第8話 部活をやろう!

さぁ、休みも終わり月曜日また長い一週間が始まる…だが俺にはもう友達がいる!これで俺も少しは楽しいスクールライフがおくれるかな。

そんな事を考えながら教室に向かっていると

唐突に職員室が開き俺の方をガッと掴んだ!

山城先生が俺の肩を組んできたのだ。横乳が当たって正直ドキドキが止まりません…それに急に出てこられたもんだから心臓止まるかと思ったわ!


「あの…なんでしょうか?」


「丹比と仲良くしてくれてありがとな。」


先生にしては珍しくお礼を言うから一瞬パニクったがまぁ、この人は俺の事情をよく知ってくれてるし。山城先生は幼稚園の頃からずっと俺の担当の先生だ。俺が卒業すると同時にやめて俺と同じ所へやってくる恐ろしい先生だ。まぁ、一言で言うと俺の初恋の人だ。


「似たもの同士…なんでね。先生がいちばん知ってるでしょ?」


「まぁな。最近はどうなんだ?大丈夫そうなのか?」


「えぇまぁ…」



「そうか、あぁそうそう!部活のこと丹比に言ったか?」


「あっ!忘れてました!」


「いつでもいいがこの学園は部活は絶対入らないといけないから。」


そういえば言うの忘れてた!

教室に入り俺は丹比さんの前へ向かった。

…髪型を確認。…今日は琉偉さんなのね。


「琉偉さんは部活どうすんだ?」


「部活?」


「この学園は強制的に部活に入らないといけないんだよ。」


「そうなんだ!ようちゃんはどの部活に入ってるの?」


「俺?俺は帰宅部。」


「それ…部活なの?」


「まぁ、俺だけの特権?」


嘘だけどな。まぁ、前は部活に入ってたんだけど辞めた。めんどくさくなったからな。いろいろと…


「ここ、どんな部活があるの!?」


「んじゃ、放課後みに行くか!」


「うん!」


ーー

そして放課後、俺は部活の一覧を見せて彼女はそれを確認した。


「これが部活の一覧だ。」


この学園は部活が多く、野球部、サッカー部、卓球部などの運動部はもちろん、茶道部、書道部、美術部などの文化部。軽音や、漫研、科学研究などの同好会もある。


「えっ!?」


「どうかしたか?」


急に目を大きくして一点を見つめる。まるで探していたものが見つかったように目を輝かせて。


「…ドル部…」


「え?」


「アイドル部がいいっ!」


俺の胸ぐらをつかみグイッと顔を寄せてきた。喧嘩を売ってる訳ではなく欲しいおもちゃが見つかって嬉しい子供のように俺を掴んで離さない。


「あの…」


「よ、耀…司…へ?にゃんで…?」


耀司?さっきまでようちゃんって呼んでたのに

急に変わった。


「君、もしかして…初めましてかな?」


琉偉はおれをようちゃんと呼ぶし、摩耶もようちゃんだ。佐奈は耀司くんで、伽耶は耀司さんだから。俺を呼び捨てで呼ぶ人は初めてだから新しい子なんだろ。


「耀司…なんで…わたし…えっ…」


戸惑ってる彼女の声はどこかで見覚えのある声で…どこで聞いたんだろうか。名前を聞いたら分かるだろうか?


「あ…あっ…ひゃぁぁぁぁ!」


急に悲鳴をあげて顔を隠した!やっぱり新しい人格の子!一度話してみたかったんだ!


「だ、大丈夫!?」


「えっ!あぁ大丈夫だよ、ようちゃん。」


「あれ?」


またようちゃんにもどってる…たしか人格は0時と同時に変わると言っていたはず。


「わたし、気を失ってましたか!?」


「気は失ってなかったけど呼び方が変わってたから一時的に入れ替わったのかもしれない。」


「そ、そうなのですね。取り乱してしまってすみませんでした。」


「そっか。じゃあアイドル部見てこよっか。」


「アイドル部…ですか?」


あれ?嫌だったかな?さっきの人格の人、名前はわからなかったけどアイドル部を目にした瞬間すごい嬉しそうだったからそうなのかなって思ったけど。


「うん、ダメかな?」


「いえ、行きましょう!」


さっきのことが少し気になるけど…とりあえず、アイドル部へレッツゴー!


ーー

アイドル部…ここは、男子二人、女子3人の5人で主にアイドルの良さをみんなに知ってもらうために活動している。


「失礼しまーす。」


部室に入ると緑色の布で包まれたなにか?の前に机があってそこに男子2人と女子2人が座っていてそのうちの一人がこちらへやってきた。


「あら?何か用?」


「ここはアイドル部…であっていますか?」


「はい!もしかしてこの部にはいってくださるのですか!?」


琉偉さんの言葉にそう答え、俺の顔に向かってずいっと顔を近づけてくるから少し後ろに下がった。だから、女子ってなんでこんなに距離感すごい近いの?みんなこんなもん?


