第11話ロマンスの神様

キャプテンこと西正樹は、家庭菜園に石灰を撒いていた。

今日は1年が真面目に練習している。最近、正樹は後輩の指導をしていない。

まだ、勃起事件から二週間しか経っていない。17歳の男子にとって最悪の事件であった。

なんで、彼女とのエロい事考えたのは分かるが、それにプラスして光一の唇の感触も思いだし、勃起したのか?

そしてなんだ?1年女子は彼女の丸山いずみが羨ましいって……。


しばらくすると、大声で歌を唄いながらヒロキが近付く。

「北京 ダブリン キャプテン マラリア~♪」

「なんだ、その歌詞は!砂かけババア」

「え?PUFFYだよ」

正樹はヒロキに石灰を撒いた。

「辞めて下さい。キャプテンっ!うぷぷ」

「変な歌を~、ぶち殺すぞっ!」

ヒロキは何事も無かった事のように話す。

「ねぇ、今日は郡山に告白するんだ!」

「……」

「やだわ、キャプテン。嫉妬してるの?いるじゃない、丸山って彼女が」

「ま、まあな。郡山のどこに惚れたんだ?」

「ミルクタンクな~のだ~」

正樹はバカを無視して、石灰を撒いていた。


「まー君」

そう呼ばれた正樹は顔を上げると、彼女のいずみが立っていた。

「な、なんか用?」

「最近は、うち遊びに来るの少ないね」

「だって、弓道部のキャプテンだし~」

「まー君、浮気してるでしょ?」

「ま、まっさか~。いずみ一筋80年だよ!」

「図星だ~。まー君、ウソ付く時って口角が一瞬、上がるんだよね」

「ま、いたって健全な17歳なので、浮気はしません」

「神様に誓える?」

「アーメン」

「わたしにも?」

「ラーメン」

「……ま、浮気しても、あたし別れないから。子供だけは作んないでよ!」

「タンタンメン」


いずみはしばらく、女子数人で弓道部の練習を見学していた。

なんて、できた彼女なんだ。浮気はしないと誓ったが、数分後にはいらしい事を考え始める。

「正樹君も大変だね。彼女2人に、彼氏1人。上手く付き合おうね!」

「だ、だれが彼氏なんだよっ!」

「僕」

ロマンスの神様よ、どうかこの男とくっつきませんように!

「この前のキスで大きくするって、正樹君はバイなの?」

「ば、ばい?」

「うん、バイ」

「どういう、意味?」

「男性でも女性でも、エッチ出来る人」

「ば、馬鹿言うでねぇーよ!いずみ一筋80年よ!」

「そうかな~、いつも体育倉庫で郡山さんと何をしているの?ま、聞かなくても分かるけど。ウフフ」


その時だ、


キャー


正樹と光一は急ぎ部室に入る。声の主は郡山。

「どうした?」

「ヒロキ先輩があたしの手を舐めたんです」

「な、なにやってんだヒロキ」

「キャプテン、それは間違い。郡山に告白して、立て膝ついて手の甲にキスしただけだよ」

「ヒロキ君、言っておくがそんな事をすんのは、海外の男がプロポーズする時だ」

「うぐぐっ、こ、郡山さん、ダメかな?」

「ダメです。絶対、無理です」


その日の夜、ヒロキの部屋で杏露酒を飲んだ。

ヒロキはよっちゃんのイカを食べながら、正樹と過ごした。明日は学校が休みだ。

2人は杏露酒3杯で酔った。

そして、ヒロキはポツリと言う。

「光一って、可愛いよな?」

「えっ」

正樹は耳を疑った。


続きは次回。

未成年の方は、飲酒をしてはいけません。20歳まで、待ちましょう。

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