第12話 衣装作りと覚悟
木曜日、昨日まで続いていた晴れも一変雨が降っていた。俺の予測が正しければ今日初めての人格と出会う!俺はそれを楽しみにしていた!
「やめて!離してよ!!」
ん?なんか聞き覚えのある声が聞こえた気がする…。気のせいか。そう思いながら壁にそっと隠れて声の方をそーっと覗くと金色の髪をツインテールにした女の子が男二人に絡まれていた。
「君ほんと可愛いねぇ…」
「胸でかっ…何カップだよ?」
そんなことを言いながら男はグッと彼女の腕を掴んでいた。…あんまり関わりたくなかったけど、あの子が誰だか俺にはすぐわかった。はぁ…と思いながらも彼女の元へ駆け寄った。
「おい、やめろよ。」
「「あぁん?」」
俺が声をかけると男どもふたりは俺を睨んだ。全く、こういうのはアニメだけにしてくれ。
「その子嫌がってんじゃん?」
「んだとテメェ!カッコつけやがって!痛い目にあいてぇならそうしてやらァ!」
ガっと思いっきり殴られた…あまりの勢いに壁にガンッとぶつかってしまった。…痛ってぇ!頭からいってしまい、意識が朦朧とし始めた…あっ…やばっ…そう思ったが遅かった…暗闇の中俺の目の前に1人の男がいた。その男は髪型と目の色以外俺と瓜二つの男だ。
『よぉ、久しぶりだな。ちょっと変われや。』
『ま、まてっ…』
『お前が戻ったところであいつらにゃぁ勝てねぇよ!』
俺の厨二病だったらどれほどマシだったか…。しかし俺は意識が朦朧としていて抵抗できなかった…やっかいな俺のもうひとつの人格が表に出てしまう…
「てめぇら…ぶっ殺されてぇのか?」
ぐっと壁を持って立ち上がり、ペッっと血を吐きながら前髪をぐいっとあげ、指を鳴らして挑発する。
「な、なんだコイツ…さっきと目の色違くねぇか?」
「こいつ…まさかあいつか?に、逃げろ!!」
「ま、待ってくれよぉぉ!」
そう言って男どもは逃げていった。くっそ…一発殴り返してやろうと思ってたのに…くっそ…一時的なもんか…
「大丈夫?ごめんね!私のせいで…」
「…セラ…ピョン?」
「へっ!?」
俺は彼女の顔を見た瞬間正気に戻った。よく見るとセラピョンではなかったが彼女は顔を赤くしていた。
「ごめん…見間違いだったみたいだ…」
「そ、そう!全く、あんなアイドルと一緒にしないでよね!!」
横髪をファサっとやって彼女は向こうを向いた。可愛いな。
「はじめまして…でいいのかな?久しぶりって言った方がいい?」
「そうね、久しぶり…耀司。」
少しニコッとしながら言った。その顔は昔、初めて出会った金髪の女の子にそっくりだった。あれ?なんで…昔の記憶が…
「私は丹比 世羅!よろしくね!」
「あ、あぁ、よろしく!」
「ぴゃっ!?」
ぴゃっ?手を伸ばしてきたから握手かなって思って握手をしたらすぐ手を離された。え、地味にショックなんですけど…
「ご、ごめんね!嫌とかじゃなくて!…その。」
「俺こそごめんね!えっと、良かったら一緒に登校する?」
「し、仕方ないわね!そんなに言うなら登校してあげなくもないわ!」
いや、そんなにと言うほど頼んでないけど…これって俗に言うツンデレと言うやつか。本当にツインテールってツンデレが多いんだな。
「おはよう丹比さん!」
「今日はツインテールだ!可愛い!」
「毎日違う丹比さんが見れて私幸せー」
教室に入るといつの間にか彼女の周りに人だかりができていた。ファンクラブみたいになってるし…女性陣だけじゃなく男性陣まで話しかけてるし。
「ファンクラブがあるのは本当だぞ?」
「うぉわ!」
後ろから急に話しかけられて思わずびっくりした…財前だ。
「ちなみに俺もその一人だ」
そういって財前は自慢げにカードを出してきた。うわぁ、カードって…こんな本格的なやつ作ったのかよ…お前ら暇人か!それにNo.10007ってどんだけいんだよ!他学園にもいんのか!?
