第16話ヒロちゃん恋をする

またも、キャプテンを陥れる作戦は失敗した。明日、明後日には、丸山いずみの家には着払いでホモビデオが届くはず。

丸山はホモの彼氏は不要なはずだ!

ヒロキは、女子テニス部のベンチに座っていた。

ここは、ヒロキの安住の地だ。

女子の半乳がたまに見れるのだ。

ヒロキはボーッとそしていた。キャプテンの失脚の日を待ちわびて。


ボスッ!


ヒロキは頭に衝撃を受けた。女子テニス部は軟式のはずだ。なんだ、この衝撃は?

足元にラケットが落ちていた。

頭にコブができ、少し血がにじむ。

「すいませ~ん」

と、女子が駆け寄ってきた。

「すいません。大丈夫ですか?」

「え?このラケット飛ばしたの君?」

「あっ、血がでて……」

ヒロキは平気な顔をして、

「大丈夫だよ。痛くも何にもないよ」

「で、でも、血が出てますが」

「あっ、これ弓道部で作ったキズ。だから、君のせいじゃない」

女子は気付いた。

「すいませんがあなたはヒロキ先輩?」

「そうだよ!犬飼宏樹だよ」

「あ、あたしの友達のトシちゃんが、先輩って、とっても面白い人って言ってましたよ!」

ヒロキはため息をつき、

「どうせ、僕なんか変態扱いしてんだろ?だいたい、股間にペットボトルを仕込んで1年に告白した男だからなっ」

「ヒロキ先輩は、優しい男性です。あたし、面白くて優しい男の人って憧れます」

「えっ?」

「あたし、1年2組の池田あかねです。ジュースおごらせて下さい」

「ぶ、部活は大丈夫なの?」

「女子の部活なんて、みんな遊びですよ。うちの高校は」

池田あかねはジュースを買いに行った。

捨てる神あれば拾う神あり。

あ~、ありがとうロマンスの神様。

ヒロキに果たして彼女はできるのだろうか?

もう、キャプテンの失脚なんてどうでもいい、ヒロキのベクトルは彼女に向かっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る