第10話光一の唇
正樹は家庭菜園の水やりをしていた。まだ、他の部員は来ていない。野球部では、ノックとか始めているのに、この第7サティアンの連中はもう、自由奔放。
すると、光一が現れた。
「正樹君、今日、出来る?」
「なんの事?」
「キス」
しまった、正樹はキスの約束を失念していた。
「あ、あぁ」
2人は更衣室に向かい、ドアをロックした。
光一は正樹より背が低い。165くらいだろう。175の正樹は、顔を下にむけて、光一にキスをした。
な!
光一は舌を絡めてきた。
正樹は凍りついた。
「おいっ、光一、ディープキスをしてもいいって言った?」
「正樹君。僕、好きなの」
「なにが?」
「正樹君の事。だれも、いないから舐めてやろうか?」
「ひ、ひぃ~。ま、また、今度な」
着替えて、練習しよう。
2人は道着に着替える。
正樹はズボンを脱いだ。何故か、勃起していた。光一にはバレないように着替えた。
そして、光一が言う。
「正樹君はキスだけで、勃起するんだね。可愛い」
「うわぁ~」
正樹は恥ずかしさのあまり、叫び声を上げ、道場に向かった。
「何を興奮してるんですか?」
1年の女子、水原が尋ねる。
「さ、三道大会の結果に嘆いているんだよ」
「あぁ~、分かります分かります。決勝で……あそこ大きくなってましたよね?」
「ん?」
「1年の女子は毎日、あの時の話しをして笑っているんです」
正樹は顔が赤くなった。
「うわぁ~、もういいよ!散々、オレをバカにしてくれっ」
「そういう意味じゃないんですよ」
「なんだよ、笑ってるんだろ?」
「女子が、彼女の丸山さんが羨ましいって」
「そんなん、慰めにならないよ!他校の連中にもバレたんだぞ、うぁ~、この先どの面下げて試合に出ろって言うんだ」
そこへ、ヒロキが近寄り、
「キャプテン、君の無念さは理解出来るよ」
「ひ、ヒロちゃん。ありがとう」
「僕らの友情は一生だもんな、勃起キャプテン」
「き、きっさま~、うぁ~、今日はもう帰る」
「先輩、みんな応援してますから」
「もう、いいよ!水原」
キャプテンは、自律神経がやられそうになるくらい恥をかいた。
キャプテン頑張れ、頑張るんだ!
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