「俺はシルバーだがこの上にゴールド、1番上にブラックがいる!」
なんだそのコレドコのカードじゃあるまいし!聞いた話によると一番下からホワイト、シルバー、ゴールド、ブラックといるらしい。
ーー
午前の授業もおわり、お昼休憩はいった。すると世羅さんは俺の前に立って指をさした。
「耀司っ!お昼ご飯!絶対一緒に食べるわよ!あんたに拒否権はないから!」
それだけを告げて屋上の方へ歩いていった。もう行くしかない…と思って後ろは絶対見ないようにして教室を後にした。そして屋上について俺は世羅さんに綺麗にに包まれた四角形のものを渡された。
「これって…」
「お弁当!あんたの!」
「えっ…俺自分のあるよ?」
「もう!それと交換しようってこと!」
「はい!」
察しが悪いわね!と言われ、声に気圧されて俺は思わず大きな声で自分の弁当を渡した。そして世羅から貰ったお弁当を開けると
「うわぁ!美味しそう!!」
おかかの上に海苔がのってる…海苔弁だ!おかずは卵焼きとアジフライと…こ、これは!!
「コロッケだっ!!」
「きゃっ…もう!びっくりさせないでよ!」
あまりの大声にびっくりしたのか既にお弁当を食べてた世羅が怒った。怒った顔も可愛いなぁ!
「ご、ごめん!でもおれ、コロッケめちゃくちゃ好きなんだ!」
「知ってるわよ…それくらい」
「なんか言った?」
「なんでもない…耀司の弁当も美味しいわね!」
自分の作った弁当が美味しいと言われたのこれが初めてかもしれない。親とかにも作ったこと無かったし…一人っ子で母は朝早くから出かけてるから…
「だろ?でも世羅さんの弁当の方が美味しいよ!」
「そうなんだ…それは良かっ…ひっく!」
「え?」
なんだ?急に口をおさえて顔を真っ赤にしていた。
「なんでもな…ひっく!もう!見なひっく!」
しゃっくりか。なんかしゃっくりする度に身体がぴくんっってなるのなんかエロいな…えろ可愛い…
「ひっく…もう!みないひっく!もう!」
そう言いながら両手をぶんぶん振り回す…はぁ、丹比さんって誰になっても可愛いよなぁ。それぞれの良さがあるって言うか。もう結婚してしまいたいくらい。
「あ、そうそう今日母さんが丹比さんを連れてきてって。」
「どうして?ひっく…」
まだしゃっくりも止まってないし分からないと首を傾げるの可愛いし…ダメだ…さっきからほぼ可愛いしか言ってない…
「えっと母さんが衣装のサイズを測るために呼んでって言ってたんだ!」
「ん、わかった。」
ようやく止まったのか世羅は冷静に返事をした。少し触んねんな気もするが良かった。…なんだろうさっきもそうだったけど…どことなくセラピョンに似てるような気がする…
ーー
そして放課後部活で正式的に挨拶をした
「初めまして!世羅って言います!本番は私が歌う予定なのでよろしくお願いします!」
「うんうん!よろしくね!!」
部長の一言でみんなが拍手を送った。よかった。世羅さんはちょっと言葉遣いがたまにタメ口な時もあるから…まぁ、それもかのじょのやりかたなのかもしれないけど…
「あ、あの…その後ろのやつって…」
「ん?あぁ、セラピョンはもうご存知ですよね!!」
当たり前のように聞いてるけど知らない人もいるからね!?知ってて当然みたいな感じで言ってるよこの人
「やっぱり!セラピョンのグッズなのね!?」
「うわぁ…こんなものまであるの!?ていうかこんなエッチな下着履いてないし!ていうかなんで水着の写真集まで…あれ発売されてたのね…ほんとありえない。」
