第3話
「私のことを、愛している?」
足を止めたアリスは、ライアン王子に尋ねた。
「そうだ、だから、僕の話を聞いてほしい。君を追放したのには、理由があるんだ」
ライアン王子がこちらに近づいてきながら言った。
「待ってください。それ以上近づかないでください。まだ、完全にあなたを信じたわけではありません。話なら、聞きますから」
「ああ、わかった」
ライアン王子は足を止めた。
そして、アリスを追放した理由を語り始める。
「実は、君を追放したのは、君を守るためなんだ」
「私を、守る? どういうことですか?」
アリスはライアン王子の言葉に驚いていた。
彼はいったい、何を話そうとしているのだろう。
「君は、ある人物に命を狙われているんだ」
「え……」
突然そんなことを言われても、アリスには命を狙われる心当たりがなかった。
しかし、ライアン王子が嘘や冗談で言っているのではないことは、彼の真剣な表情からわかった。
「命を狙われているって、いったい誰が私を狙っているのですか?」
「それは、残念ながらまだわからない」
「え、わからない? 誰かはわからないのに、私が命を狙われていることを、どうして王子は知っているのですか?」
「それは……、いや、待ってくれ。それを話す前に、ここを離れよう。たぶん、僕が王宮からいなくなったことで、捜索隊が動き出しているはずだ。森の中とはいえ、ここにいつまでもいたら見つかってしまう。頼む、アリス。僕を信じてくれ」
アリスは数秒間考えた。
そして、決断した。
「わかりました。ライアン王子、あなたを信じます。まずは、この場を離れましょう。あとできちんと事情を説明してくださいね」
「ああ、もちろん。よし、行こう」
ライアン王子が差し出した手を、アリスは握った。
そして、彼に引かれながらアリスは走った。
「はあ……、はあ……、アリス、少し休憩しないか?」
「ダメですよ。追手が近づいているのでしょう? 早くこの場から離れないと。もう少しで馬車を止めた場所ですよ。頑張ってください」
いつの間にか、アリスがライアン王子を引っ張って走っていた。
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