第二話 「エッ!? マジぴよ!? スッか!? パイセン!」

 少女冒険者たちは、目の前の超絶雑魚モンスター“巨大アマガエル”に苦戦していた。

 全長は中型犬ほどの大きさで、跳躍力を生かし体当たりしてくるだけの、おとなしいモンスター。

 新人冒険者にうってつけの、超絶雑魚モンスターにもかかわらずだ。

 

 だがそれは否めない。


 なぜなら少女たちは、今日。というか、今この実践がなのだから。



 

「わぁーー」

「きゃぁぁーーです」

「死ぬにそうなんですぴよーー!」

 と言う、叫び声が飛び交い、阿鼻叫喚の様相である。


 そこにハマトラが駆け付け、スキルの効果範囲、ギリギリ圏内の後方から、レアスキル、“重力操作グラビティー・マスター”を発動した。


 すると“巨大アマガエル”は突如として鈍化した。

 今まで俊敏に動いていたのにまるでかのように著しく動きが衰える。

 

 先程まで劣勢だった少女たちは、その隙を見逃さなかった。

 満身創痍の見た目ではあるが、なぜだかわからないが全身が軽くなり、剣を振り拳を突き出し魔法を放ち窮地の状況から優勢に転じ、なんとか“巨大アマガエル”を討伐する。



 少女たちは、男に駆け寄り、

「誰かしらねーが。――マジ乙。て感じぴよ! ――九死に一生を得ましたです!」と一言ずつ発し、一つの会話文を作ると跪いた。

 

 いきなりの対応に戸惑いながらもハマトラは姿勢を正す。

「まぁ。命が有ってよかった! てかお前ら、下手にも限度が有るだろ!?」

 とため息交じりに、右手で頭をポリポリと掻きながら言う。


 少女たちは気まずそうに顔を俯かせ、言外に反省の態度をしめす。

 それを見た、ハマトラは、“まあまあ”と両手を上下に振り、

「それよりも、ケガは無いか?」と問いかけた。


 すると少女たちは堰をっ切ったように泣き出す。


「怖かったぁ!」

「死ぬかと思ったぁぁです!」

「マジ怖! ぴえん! ガクブル! 乙ぴよ!」

 と涙で顔をグシャグシャにしながら吐露した。


 ◇◇◇◇◇


 ひととおり落ち着き、草原にて皆で座していると。少女たちからの質問攻めにあう、ハマトラ。


 大柄でスレンダーな、回復魔法少女がいの一番に「はい!」と、挙手。

「なぜ助けてくれたのですかです?」

「お前らの悲鳴を聞いたからだ!」


 大柄な少女は、感謝の気持ちから無言で頭を下げた。と同時にいかにも“ギャル”風で、細身な猫人モンク少女が声を発する。


「てかマジ感謝! あの時モンスターの動きが遅くなってウチ等の身体が軽くなったのってー、スキルなわけぴよ!?」


 ハマトラは恥ずかしそうに頭を掻き「――まースキルだな」と言った。

 すると言下に、コレでもかというほど重装備で、男勝りな小柄な前衛タンク少女が口を開く。


「救ってくれたことには感謝する! でも助けてなんて言ってねーー! 初陣に水を差しやがって! チッ!」


 その言葉を聞いてハマトラは、居住まいを正し、

「それは悪いことをした。ただ悲鳴を聞いて無視はできないだろ。てか自己紹介がまだだったな。オレは、今朝まで、『神の鉾』にいた“ハマトラ”と言う者だ! よろしくな!」と低く重みのあるいい声で言った。


 『神の鉾』というワードを聞いた瞬間、少女たちは硬直し若干の間をおいてからリアクションをする。


「エッ!?」

「マジぴよ!?」

「スッか!? パイセン!」


 少女たちは、一言ずつ順々に叫び、一つの歪な慣用句みたいなものを形成した。

 言いきった、少女たちは、誇張表現ではなく、驚きのあまり眼球が数センチ飛びだしていた。




 ☆☆☆☆☆


 次回

「最強を目指す!」



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