第13話デカイのをば

休み時間、正樹はトイレに行く。小の方だ。

50分我慢した分、なかなかホッとする瞬間だ。

「いや~、奇遇ですな~」

声をかけたヤツはヒロキだった。そして、覗きこみ、

「キャプテンなかなかのモンじゃない。だから、あの大会での勃起もすごかったのか~」

正樹はわざわざ、大きさを確認しにトイレに付いてきた事を仲間で良かったと思った。

末恐ろしい男だ!

「なに~、ヒロちゃんのは?ん?まぁ~同じ位じゃないのさ!」

「ノンノン、今日は水原に告白するんだ。その時に僕の本気を見せてあげるよ!」

正樹は嫌な予感しかない。


放課後

正樹は、道場前の家庭菜園にナスを植えていた。今年の夏は暑いと聞く。豊作になりそうだ。あと、1ヶ月すれば地区大会だ。我が校の名誉にかけて、否、自分の汚名返上の為に優勝して、インターハイに出るんだ!

「あ、キャプテン、おはようございます」

「うん。おはよ!」

「先輩は『家庭菜園のイケメン』って、言われてますよ。1年の女子の中では!」

「なんだ、その『家庭菜園のイケメン』ってだっさい呼び名は!」

「気にしないで下さい。今日は先輩目当ての女子が先輩の練習姿見に来ますから」

「いいよ、いいよ、わしゃ、この菜園が忙しいんだ。あっ」

正樹は思い出した。

「今日は何があっても、平常心でいろよ!」

「はい?」

「ま、いつも冷静にだ!」

「分かりました~」

来る災難をまだ、彼女は知らない。


正樹が道着に着替えた頃には、外野に女子数名がいる。

正樹を見詰めている。

普段通りの仕草で、弓を引く。


パンッ!


拍手が止まらない。キャーキャー言っていた。

内心、正樹もヨッシャーと叫びたかった。


キャー!


まだ、喜んでいるヤツがいるのか?

「キャプテン、助けて~」

声の主は水原だった。

「ヒロキ先輩がおかしいんです」

正樹はヒロキの姿を見て、度肝を抜かれた。

「水原さん、こんなに僕は大きいのだよ!」

「辞めて下さい!」

ヒロキの股間はすんごく膨らんでいた。

「あ、キャプテン!」

「ヒロちゃん、こっち来い」

外野も成り行きを気にしている。


2人は更衣室に入りドアをロックした。

「ヒロちゃん、どうしたのその股間」

「あぁ、これね」

ヒロキは股間をもぞもぞした。

そして、ズボンから1.5リットルの空のペットボトルを取り出した。

「なんで、こんな事を」

「だって、あいつらキャプテンのちんこに惚れてるんだ。だから、盛りに盛ってペットボトル股間に挟んだの」

「水原はもう、取り乱しているから、今日は大人しく帰れ!」

「まだ、返事聴いてないけど」

「水原の涙で分かったろ?ダメだって」

ヒロキはふて腐れで道場を後にした。


水原に声をかけた。

「水原、大丈夫か?」

「あっ、キャプテン~」

と、水原は正樹の手を握り絞めた。

「助かりました。でも、ヒロキ先輩があたしにセクハラするって、知ってたんじゃないですか?」

「し、知らないよ」

「ウソついてません?」

「え?あたしゃ尻餅はつきますが、ウソはつきません」

「その言葉、信じますからね。後、お礼にジュース買ってきます」

「い、いいよ、いいよ」

「お願いです」

「じゃ、コーヒー牛乳」


しかし、帰りながらヒロキは考えていた。男はちんこだけじゃダメなんだ。

何か、いい手立てはないものか?

キャプテンだけが、ちやほやされるのはマンガの世界だ。

悪いがキャプテン、君にはホモになってもらおう。

ヒロキは光一宅に電話するのであった。

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