第69話いつも通りとは?
「……………………ごめんなさい」
そして俺はは氷室麗華に付き合えないと返す。
かなり悩んだのだが、中途半端に答えるよりかはちゃんと答えた方が良いと思ったからである。
それに、ここで麗華の告白を受け入れてしまうと、昨日フッた彩音に合わせる顔が無いとも思った。
「……そっか」
「ごめん」
「別にあなたが謝る事じゃないわ。 むしろ私の方がここ最近彼女面していた事を謝らなければならないと謝るべきでしょうし」
「あ、なら明日からはいつも通り──」
「そうね、いつも通り彼女面させてもらうわよ? 勿論彩音さんと二人でね」
あれ?
いつも通りとは?
俺は彩音と麗華をフッたはずで、明日からはいつも通りの日常が待っているのではなかったのか。
確かに彼女達の気持ちを考えれば心苦しい物があるし、もし美人恐怖症でなければ恐らく両方とも告白を受け入れていただろうと思えるくらいには彼女達の事を苦手だとは思わなくなってきたのも事実なのだが、だからといって美人恐怖症が治ったわけではないのである。
そもそも数日程度で治ったのならばこんなに苦労などしない。
そして、これでようやっと俺の元に待ち望んでいた日常が訪れるのだと思っていた。
しかしながら氷室麗華からでた言葉は、明日からも彼女面を彩音と一緒にするという内容であった。
そもそも、クラスに俺が麗華と彩音と二股しているというデマが拡散されてからまだ一週間程しか経っていないにも関わらず『いつも通り』とはこれ如何に。
この場合のいつも通りとは『麗華と彩音と距離を置く日常』を指すのではなかろうか?
そう思うながら麗華を見てみると、そこには今さっき意中の男性へ告白して玉砕したばかりとは思えない程、とても良い笑顔をした氷室麗華がいた。
「え? あの、俺さっき麗華の告白をフッたよな?」
「ええ、それはもう見事にフラれたわね」
「そして明日からも彩音と一緒に彼女面をすると?」
「当たり前です。 フラれたからといって私も彩音さんも、健介君の事を諦めると言いましたか?」
「い、言われては無いが……」
「なればこそ、健介君に余計な虫が付かないように私と彩音さんでガードしようとするのは当然だと思うのだけれども? 恋愛は遊びでは無いのだから」
あれ? これ、俺の考えが間違っているんか? いや、そんな馬鹿な。
しかし、ああも自信満々い、そして自分こそが正しいと言わんばかりに言われては何が常識で何が正しいのか分からなくなって来る。
「ち、因みに諦めるとしたらいつぐらいになるのかなー……なんて」
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