新しい設備
凄まじい発見なのでは?
ワープですよ、ワープ。
This wayはわからないけど、ワープが凄いのはわかりますよ。
「異空間にある工場を経由することで、現実空間の二点を繫ぐ、みたいな感じですかね」
扉は一度設置したら、俺が消さない限り、そこに存在し続けるのか。
これは要検証です。
工場に戻ります。
ん、よく見たら『経験値生産設備 ver2.0』の背後に扉あるじゃないですか。
全部で3つあります。
さっき1階層と繫いだのと、15階層補給基地の横を繫いだのものをあわせれば5つです。
「ちょっと『経験値生産設備 ver2.0』を移動したいなぁ……」
『メタルトラップルーム』どこまでも続くように見えて、実は直径20mくらいの円くらいの面積しかないんだよね。
壁際塞がれちゃうと、扉入れなくなっちゃうんだよ。
「ぎぃ」
「ちーちーちー」
「お二方よろしくお願いします」
シマエナガさんがコンテナの上部を足で掴み、ぎぃさんが下から黒触手でもちあげ、チーム指男の至宝『経験値生産設備 ver2.0』を持ち上げ、湖の真ん中に着水させます。移動完了。
扉は3つ。
1個ずつ開けて確認したところ、それぞれ1階層、8階層、11階層に繋がっているとわかりました。
これらは俺が『メタルトラップルーム』に入るために入り口を開いた場所です。
「入り口は一度開いたら、閉じない限り、開きっぱなのかな?」
その後、いろいろ検証して、扉の性質をまとめた。
・扉は一度開けばそこに開きっぱなし
・所有者(俺)の意思で扉は消すことができる
・扉は普段は透明になっていて視覚的にカモフラージュされている
・2回ノックすると視認可能になり『メタルトラップルーム』に入場できる
・扉は複数設置可能で、外界から繫いだ場合、湖のどこかに出現する
ただし一定時間後に壁際によって整理される(?)
こんなところか。
経験値工場、どうにも俺が思っている以上に凄まじい
「よく行く場所に”扉”を設置しておいたら便利そうだ」
「ぎぃ」
「そうですね。一応カモフラージュされてるとはいえ、誰かがうっかり発見してしまうかもしれないので、場所はすこし気を付けないとですね」
「ぎぃ」
俺はとりあえず11階層の扉を消去した。
あんまり使わなそうだからだ。
1階層は地上へ戻るのにかなり時短になるので、これから有効活用できるだろう。
8階層にはダンジョンブローカーSがいるので一応開いておく。
15階層は言わずもがな補給拠点があるので開いていく。
現状こんな感じでいいだろう。
気がついたら随時追加していこう。
「それじゃあ、ちょっとSさんに会いますか」
『トラップルーム 川』を見てもらうため、ブローカーのいる8階へ。
「また来たのか、お前」
「ごきげんよう、Sさん。いいブツがありますぜ」
「なんだそのキャラづけは……ん、なるほど、良い物を持ってきたな。『トラップルーム』は非常に貴重で市場でも超高額商品として取引されてる。俺なら財団より高く買い取ってやる」
「え? 財団って
「そこからかよ……」
どうやら、ダンジョン財団は
はじめて知りました。まあ、売る物なんてなかったけど。
「じゃあ、ちょっと比較させてもらいます、待っててくださいね」
俺は経験値工場を使って1分で15階層のジウさんに会いに行く。
なんで修羅道さんに会いに行かないのって思われるかもしれないが、それはなんとなくだ。後ろめたい事をやっている罪悪感からかもしれない。まだ、良く知らないジウさんなら後ろめたい取引の査定比較もやりやすいというものだ。
「……。っ、それはまさか……凄い物を持ってきましたね。『トラップルーム』は非常に貴重な発掘品です。少々お待ちを」
ジウさんに曲がった刃のナイフを渡す。
すぐにいつもの査定マシンでスキャンしてくれて価格を見てくれます。
「ただいまの適正買取価格は9億9,526万8,541円ですね」
たっかッ?!
え、まじで?
え、俺の装備全部売ったらどうなっちゃうの?
