第19話ヒロキの彼女

ヒロキは落胆していた。道場に入っても、官能小説を読み、たまに大きなため息をつく。

そんな、ヒロキを見かねてか、天敵である副キャプテンの田嶋が声をかける。

「ヒロキ君、残念だったね。1年の女子のことは」

ヒロキは顔を上げ、

「どうせ、笑ってるんだろ心の中じゃ」

「もっと、素直になりなさい。明日、キャプテンと2人で遊び来なよ。キャプテンは行くって返事くれたよ?男子独りじゃ楽しくないから。後、中川さんも来るよ!試合でマネージャーしてくれた女子」

「ん、マヨネーズの中川?」

「バカね。マネージャー。どうする?ヒロキ君!」

「キャプテンが行くなら行くよ」

「じゃ、決まりね。あたしが、梅酒おごります」

「あ、ありがとう」

副キャプテンは、

「さ~らりとした~う~め~しゅ~」と、口ずさみながら、巻き藁を始めた。


今日は雨だったので家庭菜園には目もくれず、正樹は道場にはいるやいなや、

「副キャプテンから、話しあった?」

「う、うん。キャプテンも田嶋ん家お泊まりだよね?」

「うん。梅酒飲むのだ!」

「後、中川も」

「もしかしたら、もしかだな」

キャプテンは今日は弓を引く様子は見せない。

ずっと、恋愛に付いて話をした。間も無く1年がぞろぞろと入ってきた。1年は正樹とヒロキに挨拶し道着に着替えずに、雨の日は矢の羽が汚れてしまうので、安土あづちの成形か、まとの張り替えをしていた。


正樹は、更衣室のドアを施錠し、話しの続きをした。

「ヒロちゃん、カッコいいし、変態じゃなけりゃ大学でモテると思うよ」

「キャプテンさ~、三道大会で勃起して、光一とのエッチなビデオ流してもモテるもんな」

「オレの事はどうでもいい。たぶん、土曜日の夜、中川、ヒロちゃんに告白するよ!きっと!」

「え!何でじゃあ、田嶋の武蔵丸の家に泊まるんだ?」

「それは、武蔵丸の気遣いだよ。だから、明日は梅酒で勝利の乾杯だ!」

「キャプテン、あんたの為にも頑張るよ。キャプテンは大したお人だ!だからか、後輩が付いてくるんだろな」

2人は、遅くまで更衣室で作戦を練ったのであった。


未成年の飲酒は辞めましょう。物語の中だけのお話です。20歳まで我慢しましょう。

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