第六章 東のお姫様
「なんのようだ?」
「ずいぶんね。この私が直々にきてあげたのよ。」
緑色のドレスに、金色の髪、どこかで見たことのある女の子がそこにいた。
どちらかと言えば本で見た時よりツンツンしているような‥。
「だから何のようだ?」
「もう、あなたが招待したのでしょ?舞踏会に……。」
頬を赤らめ髪をクルクルーっと指で回す姫。
「舞踏会?」
私は思わず聞き返す。
「ああ、明日の夜のな。」
ナツはなぜか頭を抱える。
「そ、まずはそのご挨拶ってとこね。」
「ところで、あなた、見ない顔だけど、どなた?」
腰に手を当てて眉を顰め、こちらを見つめてくる姫。
「その、ゆ…ゆ友人だ。」
視線をずらしながら答えるナツ。
「ふーん、ふぅーん。あ、お友達でしたの、なら仕方がありませんわね。」
相変わらずジト目でこちらを見つめてくるお姫さま。
「お話の邪魔してごめんなさいね。また、会いましょ…。」
手のひらをひらひらしながら馬車を降りるお姫様。
「では、ごきげんよう。」
そういって最後にドレスを優雅につまんでお辞儀をするとその場を去っていった。
後ろから護衛の騎士なのか、緑の旗を掲げた騎士たちの集団がすさまじい土埃と共に去る。
ごほっごほっ。
砂煙を吸い込み、思わずせき込む私。
「ね、今の人は?」
「ああ、東の帝国の姫様だ。王が今日の舞踏会に招待したらしい。」
ナツは心ここにあらず、ぼーっと遠くを見つめているような感じで答えた。
「え、そんなに?」
「ああ、そんなに。」
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