無人島開拓はじめっ!
さあて、無人島へやってきましたよ。
あ、どうも、赤木英雄です。
え? なんでいきなり無人島にいるかって?
まあちょっと理由がありまして。
──5時間前
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経験値のなる木
経験値の奔流よりいずる神なる樹
樹の戦士たちへ恵みをもたらす
生産量 200億/1d
恵みレベル:3
次の恵みレベルまで100人
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はい、一丁あがり。
ブレイクダンサーズのみんなにリンクしてもらって『経験値のなる木』くんの登録者数を増やしてやれば、無限に無料にレベルアップできちゃいます。
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赤木英雄
レベル277
HP 547,990/725,400
MP 106,420/140,100
スキル
『フィンガースナップ Lv7』
『恐怖症候群 Lv10』
『一撃 Lv10』
『鋼の精神』
『確率の時間 コイン Lv2』
『スーパーメタル特攻 Lv8』
『蒼い胎動 Lv4』
『黒沼の断絶者』
『超捕獲家 Lv4』
『最後まで共に』
『銀の盾 Lv9』
装備品
『クトルニアの指輪』G6
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俺の本来のレベルはおそらく274。
そこに恵みレベル3が加算されて277。
お得です。無限にお得になれる。
「いてて、死ぬかと思ったわい」
「指男、ドクターを見つけてきたわよ」
娜とドクターがブレイクダンサーズたちに抱っこされてやってくる。
「あれ? 指男、なんかその木……変じゃない?」
「ああ、これですか。これは本当に凄い木でして──」
「そうじゃなくて。なんか大きくなってない?」
「え?」
『経験値のなる木』。
それはもうMax成長しきった姿だとどこかで安心していた。
だが、違ったのだ。この木は登録車を増やすほどにより成長してしまうのだ。
「あ、やば」
結果、経験値工場はただでさえパンパンだったのに、さらなる根の増殖によりこちらを生き埋めにする勢いでスペースを奪われてしまった。
──現在
そういうわけで、危険過ぎる『経験値のなる木』を超捕獲家でいったん異次元に収納し、経験値工場の外側へ植え替えるプロジェクトが急遽はじまりまして、その植え替え場所として俺と修羅道さんの無人島が選ばれたわけです。
修羅道さんは忙しいとのことだったので、ジウさんに連絡をして今日のダンジョン攻略の予定をキャンセルしてもらい、東京の港より、船を一隻だしてもらいました。
ジェットのように速い船は海を切り裂いてあっという間に太平洋上の島へと到着。
「……。船の固定はこんなところですかね」
ジウさんは素手で船をひっぱって浜辺に引き上げます。
なにせ港なんてない無人島なのです。船がなくなったら困ります。
まあ、”扉”さえ繫いじゃえばどうってことないけど。
それにしても、ジウさんもやはりパワータイプ。
フェリーみたいな大きな船、それも装甲と銃器の搭載された武装船を引き揚げるなんて。財団受付嬢の人ってみんな特殊ですね。
「……。それでここからどうするんですか。私はとくに用事を聞かされてないんですが」
「実は俺は経験値工場というものをトラップルームの中に持っていて、カクカクシカジカンっと言うことでここに移転させることになりまして」
「……。相変わらず理解の及ばないことをしていることだけはわかりました(指男さん、経験値をつくる技術は財団でも保有していないというのに、あなたと言う人は……)」
移転と言っても『経験値のなる木』を植え替えるだけなんだけどね。
俺とジウさんは森へ足を踏みいれていく。
無人島なはずだが、道が開かれている。
樹を斬り倒して足場を固めただけの武骨な道だが、獣道を進みよりずっと快適である。
「これが修羅道さんが言ってた新しい花壇ですか」
「……。彼女は最大の跳躍の使い手ですからね。きっと庭を手入れする感覚でこの島に出入りしているのでしょうね」
森の奥地には隅っこに丸太が積みあがった、整地された空間があった。
工事現場みたいな雰囲気である。これ修羅道さんひとりでやったのかな。
「……。100m×100mできっち整地されていますね」
「修羅道さん器用ですね」
「……。器用というよりパワーに驚くところでは?」
修羅道さんに事前に許可はもらっているので、さっそく植え替えです。
とはいえ超捕獲家で異次元に飛ばしていた『経験値のなる木』をここに出現させるだけので一瞬で作業は終わります、はい、ドーン。
巨大樹が着地するなり、地面に根を伸ばし、根付きました。
はやい。経験値のなる木も地面が恋しかったのか。
「……。根っこが意思を持っているようで恐怖でしたけど」
樹高20mと言ったところ。
立派な木が立ちました。
「さあ、こっちじゃぞい」
「リンクしてない子は並んでください」
『経験値のなる木』の根元に”扉”を設置して、ドクターと
この先ブレイクダンサーズは無限に増える予定なので、流石に経験値工場では手狭であるからだ。
樹の成長による空間圧迫の心配がなくなったので、さっそくぎぃさんにたくさんブレイクダンサーズを召喚してもらい、どんどんリンクして登録者を増やしてもらうことにした。
リンクすることで個々のブレイクダンサーズ及びブラックタンクの能力は向上し、さらには『経験値のなる木』の恵みレベルも上昇していく。
乗るしかないだろ、このビッグウェーブに。
「ねえねえ、あなたは財団の人?」
「……。そうですよ。指男さんの秘書を担当しているイ・ジウと申します」
「私は李娜。ふむ。あなたはまともそうね。指男の軍勢、これどう考えても世界征服とか考えてると思うんだけど、なんとかしなくていいの、秘書さん」
「……。彼は優しい人ですよ。ちょっと悪い人に見える時もありますが、本当に温かくて、陽だまりのような方なんです」
「そうかしら……まあ、親しみやすいけど」
「……。それに指男さんには深い思考があるんです。それはきっと李さん思うよりずっと深くて、先を見ている遥かな視点です」
「指男にそんなことが……ううん、確かに私がは指男を見くびっていたのかも……」
なにやら娜とジウさんが仲良くお話しております。