「
「……。はい。異常物質はその名の通り、アノマリー──つまり、現代科学と人類の蓄積では説明できない物質・生物・現象なので、必然その稀少価値はあがります。探索者の方の多くは引退するまでに
「『トラップルーム』は有用であると?」
「……。世界で9点しか発掘成功例がない代物です。素人にもわかりやすく使いやすいプライベート異空間という点が非常に高値で取引される由縁です」
めっちゃ貴重なんだな……。
「──とはいえ、この
「え? そうなんですか?」
「……。はい。この
恐い恐い恐い!
いきなり恐い話になった!?
こんな話されたあとで、ダンジョンブローカーに横流ししたら俺一撃で逮捕されるんじゃないの?
「あの、これ、あとで売ります、ちゃんと売ります……」
「……。賢明な判断です」
ジウさんの圧力に負けました。この女性は恐いので、修羅道さんのところにもっていこうと思います。『トラップルーム 川』を売ったら『メタルトラップルーム』までぶん取られそうだもん。ジウさんの圧を回避できる自信ないよ。
足早に補給基地を離れます。
俺は健全な探索者。悪い事には加担しません。
では、引き続き、探索をしていこうか(キリッ)
『迷宮の攻略家』で3Dマップを取得して、宝箱と狩場を確認します。
暗黒の迷路を駆け抜けて、どんどん回収していく。
おやおや、早速接敵です。
ずいぶんダックスフンドもでっかくなってきました。
でもね、消し炭に変わりはないです。
「カリバー」
──パチン
1回、2回、3回、4回、5回。
あれ、5回で燃え尽きた。
14階層と同じくらいの耐久力しかなかったな……。
15階層も楽勝なので、16階層まで降りようと思います。
──しばらく後
結局、18階層まで降りて、約19時間にわたるランニング狩場ルーティンを楽しくまわして、ダックスフンドを笑いながら消し炭に変えて、クリスタルと経験値をかき集めました。今日もよく働きました。
──────────────────
★デイリーミッション★
毎日コツコツ頑張ろうっ!
『ダンジョン生活』
24時間ダンジョンにいる 24時間00分/24時間00分
★本日のデイリーミッション達成っ!★
報酬 『経験値強化設備』
継続日数:101日目
コツコツランク:プラチナ 倍率10.0倍
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む、デイリーミッションのウィンドウがゴゴゴゴゴゴとうなり声をあげています。
この感じ……なんか察する物があります。
来る。間違いなく、なんか飛びだしてくる。
急いで18階層の壁に”扉”を作ります。
デイリーくんに「もうちょっと我慢して!」と言いながら、急いで経験値工場に入ります。
直後、黒いデカい直方体が排出されました。二度目。
『経験値生産設備 ver2.0』のすぐとなりに、同じようなコンテナ状の長い機械が設置バシャンっと着水。2つ並ぶと迫力満点ですね。
さてこれは一体なんなのかな。
アイテム表示を指でなぞります。
────────────────────
『経験値強化設備』
異次元の匠モートンの作品
1時間に1枚、強化を施す
格納 0/50
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強化? どういう意味だろう。
シマエナガさんに『冒涜の眼力』を使ってみてもらう。
結果、またしても素晴らしいプレゼントだとわかりました。
今度の設備は、経験値の濃縮物質──『先人の知恵』や『黄金の経験値』など──を装置にセットすることで、その効果を引き上げるというものらしい。
俺はこの19時間ばかりランニング狩場ルーティンをまわしている間に生産された38枚の『黄金の経験値』を『経験値生産設備 ver2.0』から回収して、おとなりの『経験値強化設備』のなかへ運びいれる。
ファミレスの定員さんが料理を運ぶようなトレイがたくさん積んである。
使い方はわかります。シマエナガさんの眼力のおかげです。
トレイに『黄金の経験値』を1枚乗せて、オーブントースターみたいな装置のなかへいれます。コンテナのなかにはこのオーブンみたいな装置が、5×10で壁際に並んでいます。
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『経験値強化設備』
異次元の匠モートンの作品
1時間に1枚、強化を施す
格納 38/50
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このオーブンみたいなのに入れることでセッティングは完了らしい。
これで1時間待てば、経験値が増えているということか。
ああ、焼き上がりが楽しみだ。
