第17話棚からぼた餅

ヒロキはどうにかして、池田あかねと交際したくなった。

こう言う異性間の問題は、キャプテンに聞くのが手っ取り早い。

しかし、丸山いずみ宅へホモビデオ送り付けたしな!しかも、着払いで。

ま、いっか。キャプテンに明日話そう。


正樹は家庭菜園にいた。ピーマンにアブラムシが付いたので、農薬を散布していた。

「おやおや、サリンの散布ですか?キャプテン」

正樹はヒロキの言葉を無視した。

ヒロキには武器がある。

「キャプテン、すんごい裏モノの写真集持ってきたよ!」

「ん?」

「ほれっ」

正樹はエロ本に釘付けだ。

「キャプテン、許してくれ!頼み事があるんだ」

「……」

「キャプテン、エロ本どころじゃないんだって!僕に人生初の彼女ができそうなんだ!」

「ん?何か言った?」

「キャプテン、真面目に聞いてくれよぅ」

「悪かった、悪かった、ヒロちゃん。それで、オレに何をしてもらいたんだ?」

正樹は、水道水で手を洗いながら尋ねる。

ヒロキは昨日の話をした。


「そうか~、その池田あかねってかわいいの?」

「うん、うん。ミルクタンクはキャプテンの彼女には及ばないが、まあまあ」

「一番は、ヤる前に絶対にゴム着ける事だな」

「キャプテン、まだ、告白の仕方も分からないから聞いてんのに、何故にそこまで飛ぶ?」

「ま、普通に告白すればいいんじゃない?ペットボトルなんて股間に挟まなくたっていいんだよ!」

「わ、分かってる。あれは、ネ、ネタだから……」


すると、道場に丸山いずみが現れた。


『いっけねっ、昨日、丸山にキャプテンのホモビデオ送ってたんだっけ』


「どうした?いずみ」

「まー君、どうしたもこうしたもないよ!あんた、バイ?」

「ばい?」

「男でも、女でも相手するのヤツだよっ」

珍しく、丸山は腹を立ている。

「ただの冗談だよ」

「冗談で光一君とキスして、あんなに勃起したの?変態!」

「ゴメン、悪かった」

「あんたが、ゲイなのかバイなのかはどうでもいいの!」


『えっ、この2人ここで別れないの!』


「着払いの750円ちょうだいよ」


『えっ、お金の怒り?』


「あ、あぁ、ちょと待って」

正樹は財布から千円札を彼女に渡した。

「お釣りはいらないから」

「当たり前じゃない!誰、盗撮した犯人は?」


『それは、僕だ!』


ヒロキは黙りを決め込み、不安になった。

「知らない」

「じゃ、ヒロキ君、心当たりある?」

「ぼ、僕にはなんの事やら」

「分かったら、仕返ししてやるから、じゃ、まー君」

丸山は道場から去って行った。

「犯人はヒロちゃんだろ?」

「えっ」

「ま、いずみには黙っておくが、1年はヒロちゃんが盗撮したの知っているから、時間の問題だな」

「あ、ありがとう。キャプテン。優しいんだね、1年はどうしよう?」

「かん口令を敷くしかないな?」

「か、かん口令ね」


ヒロキは安心した。キャプテンの人気が分かる気がした。

「あ、明日、放課後、あかねちゃんに言う」

「僕は変態ですっ。て?」

「す、好きですって」

「ま、オレはヒロちゃんを応援するよ。自爆はダメだよ!付き合って、早々にイヤらしい事は厳禁だよ!」

「うん、分かった!素の僕で頑張ってみるよ!」

「うん、うん、それがいい」

2人は道着に着替える為、更衣室へ向かった。



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