第14話 私たちの未来

次の日からは怒涛の毎日だった。


優斗の家に持って行く手土産を買いに行って帰ってきたら、優斗が挨拶に来る時間になっており、あれよあれよという間に優斗がやってくる。


両親は大盛り上がりで同棲については、問題なく了承を得られた。


結婚までの話を持ち出して、大騒ぎしている両親が恥ずかしかったが、こんなに喜んでもらえるなんて、私も嬉しかった。


その後、優斗の家に行って挨拶をする。


私の家とは違い格式高いこともあり、両親のように大騒ぎすることはなかったが、優斗のご両親も同意してくれた。


その次の日からは物件探しに、内乱とあれよあれよとことが進んでいく。


気付いた頃には5月連休も終わり、日常が始まっていた。


梅雨に入りそうってところで、物件も決まり、あっという間に入居日を迎えていた。


「快、優斗くんに迷惑かけないようにするのよ。」


「分かってるって。置いてある荷物はちょこちょこ取りに戻るから捨てずに置いておいてね。」


「あんたがいなくなると寂しくなるわね。」


「何言ってるの、いつも早く出て行けって言ってたくせに。」


と寂しさを紛らわすために冗談を言う。


「いつかは巣立つと思ってたけど、あっという間ね。無理しすぎないようにね。何かあったら連絡しなさいね。」


としんみりした空気になっていると、優斗がやってきて


「こんにちは。ご了承頂きありがとうございます。快には迷惑かけないようにするので。」


と手土産を渡している。


私の両親も気遣ってくれて嬉しく思う。


「優斗。至らない娘ですが、どうぞよろしく。」


とお母さんは涙ぐんでいる。それを見かねたお父さんが、


「今生の別れでもあるまいし。快、それじゃぁ、優斗くんに迷惑かけないようにな。」


と言って、中々私から離れなかったお母さんを諭してくれる。


「お母さん、お父さん、じゃぁね。ちょくちょく帰ってくるから。」


と言って、優斗の車に乗り込んだ。


「あんな簡単な挨拶でいいのか?」


「駅1つで帰って来られる距離なのにお母さん大げさなんだよ。」


と目が滲んでくるのを誤魔化すために、窓の外を眺める。


そんな私を見て、優斗がそっと手を握ってくれる。


「俺達、いよいよ一緒に住むんだな。」


「そうだね。なんだかあっという間の出来事で信じられないけどね。」


「信じられなくてもこれが現実だよ。」


ちょうど信号が赤になり、優斗が私を抱き寄せる。


そっと唇にキスをして


「これから俺達、おじいちゃんとおばあちゃんになるまで一緒にいような。」


と言いながら、お揃いのキーホルダーが付いた家の鍵を渡してくれる。


今度は嬉しくて目が滲んでくる。


「そうだね、産まれた時から死ぬまでずっと一緒だね。」


と言うと、優斗は嬉しそうに目を細める。


信号が変わり車が進んでいく。


私達の未来が詰まった、新居に向かい。


これからの人生に希望も込めて。



ーENDー

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