へっへっへ。どんくらい増えてるんだろうね。
「ちーちー……」
「つまみ食いはだめです。シマエナガさん行きますよ」
「ち、ちー! ちーー!」
新しい装置はなかなか有用そうで期待が高まります。
次にやることは、メタルダックスフンドです。
19時間働いてきたので、その間に『メタルトラップルーム』の効果で、メタルが一匹生産されました。
経験値を獲得するのは、ぎぃさんの番です。
今度は俺がシマエナガさんを拘束しておく番です。
ちなみに俺のレベルはこんな感じです。
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赤木英雄
レベル155
HP 25,851/30,523
MP 3,021/5,361
スキル
『フィンガースナップ Lv5』
『恐怖症候群 Lv8』
『一撃 Lv6』
『鋼の精神』
『確率の時間 コイン Lv2』
『スーパーメタル特攻 Lv6』
『蒼い胎動 Lv2』
『黒沼の断絶者』
『超捕獲家 Lv3』
装備品
『蒼い血 Lv3』G4
『選ばれし者の証』G3
『迷宮の攻略家』G4
『アドルフェンの聖骸布』G3
『ムゲンハイール ver5.0』G4
『血塗れの同志』G4
『メタルトラップルーム Lv2』G4
────────────────────
「ぎぃ」
ぎぃさんが無事にメタルダックスフンドを倒して、経験値を獲得して、、レベルアップしました。
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ぎぃさん
レベル23
HP 3,021/4,427
MP 6,012/8,961
スキル
『黒沼の呼び声 Lv2』
『黒沼の惨劇』
『黒沼の武装』
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スキルが増えていますね。
『黒沼の武装』ですか。
はい、ぎぃさん、持ち物検査ですよー。
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『黒沼の武装』
黒沼の武装を召喚する
MP1~1000
2時間に1度使用可能。
ストック999
MP200でクールタイムを解決。
───────────────────
なるほど。
これまでの傾向からなんとなく察してたけど、もしかしてぎぃさんは召喚系スキルが得意なのかな。
黒い触手だって自分の体を変形させてるわけじゃなく、あくまで別の空間から召喚してるみたいだし、ブレイクダンスマスターもどっかから連れてきてるし。
「でもね、総じて、攻撃力みんなあるからねぇ……それじゃ、ぎぃさん、この武装とやらを召喚してもらえますか? 危ないかどうかチェックします」
「ぎぃ」
空間がたわみ、にょきっと黒い青龍刀が出てきました。
────────────────────
ぎぃさん
レベル23
HP 3,021/4,427
MP 5,012/8,961
スキル
『黒沼の呼び声 Lv2』
『黒沼の惨劇』
『黒沼の武装』
────────────────────
ぎぃさんのMPが1,000減っている。
この黒い青龍刀はMP1,000相当の武器ということだろうか。
手に取ってみる。
軽い。ひゅんひゅん振り回してみる。
おお、刀ってこんな軽いんだな。いくらでも速くふりまわせそうな──
──ベギィンッ
飛び散る火花。弾ける黒い刀身。
「あっ」
「ぎぃ?!」
青龍刀の刀身が半ばで砕けてしまっている。
あれぇ……俺の振り回し方が良くなかったのかな……ごめん、ぎぃさん、そんな悲しそうな顔しないでよ……。
「ぎぃ……っ、ぎぃぎぃ……っ」
「ごめんなさい、ぎぃさん……俺、変なことするのやめますね……今回は無罪ということで、ええ、有罪は俺だけです……」
俺程度が振って壊れちゃう剣なら、召喚したところで「危ない」って感じはないからね。
「ぎぃ……」
──厄災の軟体動物は折れた青龍刀と自身の主をいぶかしむ眼差しで交互に見つめていた。指男がその視線に気づくことはなかった。
「デイリーミッション」
1日経ったので更新されているでしょう。
──────────────────
★デイリーミッション★
毎日コツコツ頑張ろうっ!
『突然! ラッキースケベ』
突然、ラッキースケベする 0/1
継続日数:101日目
コツコツランク:プラチナ 倍率10.0倍
──────────────────
あーもう、やばいの来ちゃったよ……。
ラッキースケベを故意にやったらそれはもうただのスケベで、アンラッキー逮捕コースなんよ。
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