人やものとの一期一会

 今回は「人やものとの一期一会」という話です。


 人やものとの出会いって一期一会ですよね。もちろん、本もです!


 かく言う私は、本も自分の部屋にお迎えすることをものすごく悩み、躊躇ってしまいます。なぜなら、一度懐に入れたら手放せなくなることが分かりきっているからです。本に限らず、ものもですが、その本やものとの思い出が色濃く残り、また人のように裏切らないので人よりも切ることが難しいな……なんて思ってしまいます。


「人間が嫌い」

「本が友達」

「本が恋人」

 を公言する(? 最後はさすがに公言したことはないかな……と本を何冊も抱き抱えて言う私)人間の末路がここになります。


 ともかく、出会いというのは人だけではありませんし、ものとも思い出があったりするものです。


 そんなもの(やペット)との再会、出会いを優しく描いた小説が、村山早紀さん著の「コンビニたそがれ堂」です。


 本当に必要としているものが手に入る、そんな不思議なコンビニたそがれ堂は神社の神様が店長さんです。大切なものや人とお別れせざるを得なかった切なさ、再会、出会いを果たした嬉しさをファンタジックな優しさに包みながら描かれています。


 この本(シリーズ)を読むと、周りのものや人の大切さを改めて実感することができるかもしれません。


 今度は人との出会いに目を向けてみましょう。


 大丈夫です、たとえ人見知りで人間嫌いを公言していても、人と出会うことはそこまで嫌いではありません。


 さて、最近は公共交通機関ではマスクをして静かにするのが普通になっているので「行きずりの縁」があるかは分かりませんが、だれしも少しはそんな縁の一つや二つ、思い浮かぶのではないでしょうか。


 私は小さい頃に満員の中立っていて疲れていたら、お姉さんに席を譲っていただいたことがありました。今度はそれを繋げる番だと思い、小さい子供やお年寄りの方に席をなるべく譲るようにしています。


 地元で小さい頃に乗った電車で隣に乗り合わせたおばあちゃんと話が盛り上がった(と言ってもほとんど話していたのは母で、私はたまに質問されていただけですが……)思い出もあります。


 そんな電車で起こる「行きずり」を描いたお話が、有川ひろさん著の「阪急電車」です。


 実際にある阪急電車の駅ごとに勃発する小さな出来事。駅に着くごとに視点が変わる連作短編集のようになっていて、電車の中で起こる、人生の酸い甘いも苦みもある小さなドラマが書かれています。


 もしかしたら、電車の中のとある出会いがきっかけとなり、その後の人生や考え方に大きな影響を及ぼしたり……⁈


 今現在はコロナ禍で、コロナ前の世界を知っている私たちは、「もしなかったら〜」「あの頃は〜」とつい考えてしまいますし、私もその1人ですので気持ちが痛いほど分かります。


 ですが、コロナ禍だからこその人との出会い、ものとの出会い、本との出会いも会ったことではないでしょうか。


 あまりにも「コロナじゃなかったら」などと言い過ぎるのは、散々上の世代に「俺らの頃は〜」と自慢されてきた私たちの世代ですので、それと一緒になってしまうのもなという思いもあります。


 この状況だからこそ出会えた人、もの、本に感謝しつつ、もう少し現実でも気軽にまた人と出会えるような世界が戻ってくることを願うしかなさそうですね。


 私にしては珍しいかもしれませんが、そんな綺麗事を言ってみて今回のエッセイを締めようと思います!

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