第3話・・春を訪ねて
むかし、むかしのお話です。
ある山の中で冬眠中の子熊の「ジョン」が目を覚ましました。
「う~ぁ、良くねたなぁ」でも良く見ると周りのお父さん、お母さん、お兄ちゃんは目を覚ましていません。ジョンは一生懸命皆を起こしました。
「お父さ~ん!お母さ~ん!お兄ちゃ~ん!」
何度も何度もジョンは叫びますが、皆は目を覚ます気配がありません。泣き疲れたジョンは、一端表に出て見ました。そしてジョンはびっくりしました。
「う~ゎ!お外は真っ白だぁ」
そうなのです!ジョンは真冬に冬眠から目を覚ましてしまったのです。
「うわぁ😭ん」 ジョンは泣いていました。
すると山林の奥の方から声が聞こえて来ました。
「誰だ~ぃ!泣いているのは?」それは、
その山に長年ある千年杉さんでした。千年杉さんにジョンはつぶやきます。
「僕のお父さん、お母さん、お兄ちゃんが寝ているの?」
千年杉さんは言いました。
「坊や、お父さん、お母さん、お兄ちゃんは冬眠中なんだよ」
「春が来れば皆目が覚めるよ!」
とジョンに言いました。
ジョンはいまが、真冬である事にやっと気が付きました。
どうしたら良いか?千年杉さんに聞いて見ると、
「南に行けば春になっているから、春を呼んで来れば良い」と千年杉さんは言いました。それを聞いたジョンは一目散に南に向かいました。山を下り、川沿いを南に歩きました。どれくらい歩いたでしょう!喉が渇いたジョンは川で喉を潤しながら時には川魚さんを捕らえてお腹を満たしながら南、南へと進みます。そしてある町にたどり着きました。
「にぎやかな場所だなぁ!」とジョンは思いました。
そこに人間の子どもがジョンに向かって歩いて来ました。
その子どもの名前は「アイ」と言い、妖精の指輪を持った子どもです。アイは指輪を使って、ジョンに聞きました。
「熊さん、お名前なんて言うの?」
「僕の名前はジョン、春を訪ねて、山からきたの」
とジョンは言いました。
するとアイは春の妖精チロルを呼ぶことにしました。
「は~ぃアイちゃんどーしたの?」
「ねぇチロル、この小熊のジョンちゃんが春を呼びたいんだって、どうすれば良い?」
チロルは悩んだ挙げ句、こう伝えました。
「大長老さんに聞くしかないよ!」
との事です。アイちゃんは仕方なく大長老さんを呼びます。
「大長老さーーーーーーん」
「ホイホイなんじゃな!」
アイちゃんは大長老さんに小熊のジョンの事を話します。すると大長老はこう言いました
「では、ジョンとやら春が早く来る様にしてあげよう。」
大長老はそう言うとアイちゃんにこう言いました。
「南に行きつくしんこをここまで連れておいで」
とアイちゃんに言いました。
つくしんことはつくしと言う植物のことでつくしの芽🌱が春を呼ぶ為に必要だと言う事でした。この場所から南に行くには子供のアイと小熊のジョンだけでは難しいと考えて
アイちゃんは家族と相談しました。すると家族の皆で小熊のジョンを助けてあげる事にしました。今の場所からつくしの生えている南の場所までは距離にして約千キロを越えます。アイちゃんの家族は馬車で行く事にしました。
馬車の旅1日目
アイちゃん一家は馬車に沢山の食糧と燃料を乗せて旅立ちます。まずは隣街に向かいます。「ハィヨー」と鞭(むち)で馬を走らせます。馬車の中には小型の暖炉(だんろ)があり寒さから身を守ります。アイちゃんの父ちゃんと母ちゃんが交代で馬車を走らせます。アイちゃんは妖精さんとお話しながら道案内をします。今日は街外れで馬車を止めてお馬さんを休息させます。アイちゃん一家は馬車の中で、寝泊まりします。今日の
夜ご飯は、お母さん特製のシチューとパンです。小熊のジョンには干し肉を食べます。その日はここで泊まります。ジョンも暖炉(だんろ)の前で眠ります。
馬車の旅2日目~14日
朝日が昇れば、アイちゃん一家は馬車を走らせます。時には休息をとりながらの馬車の長い旅です。雨の降る日は馬車を止めて雨よけテントを張り休みます。
何日も何日も続きました。
馬車の旅15日目
もうじき南のつくしんこが生えている場所に着きます。ジョンもドキドキしています。もうじきつくしを手に入れて春が来る様に出来るからです!馬車が止まりました。つくしんこの生えている場所に着きましたアイちゃん達は馬車から降りてつくしんこを探します。ベルお兄ちゃんの声が響きます。
「みんなつくしんこが生えているよ」
アイちゃん一家はつくしんこを植木鉢に土と一緒につくしんこを移しました。
さぁあとはこのつくしんこを持ち帰るだけです。15日かけてまたアイちゃん一家は街に戻りました。街に着くとアイちゃんは大長老さんを呼びました。
「大長老さーーーん」
「おぉ!アイちゃんかの!つくしんこは持ってきたかの?」
「大長老さんこれでしょう!」
そこには植木鉢に植えられているつくしんこでした。
「おぉ!ちゃんとつくしんこを持って来たようじゃな」
大長老はそう言う春の妖精チロルを呼びこう言いました。
「チロルや、さぁ街に出るのじゃ!」
「はい!」
そう言うとチロルはつくしんこに入って行きました。するとどーでしょう!今まであった雪が消えて行き当たり一面緑に包まれました。アイちゃんとジョンは大喜びです。ジョンはアイちゃん一家と妖精さん達にお礼を言い山へ向かいました。ジョンが山へ帰るとお父さん、お母さん、お兄ちゃんは冬眠から覚めていました。
「お父さん、お母さん、お兄ちゃん」
「ジョン何処に行ってたの?」
「あのね!僕真冬に冬眠から覚めてしまって寂しいから、街に出て春を呼んできたの」
ジョンの目から涙が溢れ出します。
ジョンは今までの出来事をお父さん、お母さん、お兄ちゃんに話しました。
「大変だったわね!ジョン偉いよ」
とみんなジョンにねぎらいの言葉をかけました。こうしてジョンの春探しの旅は終わり家族に日常が戻りました。
・・・完
子熊にとって家族は大切な物
人間だけが生きている訳じゃない
昔から「一寸の虫にも五分の魂」と言う
最近の地震や異常気象は人類に対する警告かも知れないね。動物も大事にしようね。勿論自然もね
妖精物語 清ピン @kiyotani
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