よく聞こえないけど、ジウさんが微笑ましい顔しているので、きっと面倒を見てあげているのでしょう。小さい子好きなのかな。
と、ぎぃさんが何千体ものブレイクダンサーズの召喚を終えたようです。ちょっと数がやばすぎて、流石に恐怖映像ですね。見渡す限りの黒、黒、黒。それが蠢いてざわざわしているので大量のGに囲まれたかのような居心地の悪さがあります。こわ。
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『経験値のなる木』
経験値の奔流よりいずる神なる樹
樹の戦士たちへ恵みをもたらす
生産量 400億/1d
恵みレベル:6
次の恵みレベルまで2,841人
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最終的には恵みレベルは6になりました。
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赤木英雄
レベル280
HP 548,410/839,000
MP 106,400/151,100
スキル
『フィンガースナップ Lv7』
『恐怖症候群 Lv10』
『一撃 Lv10』
『鋼の精神』
『確率の時間 コイン Lv2』
『スーパーメタル特攻 Lv8』
『蒼い胎動 Lv4』
『黒沼の断絶者』
『超捕獲家 Lv4』
『最後まで共に』
『銀の盾 Lv9』
装備品
『クトルニアの指輪』G6
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タダで6レベル貰えるのは奇跡。
ビッグウェーブどころの騒ぎじゃない。
それに、よく見たら一般ブレイクダンサーズもちょっと逞しくなってるんよね。
近場にいる『黒ねじれの槍』とハリネズミさんの装備で身を固めたブレイクダンサーズのステータスを拝見をします。
なおぎぃさんもハリネズミさんも毎日MP消費して武装・防具を生産しているので、順次ブレイクダンサーズたちに供給はされてます。個体数が増えるの早すぎで全然追いついてないけどね。
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黒槍の竜騎士セイント・ブレイクダンサーズ
恵みレベル6
HP 150,000/150,000
ATK1~10,000,000(1,000万)
DEF 20,000
装備
『黒ねじれの槍』
『救世の鱗鎧』
『救世の疾翼』
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HPがもともと50,000くらいだったので3倍ですか。
ほかのステータスたちもきっと上がっているかな。
わりとHPで強さが図れるところがあると経験上わかっているので、だいたい3倍程度のステータスを得ていると考えられます。もうバケモノです。
「さて、それじゃあ植えるもの植えましたし帰りますかね」
「私はちょっと木のことを調べていくわ」
「ふむ。では、わしも残ろうかのう。大ムゲンハイール ver7.0の開発も難航しておるし、リフレッシュじゃ」
そう言えば、ドクターにしては珍しく手こずってますね。
やっぱり、一回バラしたせいでよくわかんなくなっちゃったんじゃ……いや、言うまい。
時刻は午後6時。
でも、まだまだ、終われない。
なぜならノルマがあるから。
「……。残り99個です」
何がとは言わないが、ジウさんが圧をかけてくる。
はい。わかってます。行きます。指男、行きます。
──数時間後
場所は栃木県某所。
発生から1週間が過ぎたクラス1ダンジョンを消し炭に変えました。
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今日の査定
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無垢なボスクリスタル 9,000,033円
『バトルドーム』 10,000,000円
『黄金の塊』 1,000,000円
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合計 20,00,033円
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ダンジョン銀行口座残高 20,237,046円
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修羅道運用 52,349,415円
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総資産 72,586,461円
(7,258万円)
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ボスドロップの『黄金の塊』
それと先日の『バトルドーム』を売り忘れていたので、今回の査定に混ぜておきました。もう『バトルドーム』=1,000万円としか見てません。超エキサイティンッ!
「今日一日もお疲れさまでした! 赤木さんえらいえらい!」
当たり前のようにキャンプにいる修羅道さんに癒されます。
「あ、そうだ、赤木さん!」
「なんですか、修羅道さん」
「地獄道ちゃんが近くに来ているようなので、直談判のチャンスですよ!」
ほう。
地獄道さんめ、どうやら油断したようだ。
我が経験値への執念、一度NOを突きつけられた程度で燃え尽きると思ってはもらっては困る。
「地獄道さんはどちらに?」
「ついて来てください。一緒に行きましょう!」
「喜んで」
修羅道さんに連れられ、地獄道さんに会いに行きます。
──2時間後
「地獄道さんが派遣を認めてくれるまでこの座席を離れません。あと地獄道さんをお家に帰しません」
「地獄道ちゃん! 赤木さんに好きにやらせてください!」
「はぁ……なんで修羅道までそっち側に……わかりました、査察の機会を設けましょう。その派遣部隊とやらにクラス1ダンジョンをひとつ攻略させて見せてください。そこで見極めます」
しつこくお願いしたら黒沼私兵部隊の派遣を許可してくれました。
なお説得開始から10分後のことでした。
修羅道さんの力でしょうか。目を見て話せば意外とチョロかったですね。チョロチョロです。
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