ミズカドレカで幅を利かせる男
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★デイリーミッション★
毎日コツコツ頑張ろうっ!
『娘を蘇生する』
娘を蘇生する 1/1
★本日のデイリーミッション達成っ!★
報酬 『アダムズの聖骸布 1/24』
継続日数:243日目
コツコツランク:ブラック 倍率100.0倍
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これで3枚目か。
手拭いくらいのサイズにはなったかな。
ただ、これではまだまだ使い物にはならないだろう。
なんたって24分の3しか集まってないんだからな。
「お父さん、シマエナガさんに悪気はなかったの。許してあげてほしい」
「ちー(訳:どうしてちーが擁護されてるちー……)」
「シマエナガさん、本当に反省してくださいね」
「ちーちー(訳:英雄が急にレヴィの味方しだすムーヴも腹立つちー)」
レヴィに外套を羽織らせてあげる。自分で着ようとしたら腕が引っかかって、肩をちょっと痛めて、そのまま儚死する可能性があるからな。
「こら、レヴィ、自分で着ようとしたら危ないだろう」
「これいくらい大丈夫、平気平気」
いや、それは死ぬ時のやつなんだよ。
「師匠……お子さんいたんですか」
驚いた顔で言われた。当然すぎるので意外性はない。
青白い肌に、白い触手の髪、橙色の瞳。いかにも人外。というか人外だ。
レヴィはどう見たって人の子ではない。だが、俺の子なのは間違いない。
「まあ説明すれば長くなりますけど、俺がパパなのは間違いないです」
「ちーちー(訳:自分の都合よく解釈しすぎちー、彼女もいたことないのに、パパだなんて片腹痛いちー)」
「レヴィ、その白玉こっちにくれる?」
「うん、いいよ」
「ち、ちー!(訳:やめるちー! バスケットボールにしないで欲しいちー!!)」
シマエナガさんはドリブルするのにも使えます。
「フィンガーといっしょにいるほど謎が増していくな……」
「その子は……湖の精霊さん、ですよね? 大丈夫なのですか、フィンガーさん……襲ってきたりはしませんか?」
エリーは心配そうに上目遣いでたずねてきた。昨日、俺とレヴィが戦った時の衝撃は霧の漁村まで届いていた。そこにはエリーたちも当然いたわけで、だからこそ、ものすごい物音を立てていたレヴィのことが怖いのかもしれない。
「大丈夫ですよ、エリー。本当のレヴィは心優しい子なんです」
「怖くない、怖くない」
レヴィはエリーの頭をなでなでする。
「レヴィ、なにか覚えていることはある? シマエナガさんのことをイルカさん攻撃でボコボコにしたのは覚えてる?」
「うんん。わからない」
レヴィにいくつか質問をしてみてわかったことは、彼女には洗脳時の記憶がほとんどなかったということだ。うっすらと俺にフィンガースナップされたことは覚えており、俺が近くにいたのも気がついていたという。だから、再会してもあんまり感動的なリアクションをしてくれなかったのだ。
「お父さんはずっと一緒だった」
「ちー(訳:おかしいちー。ちーのほうがレヴィとずっと長く戦ってたちー)」
「ぼこされてたの間違いでしょう」
「ちーちー(訳:あれは戦ちー。互角の死闘だったちー)」
「物は言いようですね」
「お父さん感」
レヴィはだぼっとしたアドルフェンの聖骸布を持ちあげる。
その服をずっと着てたから俺を近くに感じたということか。
心細くなかったのならプレゼントして正解だったな。
「みんなここからは飛びましょう。シマエナガさん、全員乗りますか」
「ちーちー(訳:ちーに不可能なことはないちー)」
「う、うわ、シマエナガさんがこんな大きくなっちゃいましたよ、師匠!」
「一体どういう生物なんだ……?」
「シマエナガさん、ふわふわだ、可愛い……」
「にゃあ」
ふっくら大きくなったシマエナガエアラインを使いミズカドレカに戻る。
「ちーちー(訳:英雄はずいぶん楽しそうちー。女の子を侍らせてメインヒロインの背中で飛ぼうなんて、良いご身分ちー)」
飛んでいる最中、豆大福ぼやきがとまらなかった。
成り行きだから仕方ないな。俺から働きかけているわけじゃない。
「師匠、シマエナガさんはなんて言っているんですか?」
「たいして内容はないです。気にしないでください」
「ちーちーちー!」
「すごい主張してる気が……」
「鳥の戯言です」
シマエナガさんの言葉は万人に理解される必要はない。
━━翌日
シマエナガさんの背中に乗り、地底世界を横断し、来た時よりずっとはやくミズカドレカ地底河に戻ることができた。
昼過ぎにはミズカドレカの都市のゲートハウスにたどりつけた。
シマエナガさんでそのまま飛び越えてもいいが、トラブルの元になるので、のちのちの面倒を避けるためにちゃんと門をくぐって街に入ることにする。
