第15話キャプテンの処刑場

ヒロキはカメラの再生ボタンを押した。

手違いで、音声は入ってなかった。

画面では先ほどの、行為が映し出されいる。

その時、正樹は家庭菜園でミニトマトの味を確認していた。


うん、美味しい。


道場内からは、キャーキャー声が聴こえてくる。

オレは決して、負けない!

じゃ、何に?と問われても分からないが。


「キャプテンと光一先輩がキスしてる~」

「あらっ、キャプテン固まってる。だよね~、光一先輩とは違うもんね~」


光一は笑っている。

「うわっ、光一先輩触ってる」

「ホントだ!股間をさわってる~。見たいな~キャプテンの」

「あたしも~」

画像では、正樹がトランクスをずらしてる。

「キャー、キャプテンのいい。あっちもキャプテンだね?」

「うわ~、いい形」

光一はニヤニヤしてる。

「どうだ、諸君よ!キャプテンはバイなのさ!さあ、キャプテンを存分に罵るがいい」

「ヒロキ先輩、ありがとうございます」

「えっ?」

「光一先輩はキャプテンが好きなんで、あたしもじかにキャプテンとふれ合うチャンスがあるってメッセージなんですよね?。だから、ありがとうございます」

「わたしも、触りたい~」

「君たちには、僕がいるじゃないかっ!」

「……」

女子は返事しない。

なんだ!この肉食女子の集まりは!郡山だけは草食らしい。試写会に参加していない……。

「いますよ、ヒロキ先輩が好きな人」

「だ、誰!」

「言っていいのかな~」

「い、言って言って」

「副キャプテンの田嶋先輩」

「……」


「先輩、顔、顔。真顔になってる」

「そうだよ!先輩、副キャプテンと付き合えばいいじゃない!」

「ぼ、僕は宗教上、女の子と付き合えないのさ」

「もったいな~い」

「な、何がもったいな~いだ!武蔵丸だぞ!武蔵丸!」

ヒロキはキャプテンの処刑に失敗した。だが、矢継ぎ早に新しい作戦に移った。


1年女子は家庭菜園に集まった。

「キャプテン、ご馳走でした」

「ん?なんの事?オレはどうせ変態だよ!」

「いいんです。そんなの。でも、私たち丸山先輩との関係壊したくないので、密かに狙ってま~す」

「何を?」

1年女子は黙り込んだ。

「だから、何を狙ってるんだ?」

「それは、正樹の肉体だよ!」

声の主は、光一だった。

「お前、ヒロキとグルだろ?」

「知らな~い」


ヒロキは丸山いずみ宅へ、着払いでこのビデオテープを送った。

正樹と丸山の破局は間も無くだ。

ヒロキは、イチゴミルクを飲みながら、そう確信した。

そして、武蔵丸はゴメンだぜ!と、心の中で呟いた。


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