第14話
––カランカランッ。
「ただいま〜。」
「あ!3人とも、おかえり!どうだった?」
「うん、今回はチトセのおかげで、依頼者も加害者もその家族も、良い方向に動きそうだよ。」
「えぇ!?すごいじゃんチーちゃん!じゃあ正式に仲間入りだね!」
「え、えと…」
「うん、チトセが良いのなら、俺は歓迎するよ。」
「ボクは誰だって大歓迎さ。」
「アヤちゃんは、どう?」
「…まぁ、新しい風が吹いて、いいんじゃないかい?ただ、今回だけうまくいった可能性もあるってことを、頭に入れておいておくれ。」
「アヤちゃんてば真面目!でもそこが好き!」
「で、俺たちは歓迎だけど、チトセの気持ちはどう?」
「…はい、みなさんが受け入れてくれるのであれば、働かせていただきたいです!みなさんのもとでたくさん学んで、俺にしかできないことを見つけて、役に立ちたい!」
「それは頼もしいね!じゃあ、これからよろしくね、チトセ。あ、でも、一応試用期間は続くからね。」
「はい!よろしくお願いします!」
「きゃあー!嬉しい!じゃあ今から歓迎会しよ!」
「いいね!久しぶりにワインをあけよう!」
シロガネが奥にあるワインセラーへ小走りで向かう。
「あ、シロガネ〜。俺、赤がいい!」
「え!?アランさん、飲むんですか!?」
「失礼な!こう見えても20歳超えてるぞ!」
「え!?」
「ぷはっ!あはは!いぃねぇチトセ!よし、私はビールだ!」
「この世界では、成長が無いから、幻に来た時の姿のままなの!アーくんは14歳で来たけど、もう10年以上経つんだよー!ちゃんと役所で20歳以上って登録されてるから、お酒飲めるの!見た目子どもだけどね!」
「そういえば、浅井先生が歳を取らないって言ってたような…」
「そういうビビはもう3…」
––ボゴォッ!
ビビの笑顔の強烈パンチは、アランの腹部にクリーンヒットした。
−−−−−
チトセの歓迎会は昼まで続いた。ビビは疲れて眠っている。
「そういえば、チトセの服のデザイン決めなきゃね。」
「あ、裾の裏ですか?」
「そうそう、よく気付いてたね!これはアヤメとシロガネの合作なんだよー。」
「合作って…私は何もしちゃいないよ。私は現世では占いの類をやってたんだ。特殊な力があったみたいでねぇ。人のオーラの色が見えるのさ。」
「えぇ!?すごい!俺はどんなオーラですか?」
「どれどれ…」
アヤメは目を閉じ、意識を集中させた。
暗闇から段々と人の形をしたモヤが見えてくる。
「…チトセは…青だね。青いオーラが見える。」
「青かぁ!」
「俺は赤じゃなくて金が良かったなぁ〜。」
「そう見えちまったんだから、仕方ない。」
「青かぁ…どんなデザインにしようかなぁ。」
「シロガネがその色でデザインを考えて服を作ってくれるんだよ。何故かみんな花柄だけど。」
「いいじゃないか。エレガントで。ボクは現世でデザイナーだったんだ。君にぴったりのデザインを考えてあげるね。」
「はい!楽しみにしてます!」
「ビビ〜起きてぇ。そろそろお開きだよ〜。ビビちゃーん。」
アランがビビを揺する。
「んむむ…ビビお腹いっぱいだぞ!」
「ダメだこりゃ。」
「ボクが担いで帰ろうか?」
「私が担ぐよ。シロガネが担いだの、ビビが知ったらブチギレるだろうからね。」
「…ボクってそんな嫌われてるの?」
「素直になれないだけさね。」
「そうかなぁ…。」
シロガネは少ししょんぼりしながら、ビビを担いだアヤメと事務所を出た。
「じゃあ、俺も帰ります。」
「うん、また明日ね!」
「はい…あの、アランさんは帰らないんですか?」
「アランでいいよ!ここでは敬語も要らないよぉ。俺はね、所長でもあり、ここの主人なのだ!だからここが家なのだー!」
ジャジャーン!という効果音が聞こえる。
「そ、そうなんです…そうなんだ。楽でいいね。」
「うん!チトセに部屋貸してあげようか?」
「えーと、考えときます。」
「はぐらかされた!」
「ふふ。じゃあ、お疲れ様でしたー。」
「お疲れ様ー!」
事務所を出ると、現世とは切り離され、
白い世界に戻っていた。
なんだか、朝帰りのような気分だ。
チトセはぐぐっと背伸びをし、白い世界を歩き始めた。
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