第六章 東のお姫様2
ドサッ
お城へと戻ってきた私の前に置かれていたのは昨日ナツが大量に選んだドレス。
舞踏会用?なのかな。
というかそんなに適当な扱いでよいのだろうか?
「はい、殿下はそとで待っててくださいね。」
そういって両手でナツを追い出すのは昨日図書館にいたレイアちゃん。
「今日は図書館がお休みなのでお手伝いです。さ、まずはこれ。」
レイアちゃんがまず取り出したのは緑色のドレス。
「これだと東のお姫様の色とかぶっちゃいそうですね。」
ぷくっと頬を膨らませ、文句を言うレイアちゃん。
次に取り出したのはリボンがいっぱいついた水色のドレス。
これはどうですか三面鏡の前でわたしに確認を取る。
ちょっとぼてぼてしすぎかな。
しかもサイズもちょっと違うかも。
そでを見るとだいぶだぼだぼ。
「うーん。ちょっとというかだいぶだぼだぼですね。他のも着てみましょう。」
と言いながらハンガーにかけておいた別のドレスを探すレイアちゃん。
次にレイアちゃんが見せてくれたのはこれまた派手などぎついピンクのドレス。
というかさっきより派手。
合わせてみても似合わない感がすごい。
次のドレス。
そしてその次のドレス。
そのまた次のドレス。
「うーん。」
頭の上にはてなマークがうかんでそうなレイアちゃん。
「お城のドレスは全部試したし、ナツ様、そういうとこ適当なんだから。」
何やらぶつぶつとつぶやくレイアちゃん。
ドレスを比べたり、並べたり。
突然何かを思いついたのかレイアちゃんはポンと手を叩いた。
「そうだ。確かこの辺に‥
そういうと、“ちょっと待っててくださいね~”といって小さな台をもって運んできた。
「ちょっと、目をつぶって、じっとしてくださいね。」
そういうとレイアちゃんは右手にはさみとメジャー、左手に剣山と色鮮やかないろいろな布をフル装備するとメイドさんに床に置いてあった輪っかを引き上げさせ、特設ドレスルームを作る。
「じゃ、じゃーん。どうですか?」
再び三面鏡へと向かうわたしの目に映ったのは綺麗な純白のドレスだった。
さりげないフリルがかわいい。
「すっごい、これ全部レイアちゃんが?」
「えへへ、ちょうどいいサイズがなかったのでよさそうなのを“さいず?”合わせて、余った生地はフリルにしたんです。かわいいでしょ。このひらひらがポイントですよ。」
と短い袖のひらひらをぴらぴらと動かす。
「これで、ナツ様のハートもばっちりですね。」
「へっ?」
レイアちゃんのその言葉に私は一瞬固まった。
☆☆☆
窓の外は真っ暗。
レイアちゃんのドレス選びのあと、メイドさんに案内された部屋きた私。
案内された部屋はとても豪華だった。
天蓋付きのベットに、綺麗な装飾。
ついでに書斎つき。
そして高価そうな本がいっぱい。
そうだ。
カバンの中から図書館で見つけてきた本を取り出す私。
ふんふーんとページをめくる私。
と気になる記述。
伝説の本なのかな。
大きな怪物に立ち向かう絵。
そして少し不思議な夢を見た。
☆☆☆
ごそごそっ。
私の取り出した本の隙間から出てきたのは不思議な生き物。
どこかで見たことのある、その生き物は拳くらいの大きさで、輝かしい銀色の体をしていた。
のそのそとした動きで前に進む。
本を食べようとしているのか触覚を伸ばす。
あわてて本をどける私。
「これは食べちゃだめ。」
生き物はこくっと首をかしげるような動作をする?
そしてちょっとしたら本に近づく。
「だから、メっ。」
生き物は再び、こくっと首をかしげるような動作を見せると今度は別の本に近づき、その触覚を伸ばす。
「だから、メっなの。本はね。もっと大切に扱わなくちゃいけないんだよ。それに食べちゃったら次の人が読めなくなっちゃうでしょ。」
不思議な生き物は今度は首をかしげずに、私の方をずっと見る。
「もしかして、おなかすいてるのかな?」
こくっとうなずくようなそぶり。
「これでもいいなら…。食べる?」
たまたま、もう一個ポケットに入っていた飴をそっと置く私。
ちょっぴり不安そうな動きをすると飴に近づく。
食べるところはちょっとモザイク。
そうこうしていると重くなる瞼。
私は小さななあくびをして再びその目を閉じた。
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