第六章 東のお姫様3
翌朝。
チュンチュン。
「朝?」
青い小鳥たちが窓辺で騒ぐ音に気付いて、目覚める私。
その体にはしっかりと毛布?
しかもベッド。
あれ、昨日、毛布…?なんて…?
少し肌寒い朝の空気の中を書斎に向かって歩いた。
書斎は昨日と何も変わっていなかった。
昨日、そこで読んでいたはずの本はきちんと棚へと戻り、跡形もない。
持ってきた本もカバンのなかへもとどおーり。
誰かが、片づけてくれたのかな?
☆☆☆
朝のお城を歩くといろんなものが見える。
せわしなく水を汲み城内へと急ぎ向かう人。
騎士さんたちの朝の剣の稽古。
「おーい。」
しばらくそうしていると、ナツが私の来た方から現れた。
「おい、探したぞ。部屋に行ったらいないし。」
肩で息をするナツ。
「ごめん。ちょっとめずらしくて。」
「朝の城がか?そんなにめずらしいものなのか?」
「そう?私は楽しいけどな。そうだ、昨日、少し不思議な夢を見たんだ。」
「夢?」
「うん。ちょっと不思議な夢。」
私は朝みた不思議な夢のことを話す。
「そうか。それはちょっとしたいたずらかもな。」
「いたずら?」
「たまにあるんだ。。知らないやつが城に来ると決まって出てくるんだ。まあ、精霊みたいなものじゃないか。ほらそこにもあるだろ。」
ナツが手を向けた先にあったのは街にもあったような虫のような装飾。
若干、前に置かれた燭台のせいで見にくい。
「ま、今じゃ、ほとんど忘れ去られて、あんな感じだけどな。」
「?」
「って、そうじゃなくて、あやうく忘れるところだった。朝食の用意ができたそうだ。」
☆☆☆
じょぼじょぼぼー。
ずいぶんと高いところから注がれていく紅茶。
お茶を注いでいるのは昨日の騎士さん。
甲冑姿ではなく、髪をまとめた制服姿。
「殿下の近衛をしている。ライアだ。妹が世話になっている。」
「ちなみに殿下にはいつも迷惑をかけさせられている。」
ぶしゅーっ。
思わず紅茶を吹き出すナツ。
「元々、姉殿下の護衛だったのだが、異動でな‥。」
ひそひそと耳打ちしてくるライアさん。
「殿下、くれぐれも今日は、わたしくしどもから離れないように。よからぬ輩が迷い込んでいるという噂もありますゆえ。」
とついでにナツにも耳打ち。
「では楽しい朝食を。」
そう言って嵐のように去っていくライアさん。
「あれ、お姉ちゃん見なかった?」
と入れ違いに入ってくるレイアちゃん。
「そーだ、ドレス合わせるので、ハル様この後、私の部屋へ。で、ナツ様は‥、着替え中に入ってこないように。」
隣では、目玉焼きを吹き出すナツ。
「いや、しないからなっ。」
「冗談です。」
と耳元で呟くレイアちゃん。
「それでは私、お仕事ありますのでこれで。」
とそういうと、たったっと小走りで、去っていった。
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