だったのだろう。
むしろ頭の中がお花畑だったからこそ今日という日が訪れたという事だろう。
そこまで確認したところで義理実家からの着信が掛かってきたので面白半分で取ってみる事にする。
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