そう小さい声でブツブツ言っていたが後ろに耀司立ちがいた事をすっかり忘れていた。
「あの…」
「えっと…これはその…」
「もしかしてあなたもセラピョンファンなんですか!?」
副部長の渡部は世羅さんの手をぎゅっと握り目を輝かせていた。
「へっ!?あ…いや…その…」
「もしかして…嫌いなんですか…?」
今度はしゅんとなってしまった。少しテンパってしまった世羅さんだったが何かを思いついたように言葉を発した
「ちがうの!あぁ…そう!アイドルをめざしてるからセラピョンはライバルだと思ってるの!!」
「おぉ!さすがアイドルをめざしてるだけのことはありますなぁ!あのセラピョンをライバルと意識しているとは…恐れ入りました…」
「いや、そこまでじゃないですけど…」
「よしっ!私たちに任せてください!必ず優勝目指しましょう!」
「はい!」
今度は五木りなが彼女の手を両手で握った、一瞬戸惑ったが世羅は両手で彼女の手を握り返した。そして渡部はホワイトボードを持ってきてペンを出し書き出した。
「では、まず衣装なんですけど…」
「それなら昨日母に相談して作ってもらいます!」
昨日説得…というか母さんが作りたいと行ってきたのでOKだ。
「ホントですか!?それはとてもありがたい!!では曲は…」
「あっ、曲と歌詞は私が作ったから…自分の歌の方が歌いやすいし。」
世羅は自慢げに胸を張った。すると大きな旨がぷるんっと跳ねたので野郎3人組は思わずチラ見してしまった…しかしその先でりなが鬼の形相で睨んでることに気づき、慌ててホワイトボードへ目をやった。
「え!?オリジナルですか!?それは聞いて見たいですぅ!!」
「えぇ、もう完璧だから、後で聴かせてあげるわ!」
渡部はやったーと喜んでいたがりながコツンと肘で脇腹を押した。すると何かを察したようにこほんっ、と咳払いして
「じ、じゃあ照明と音楽…」
「それなんだけど…私のファンクラブ?があるみたいでそのメンバーの中に照明をしてくれる人と音楽担当してくれる人がいるから…大丈夫みたい。」
「えぇぇぇええ!?あなたたち何者なんですかァァァ!」
渡部が俺と世羅に交互に指さした。まぁ、俺は自分の力じゃないけどな…てことは俺たちリハーサルがもう出来るってことか…えぐっ…
「では!リハーサルも兼ねて音響の調整、曲は…1曲の方がいいですね!さぁ、盛り上がってきましたよー!」
渡部はいぇーいとテンションが暴走していた。まぁ、正直俺も楽しみだ。師匠にまた相談してライブ感がもっと出るようになにか作ろうかな。
「では体育館へレッツゴー!」
とは言ったものの体育館は既に軽音同好会が練習に使っていて次の世羅さんになる日に合わせて体育館の使用許可を取った。
「今日はここまでね。おつかれー。」
そう言うとりなはふわぁぁっとあくびをかきながら帰って行った。
「あ、待ってくださいよ部長!」
渡部はその後ろを追いかけて言って肩を組んでいた。「なにすんのよ!」「いいじゃないですかー!」そんなやり取りが聞こえてくる。よかった。りなは気が強いからあんまり友達いなかったけど…安心した。そしておれと世羅さんは俺の家に行くことに。
ーー
家に帰るとかあさんがメジャーを持って目の前にたっていた
「おかえり、世羅さん、だっけ?突然ごめんね〜」
「とんでもないです!こちらこそわざわざ衣装を作っていただきありがとうございます!」
「ほら、こっち来て!制服とかはそこにかけて!あと、耀司!あんた買い出しに行ってきなさい!」
げ!?俺家でゆっくりセラピョンのDVD鑑賞しようと思ってたんだけど!?