「ええっと、この子、丹比さんが部活をさがしていてどこにしようかと聞いたらアイドル部をみてみたいといっていたので。」


「そうなんですね!!どうぞどうぞ!」


そう言われて彼女に案内された。


ーー

お茶を出してもらってそれをずずっと飲んでいると目の前に座っていた女の子が立ち上がった


「申し遅れました!わたしはアイドル部、副部長!渡部 遠香(わたなべ とおか)っていいます。3年生です!部長は遅れてくるそうなので後で紹介します!ここでは、アイドルの良さを日々研究し、調べ、この学園のみんなにもっと好きになってもらうことを目標としています!」


メガネをクイッとあげて自己紹介と部活紹介をする。紫に輝く長い髪をポニーテールにしていて、胸は丹比さんほどではないが大きいし、スタイルもいい。スカートがかなり短くて少しでも動いたら見えそうだ。さっき立ち上がった時少し見えてたけど…。


かんたんな説明を受けていると唐突にガタッと立ち上がったのは他でもない琉偉だった。


「アイドル部って、アイドルやってる訳じゃないの!?」


「うん、みんなでアイドルの良さを語り合うところだよ?」


「そう…なんですか。」


ガックリとする琉偉さん。もしかして彼女は…


「もしかして…アイドルとして活動している…と思っていたのですか?」


「はい…」


俺が言う前に渡部さんが言うと琉偉はこくんっと頷いた。


「それってつまり、アイドルをやってくれる、ということですよね?」


メガネをクイッとあげて光らせた。やな予感がするのは何故だろう…


「えっ?」


「是非!うちの学園のアイドルになってください!!」


渡部さんは琉偉さんの両手をつかみ目を輝かせて彼女を見つめていた!まぁ、アイドルファンだろうし、そりゃ目の前にアイドル志望の子がいたら嬉しいだろう。


「ええぇぇぇ!」


「まさかこんな近くに本気でアイドルを目指す人がいたなんて!」


「副部長、良かったですね!」

「部長もきっと喜んでいただけます!」


後ろの人たちも結構盛り上がっている様子。


「でも部活内容って…」


「なんのなんの!むしろうちの学園から出てくれたらさらにうちの部の人気モデルでしょう!どうですか!そちらはアイドルになれる!そして我々はそれを紹介し、みんなからも認めてもらえる!win-winじゃないですか?」


「でも…わたし…」


「自信がないなんて言いませんよね!?会った時から私は見抜いていました!あなたのそのスタイル!顔の可愛さ!丁寧な挨拶!アイドルには必須です!私の目はごまかせませんでしたね!」


まるで詐欺師のようにあぁいえばこう言うという言葉技を繰り出し追い詰めていく。


「いや、だから…あの…」


「大丈夫です!あなたと私たちが手を組めばうちの部は最強になるのですから!!」


「ようちゃん〜。」


「まぁ、やってみたらどうだ?アイドルになるかどうかはともかく、一度仮入部でやってみてそれからやるかどうか考えても悪くないんじゃないかな?」


挑戦することはいいことだ。それに、彼女も少しは興味あるみたいだし。やってみて損は無いと思う。


「…ようちゃんがそういうなら…やっていようかな。」


よかった、正直どの部活に行っても彼女は人気が出ると思う。でもやるかどうかは最後に決めるのは彼女自身だ。悩んでるうちは気になることをやって見てそれから考えていけばいい。


「じゃあよろしくね!えっと…」


「丹比 琉偉っていいます。」


「えっ…あっ!あの噂の!?うわぁ!想像してた以上に可愛い!」


「そんなに噂されてるんですか?」


「はい!多重人格をもった美少女!誰も寄せつけないまさに高嶺の花!」


それはただ単に多重人格だからみんな近寄れないだけだろ…まぁ、美少女って言うところはあっているがな。


「えっと、僕は佐久間 亨(さくま とおる)っていいます2年生です。」


黒髪でいかにも真面目そうな男。この人となら仲良くなれそうだ。


「俺は眞鍋 俊也(まなべ しゅんや)2年生だ。よろしくな!」


対して茶髪でちょっとやんちゃそうな男。こういう人って見た目によらずいい人だったりするんだよなぁ。


「私、草壁 なの(くさかべ なの)!草壁なのじゃなくて、なの が名前です!1年生よ!」


オレンジ色の髪色でサイドテールにした元気そうな女の子。胸は…見たところ大きくない。でもムチッとしたお腹と足がかなり色っぽいな。ってか俺女の人見る時どうしてこんなに変態気質になるのだろうか…


