Fingerman's troops of Black bog
ぎぃさん、一体なにをするつもりなんでしょう。
「指男、もしかしてぎぃは何か悪い事を企んでるんじゃ……」
「ぎぃさん、いったい何をするつもりですか! 答えてください!」
「ぎぃ(訳:私はこうなることがわかっていました。だから、布石を打っておいたのです)」
ぎぃさんは『貯蓄ライターver2.0』をひとりのブレイクダンサーズに渡す。
触角をヒクヒク動かして、黒沼の怪物たちを動かすと、黒沼の怪物たちが動き出し、統率の取れた足取りでぎぃさんのまえに並んだ。
ブレイクダンサーズが15人。ブラックタンクが3人、前へ進み出る。
フォーメーションを意識しているのか、前方にブラックタンクが出て、その隙間にブレイクダンサーズがサンドウィッチされております。なんだろうこれ。
「ぎぃ(訳:これで一個隊の編成を完了しました)」
なるほど。
これがチームだと。
もしかして、ダンジョンに派遣するって話の続きだったのかな?
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黒沼私兵部隊
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ブラックタンク×3
ブレイクダンサーズ×15
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「ぎぃ(訳:こんなところでしょう。あんまり大所帯だとダンジョン財団にいらぬ警戒をされかねませんし、規模はほどほどに)」
「だから、ちょっと少なめなんですね」
「ぎぃ(訳:黒沼の怪物から編成した部隊をダンジョンに送り込み、経験値を回収させます。そのためには貯蓄ライターが必要でしたので彼らに持たせました)」
「ぎぃさん、まさかここまで考えていたんですか……?」
「ぎぃ(訳:ビジョンはずっと前からありました)」
なんて恐ろしい子。
後先考えない経験値クズとの差が広がる一方です。
登場してないのに株が下がる可哀想な豆大福よ。
「ぎぃ(訳:しかし、もう少しパワーが欲しいですね)」
「ぎぃさんが召喚できる『黒沼の武装』を装備してもらえば、攻撃力あがるんじゃないですか」
何気ない提案に「ぎぃ(訳:それで行きましょう)」とぎぃさんは、さっそくMP100,000消費で召喚できる槍をもちだしました。いきなり最終兵器ですか。
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黒沼私兵部隊
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ブラックタンク×3
ブレイクダンサーズ×15
ブレイクダンサーズ(黒槍)
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黒槍のブレイクダンサーズ
HP 50,000/50,000
ATK1~10,000,000(1,000万)
DEF 20,000
装備
『黒ねじれの槍』
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おおう。
めっちゃ強くなりましたね。
ブレイクダンサーズも槍をふりまわして、巧みに扱って「俺はやれるぜ」と強者アピールしています。槍持っただけなのに、ちょっと体が大きくなって、背中から生えてゆらゆらしている触手が太くなり、数も増えました。
「ブレイクダンサーズって武器仕えたんですね」
「ぎぃ(訳:センスがいいんですよ。たいていの武器は手に取った瞬間に達人のように使いこなして見せるでしょう)」
すげえな。
流石ブレイクダンスで人類を置き去りにするスペックだ。痺れるぜ。
「ぎぃ(訳:しかし、まだなにか物足りませんね)」
もう完成しているように見えるけどな。
身の丈以上の長槍を細身の引き締まった異形の怪人があつかうさまは、ダークヒーロー的なイメージで大変にすこい。
「ぎぃ(訳:アクセント……そう、アクセントが欲しいですね)」
「アクセントですか」
「きゅっきゅっ(訳:見栄えがよくないっきゅ! こんな邪悪な集団が独立して動くことが認められるわけがないっきゅ! 我のように聖光を背負い、かつ大古竜の威容を称えていなければっきゅ!)」
ご意見番ハリネズミさん、堂々と胸を張ります。
言われてみれば、まあ、確かに今のままでは邪悪にすぎるかも。
救世の厄災であるハリネズミさんは全体的に白っぽい。かつ今は神聖な雰囲気を纏った鎧を着てるので、いっそう白いオーラが漂ってます。
それに比べたらブレイクダンサーズの闇墜ち戦士感は否めない。
「ぎぃ(訳:いいですね。それを使いましょう、後輩)」
「きゅっ?(訳:どういうことっきゅ、蟲殿?)」
ぎぃさんは黒い触手をぶわっと無数に展開すると、その矛先をハリネズミさんへ向けた。
触手から逃れようとするが、ふんぞりかえっていたせいで逃げるのが遅れ、無惨にもハリネズミさんは触手プレイに捕まってしまった。なんという18禁アニマルビデオ展開なんだ。
「きゅ、きゅきゅきゅっ!?(訳:きゅっ! きゅきゅきゅっ!)」
「ぎぃ(訳:じっとしててください。上手く取れません)」
触手はハリネズミさんを絡めこねこねすると、次の瞬間、一瞬でハリネズミさんの装備を剥ぎ取り、それをブレイクダンサーズのひとりに装備させてしまった。
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黒沼私兵部隊
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ブラックタンク×3
ブレイクダンサーズ×15
ブレイクダンサーズ(黒槍、竜鎧、疾翼)
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黒槍の竜騎士セイント・ブレイクダンサーズ
HP 50,000/50,000
ATK1~10,000,000(1,000万)
DEF 20,000
装備
『黒ねじれの槍』
『救世の鱗鎧』
『救世の疾翼』
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カオスを感じる。
これは開闢の使者と呼んでも間違いではない。
黒いヌメヌメとした質感の肉体と、神聖な鎧、さらに竜の翼が生えたことで竜騎士という名にふさわしい、ラスボス第一形態みたいなブレイクダンサーズが出来上がってしまいました。
「パーフェクトです、ぎぃさん」
「ぎぃ(訳:感謝の極み)」
「光と闇があわさって最強に見える現象が再び起ころうとは思いませんでしたよ」
しかし、こんな強そうな個体を意図的に作れるものなのか。
今回はあるものを装備させたけど、もしダンジョンで手に入れた強力な
ほかにはどんな進化をするのだろうか。ちょっと見てみたい欲が……。
え? ハリネズミさんですか?
そこでふてくされて丸くなってますよ。
「きゅ……っ(訳:我の鎧がぁ……っ! こんなのあんまりっきゅ……!)」
ハリネズミさんには強く生きて欲しいです。
なお黒沼私兵部隊は勝手に派遣するわけにもいかないので、しばらくは許可待ちで経験値工場内で待機ということになりました。
はやく出番が来るといいのですが。
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