「今から女の子が着替えるのよ!?あんた間違えて入ってくるでしょ!」
「そんなことしねぇよ」
「あら?この間私が着替えてた時ノックもせずに私の部屋に…」
「分かりましたすぐ行きます行かせてください!」
そういって、カバンと財布を持ち、そうそうに出ていった。ひぃ…おっかねぇ…
「さて、始めましょっか!」
「はい、すみませんお仕事でお忙しいのに…」
「いいのよ!他でもない丹比ちゃんのためなんだから!それよりサイズ大丈夫そう?」
来たのは青を中心とした衣装。顔から胸まで出てる大胆な衣装だ。スカートも短くてふわふわなやつになってるからいいもののまぁまぁ恥ずかしい。でもやっぱり可愛い。
「デザインはすごくいいですし、問題ないんですけど…胸が少しきついです…」
そう、胸の問題だ。他は怖いくらいにピッタリだが胸だけは何故か少し小さかった。
「まって…目視してだいたい92くらいかなって思ってたけどもっとあるって事!?ちょっとごめんね!」
「ひゃぁぁぁっ!!」
急に胸をわしずかみにされて変な声が出てしまう。しばらく揉み続けてふむふむ…なんと!そういって彼女の顔を見た
「なっ…触診で98ちょっと超えてる…!?まって!すぐちゃんとしたやつで測って調整するから!」
「測るやつあるなら触らなくてよかったんじゃないですかぁ!?」
「ごめん…触りたくなったの!」
てへぺろっと舌をちろっとだしてごめんねのポーズをとる。まぁ、衣装を作ってもらってるんだしこのくらいは許そう。
「…でも凄いですね。見ただけでサイズがわかるなんて。」
「私たちの間じゃこのくらい普通よ?とりあえずスリーサイズ測るから!」
「はぁい。」
そういって腕を上げてメジャーを通してもらう。胸に触れた時むにゅっとなって一瞬「…んぁ」と声が出てしまったが聞こえてなかったようだ。すると、鷹木母が質問をきりだした
「そういえば、服を脱ぐときなんの躊躇もなかったわね…。女の子同士だけど普通そんなすぐ脱がないわよ?」
「そりゃもう慣れ…じゃない!えっと…アイドルを目指すなら水着とか服の宣伝とか色々あると思うから恥なんて無くした方がいいと思って!!」
「へぇ!プロ意識が強いのね!ますます気に入っちゃったわ!胸は…102!?うそ!?3桁!?」
「声が大きいですお義母さん!!」
あまりにも大声で言うから世羅は周りに誰もいないか2度見してしまった!
「あっ…ごめんなさい…大丈夫よ、耀司が間違えて入ってこないようにというのも兼ねて買い出しを頼んでるから!」
「そういう問題ですか…まぁ、いいですけどね。」
「ホント…なんであなたみたいな人があの子を好きなんだか…弱みでも握られてるの?」
弱みでも握られてるなら私がぶん殴るけど?と言ってきたがさすがに可哀想だし、弱みを握られてる訳でもないので首を横に振った。
「…ほかの人格からどう聞いてるのか分かりませんが…少なくとも私は耀司が大好き。ほかの人格の誰よりも…」
「へ〜。他の子も同じようなこと言ってたわ。」
同じなのねとくすくす笑ったが世羅はずいっと鷹木母に顔を近づけた。さすがに驚いたのか鷹木母は少し後ずさった。
「私が一番好きなのっ!だって…私が最初に出会ったんだから!」
「…そっか。ちょっと妬けるなぁ。」
世羅の言葉を聞いて鷹木母は上を見上げてそう言った。妬けるってどういうことなのだろう?
「え?」
「もしあの子が…少なくとも血が繋がってなかったら…私は告白してたかもね。」
「えぇぇええ!?」
「ふふっ、親バカかもしれないけどすごく男らしいところがあるのよ。悔しいけど元旦那に似たのかしらね。普段は面倒くさそうな感じだけどいざって時はたすけてくれる…そんな人なのよ。」
一瞬やばい人なのかなって思ったけど安心した。でもそりゃ親でも好きになっちゃうよね。この間の話を聞いていてそう思える。
「分かります…私もそうだったので…」
「はい、お疲れ様、じゃあ調整するからちょっとまってて。」
「ただいまぁー母さん、買ってき…あっ…」
帰ってくると目の前にはブラをつけていない下着だけの世羅だけが立っていた、そして数分で調整を終え戻ってきた鷹木母は頭を抱えた。
「あらぁ…好感度台無しぃー。」
「耀司っ!?」
「ご、ごめんっ!」
「…えっち。」
殴られることを覚悟していたが殴られない?前をそっと見ると落としていた制服を前で隠すようにしてこっちを見ていた。
「え?怒らないの?」
「そりゃプロだからね。見られたところで問題ないわよ!でも、次見たら殺すから!」
「すいません!!」
これ以上彼女を辱める訳にはいくまいとすぐにその部屋を出ていった。世羅は、ふぅ…と安心したようにため息をついた
「ふふっ、顔真っ赤よ?でもホント強いのね。」
