第93話間抜けは見つかったようだな

 コイツは、彩音は俺の自家発電とそのエネルギー供給源を俺のスマホを介して盗み見ているし知っているとみて間違いないだろう。


 言い換えればこの、今一番常識ぶっている彩音こそが一番の禁忌を犯していると言っても過言ではないだろう。


 更に言えばそれらを録画なんかされていたとしたら、俺は彩音に最大の弱みを握られていると言っても過言ではない。


 今はまだそれを使ってどうこうという事はないので、録画自体がないか、そもそも取引材料に使える事に気づいていないかのどちらだろう。


 はぁ……。


 普通ならば羞恥心で悶えるのだろうが、ここ最近の変態達の素行により俺の常識が壊れているのかなんなのか『まぁ、パンツが盗まれているんだ。 裸くらい、そして俺の自家発電くらい盗み見られていてもおかしくはないよなぁ』と、どこか達観したような感覚になってしまってい、最早ため息しか出ない。


 もしかしたら、自家発電を見られているかもしれないという羞恥心が強すぎて、後日遅れた頃にその羞恥心に悶えるかもしれない。


 そう思いながら俺は最後の砦であるパンツに手をかけて下すと、御身体(休憩モード)を召喚する。


「健介も早くシャワーを浴びてよねっ!! 朝ごはん冷めちゃうからっ!」

「……お、おう」

「ま、まったくっ! いつまで裸でいるのよっ! いくら私達の間柄で将来を約束された仲とは言え、素っ裸を見る事はけ、知識はあるけれどけ、経験はないんだからまだ恥ずかしいんだからねっ!!」

「……す、すまんな」

「良いから早くしてよねっ!! それじゃっ! そういう事だからっ!!」


 そして彩音は勢いよく『ピシャリッ』とドアを閉めると『トトトト』と小走りで走って行く音が聞こえてくる。


 そして俺はこの一連の流れが『たまたま扉を開けたら俺が素っ裸だったという事故』と言う体を装っているのだが、それがワザという事に気付いている。


「……たったそれだけの事を伝えるだけなら俺が中に入っていると知っているんだから、わざわざ扉を開けなくても扉の外から伝えたら良かったんじゃないんですかね」


 どうやら間抜けは見つかったようである。


 そう、変態だらけの環境で扉に鍵をかけずに全裸になるという事をしてしまった俺という間抜けがな。


 それは言うなればライオンの前に生肉をぶら下げるような物に等しい。


 とりあえず、お風呂に入ってシャワー浴びて、目を覚そう……。 きっと寝ぼけ過ぎて危機管理能力が劣ってしまっているに違いない。


 確かに、俺も男だ。


 複数の異性から言い寄られる事を妄想していないと言えば嘘になる。


 そしてその妄想は今こうして現実となり、俺に降りかかっているのだが、どうしてだろう。


 確かに今現在は間違いなく学校の男性ならば誰しもが羨むほどのハーレムな環境なのだろう。

 

 学校では一、二w争う程の美女二人に、その美女と正反対だけれども確かにコアなファンはいる高木さんとのハーレム生活。


 だけれども、俺の心境は『変わってくれるならば変わって欲しい。 なんなら逆にその為ならばこちら側が引き取り料金としてお金を支払っても良いくらいである。

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