「検閲をする! そこで止まれ!」
ゲートハウスで兵士に呼び止められる。
見ない顔だ。新人だろうか。
奥から早歩きで壮年の男がやってくる。
こっちは見知った顔だ。
「お前ら、このお方は通せ」
「え? ですが……」
「俺がいいと言っているんだ」
最初の頃は高めの通行税をふんだくられていたが、いまでは門の税は実質免税されている。主にミズカドレカ近郊の領主であるベルモット・ラジャーフォードのお達しだろう。彼の兵士たちは俺にとても親切にしてくれる。
「失礼いたしました、フィンガーマン様、彼は新人で」
「別に構わない」
兵士の長はセイをちらりと見やる。そのあとクゥラとエリーを見やり、巨大お猫さまのふわふわフワリと、その横の巨大着ぐるみみたいなシマエナガさんが守護するレヴィに視線はたどり着いた。
「ずいぶんと大所帯になったご様子で」
「ああ。いろいろあってな」
「ディーンさん、いいんですか、こんなサーカス団みたいな怪しい連中をいれて」
「いいんだ。お前は構うな」
兵士の長は新人を制止し、ぺこりと頭をさげてきたので、鷹揚に手をふって対応する。こういう場合、下手にでないほうがいい。俺の心理としては「いえいえ、いつもありがとうございます」と頭を下げ返したくなるが、我慢だ。
俺はフィンガーマン。恐れられている。ベルモットにも、彼の兵士にも。
その関係性は重要なものだ。どちらが上かははっきりさせておく。
嫌なやつになる必要はないが、舐められる訳にはいかない。
通りを歩いていると周囲の目線が集まっていることに気づく。
「ちーちー(訳:英雄はずいぶんこの街に馴染んでいるみたいちー)」
「それなりに住んでますからね」
「ちーちーちー(訳:みんなに尊敬されているようでちーも鼻が高いちー)」
「お父さんは権力者?」
「権力者ではないかも……?」
たぶん注目されているのは俺ではなく、シマエナガさんとフワリの2名が主な原因だと思う。レヴィはアドルフェンの聖骸布のうえから旅装のマントを羽織っているのでぱっと見では、人外だということはバレない。ただ、背後で守護天使のようにシマエナガさんが四六時中くっついているからそっちは目立つ。
「悪いがうちはペット禁制なんだ」
泊まっていた宿屋に戻ったらそんなことを言われてしまった。
「これはペットじゃないです」
「にゃあ〜」
「ちーちーちー!」
「じゃあ、なんだっていうんだい」
「にゃあと豆大福です」
「じゃあ、今からにゃあと豆大福も禁制だ」
宿屋の主には勝てないか。
いや、まあ普通に考えていくらもふもふで可愛いかろうと、こんなデカいやつらを部屋に連れ込まれるわけにはいかないのはわかるけどさ。
「師匠、どうしましょう……」
「とりあえず、こっちはなんとかします」
「フィンガーなら上手くやるだろう」
「それじゃあ一旦お別れということで」
クゥラとエリーは言いつつ、宿屋に戻っていく。
俺とあの赤髪姉妹はすでに経済的に独立している。
今回の旅を共にしたのも、目的地が一緒だったからだ。
「師匠、家なくなっちゃいましたね」
「ちーちーちー(訳:失礼なことちー! ちーはペットじゃないちー!)」
「はいはい、メインヒロインメインヒロイン」
「ちーちー!(訳:そんな雑じゃ嬉しくないちー! 待遇の改善を要求するちー!)」
「にゃあ……」
お家がなくなってフワリも悲しそうだ。
どうにかしないと。路上生活するわけにはいかんぞ。
でも、フワリを受け入れてくれそうな宿屋なんてないもんな。参ったな。
「商会に頼るか」
大量の視線を集めつつ、街を警邏している兵士に声をかけられて「あっ、フィンガーマン様……失礼いたしました。足を止めてしまいすみません」と謝られるやりとりを2回ほどしたら、ニールス商会にたどり着いた。
時刻は昼過ぎ、商会の一番忙しい時間はすでに過ぎている。
いまならサーカス団状態で足を運んでも迷惑はかけないはずだ。
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こんにちは
ファンタスティック小説家です
聞いてください、カクヨムからノベルピアに引越した作品『俺だけスキルツリーが生えてるダンジョン学園』が向こうのコンテストで金賞とりました!
『第一回ノベルピアWeb小説コンテスト 金賞』です!
賞金200万円です。
あと書籍になったり、韓国のほうに翻訳連載される可能性もあります。
国際ファンスティック小説家になる日も近いかもしれません。
はい、というわけでめでたいので★★★ください! 評価ください! くださーい!
よろしくお願いしますください!
以上、ご報告でした!
ください!
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