「…好きな人に見られても問題ないですから。いつか見られるんだから今見られても一緒だし。だから食生活も気をつけて胸のマッサージだってして…」
世羅さんは独り言のように言っていたが、うんうんとあいづちをしながら聞いてくれた。
「ふふっ、私、世羅ちゃんともっと仲良くなりたくなったわ。」
「本当ですか!?」
「えぇ、もしプロになったら衣装は絶対私に任せて!」
「……。」
世羅はこの衣装のデザインをみて誰かに似ていることに気づいた。そして一瞬にして顔が青ざめた。
「ん?どうかした?」
「間違ってたらごめんなさい。もしかして…鷹木 さくらさん…ですか…?」
恐る恐るその名を口にした。すると鷹木母はあっと思い出した。
「そうよ?そういえば自己紹介まだだったわね!」
「え、えぇぇぇええ!ぐえっ!」
世羅は思いっきり後ろに後ずさりしすぎて壁にぶつかってしまった
「どうした!?」
「まだ入ってくんな!」
耀司が心配になって入ってきたが、まだスカートを履いてないことに気づき目つぶししてしまった
「ぶえっ!」
目がぁぁぁ!と言ってる間に扉の外へおいやった
「てことはあなたが!衣装を作らせたら右に出る者はいないほどの…国宝級の逸材とまで称された!あの鷹木さくらさんだったんですか!?」
「ふふっ、それは周りがそう言ってるだけだけど…まぁ、そうね。」
彼女が本人であると確信した途端世羅はいきなりカクカクになってしまった。
「こ、こここ今回は…私なんかのために…い、いい衣装を…」
「そんな固くしなくていいから。あなたも、隠すのが上手なのねセラピョンちゃん。」
「え…なんのことですか?」
一瞬ドキッとしたが確信がないと思いすぐに表情を作った。
「私の目を誤魔化せると思ってるの?あなたもアイドル界期待の新生なんでしょ」
確かにこの人は目視でスリーサイズをほぼ当てられる人だ。私のことも元から知っていたのかもしれない…
「どうして分かったんですか?」
「デザイナーの勘?と、言いたいとこだけど一度あなたのマネージャーから衣装を頼まれた時があったのよ。」
「そうなんですか!?」
「…気を悪くしたらごめんなさい、まだあなたは駆け出しの新人だったから興味なかったの…」
そりゃそうだ。いくら新生と言われてても所詮は新人アイドル、プロのデザイナーからしたら全く興味のない話だったのだろう。
「でも、あなたのライブを見に行った時、私は確信した!この子の衣装は絶対に私が作るって!」
「でも、一度マネージャー断られてからずっと頼んでないって…それに顔出しNGって言われてますよね?」
「それはごめんなさい私が威圧かけすぎちゃったのかも、また謝罪しておくわ。…それと、顔バレしたらマスコミとかに追いかけられちゃうから。そしたら耀司が困っちゃうし。」
「そうだったんですね。」
確かにパパラッチやマスコミに追いかけられることは私も時々辛い時がある。自分の私生活を見られてるみたいだから。
「まぁ、あのこは別に気にしないっていってるけど!むしろ俺テレビに出られるか!?とか言って喜んでたわ。」
「ほんと耀司は子供なんだから。」
でもそんな息子だから親でもキュンときちゃうんだろうな。
「話を戻すけど、初ライブのあの日、あなたにとって最高の1日だったでしょう?あの時私はとても後悔した。あの時なんでOKしなかったんだろう…ってね。」
「そうだったんですね。」
「それで今スリーサイズ測ったら胸以外全く同じだったからもしかしてって思って聞いたらまさか本当だったなんて!」
「はい…」
まさかこんな感じで鷹木さんに会って私がせらぴょんだってばれるとは…
「うちの息子が大ファンでね…そのことは息子には言ってないのよね?」
「はい…でも言わないでください!」
「分かってるわ。どうしてかは知らないけどそちらの理由があるんでしょ?私のことも言わないでね…」
「もちろんですっ!」
「よし、話はこれで終わり!もう着れたわよね?耀司〜もういいわよ〜!」
「はぁ…2人してなんの話ししてたんだ?」
そう聞くと2人は顔を見合わせて笑ってこっちを見た
「女の秘密よ。」
ーー
心の中
『まさかあの鷹木さくらさんだったなんて…』
『私は知ってたよ〜?子供の頃にあってるし。』
『そうだっけ?』
世羅の言葉にそう答える佐奈。私が忘れてただけかなと世羅はそう思った。
『良かったですね…。思った以上に順調で…』
『そうね、正直私としてはもう少し耀司と先に進みたかったんだけど。』
『あぁ〜!世羅ちゃん抜けがけはだめだよ!』
『それはあんたの頑張り次第ね琉偉!伽耶!くれぐれも耀司に嫌われるようなことすんじゃないわよ!』
『う、うん!』
緊張しながらも真ん中へたつ伽耶だった。
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