「いま、えっちなことかんがえてたでしょ?」


「い、いやっ!別に!」


図星をつかれ慌てていいわけをしようとしたがこれという言葉が見つからず否定するにはあまりにも酷いものになってしまった。


「いいよ〜!わたしこう見えてグラビアもやってるし!」


「そうなのか!?」


まぁ、胸がある程度小さくてもそれは小さな問題に過ぎないからな。


「そしてこの私が!…ってさっき紹介しましたよね!あと、そちらの方は?」


と俺の方を見てきたのでとりあえず自己紹介をする。


「鷹木 耀司っていいます。」


「君は…」


「……。」


「んっ!よろしくね!鷹木くん!」


あれ?この学園では俺の噂は広まってるはず…この人たちは大丈夫なのか?


「ふふっ、鷹木くんはなぜなんともないんだ?と思ってますね〜?私は知っています!あなたは…」


「……」


俺のなんか弱みでも握ってんのか?


「私たちと同じ!セラピョンの大ファンだということです!」


そういうと後ろにいた男性陣が布をバサッと開き、隠されていたものが開かれセラピョングッズが姿をあらわした!


「っ!?」


琉偉さんは驚愕の顔をしているけど俺は嬉しさのあまり飛び上がりそうになっていた!しかしそれよりも気になったのが…


「どうして俺がセラピョンファンだと?」


「だって、この間ライブにいましたよね?」


「ぐっ…まさか同じ学園にファンがいたとは…」


嬉しいような、恥ずかしいような…色んな気持ちがある。


「そう!セラピョンファンに悪い人はいない!つまり、あなたが過去に何をしていようと関係ありません!」


「嬉しいです!俺、入部します!!」


セラピョンについて語り合うなら俺は誰にも負ける気がしない!いや、師匠には負けるけど!


「是非是非!うちは大歓迎です!!」


「おつかれー。って耀司!?」


「りな!?なんでここに!?」


普通にりなが部室に入ってくるなんて思わなかった。まてよ…まさか!


「遅いですよ部長、何してたんですか?」


「ふんっ!セラピョンの新曲が配信されてたからダウンロードして聴いてたのよ!」


「あっ!ずるい!私にも聴かせてください!」


「分かったからだきつくなぁ!」


まさかりながここの部長だったなんて思わなかった。


「お前、バレー部だったんじゃないのか?なんでアイドル部に?」


「う、うっさいわね!なにか文句ある!?」


いやないけどバレー楽しそうにやってたからてっきりバレー部に入ると思ってたんだよ!


「俺、この部に入部することにしたから、よろしくな部長。」


「まぁ、いいわ!認めてあげる!あんたは?」


そういってりなは丹比さんの方を見つめる確かに彼女は入部するとは言ってなかったな。


「ようちゃんが入部するなら私もここに入部します!」


「よっし!これでさらにうちの部が盛り上がるよー!みんなよろしくね!」


「てかなんであんたが部長面してんのよ!」


「いいじゃないですか〜!元々私が部長だったんですし〜」


「ふんっ!べつにいいけど!よろしくね!」


さて、また学園に来る楽しみができた。これからがたのしみでしかたないなぁ!


ーー

帰り道俺は気になったことがあったので横にいる琉偉に聞いた。


「なぁ、どうしてアイドル部なんかに入ったんだ?」


「あっ!えっと…あ、アイドルに憧れてたから…かな?」


「そうなんだ!なんか意外だな…好きなアイドルとかいるの?」


「いえ、特に好きなアイドルとか居ないんですけど歌ってる人達の顔を見るとみんな輝いていて…少し…羨ましいなって思って。私もこうなってみたいなぁって思ったんです。」


「そうなんだ…なんか分かるな。」


おれも、アイドルを見ていて羨ましいと思っていた。彼女たちは輝いていて俺たちファンをいつも元気にさせてくれる。きっと彼女たちにも辛いことが沢山あっただろう…それでも立ち上がって立ち向かったからこそ今の彼女たちがある。そう思っただけで尊敬してしまう。


「だからね!私ちょっとだけやってみよっかなっておもう!ようちゃん応援してくれる?」


「もちろん!」


「じゃあ、私頑張るね!」


「うん!俺も全力でサポートするよ!」


ーー

心の中


『アイドル部…ねぇ?楽しそう!』


『ちょっとぉ!アイドルっていう武器は私だけのものでしょー!!』


佐奈の言葉に加え、世羅は琉偉にプンプンと怒っていた。


『だって…私だって少しくらいようちゃんに認めてもらいたいし…。』


『だったらアイドル以外でもいいじゃない!』


『耀司さん…根っからのアイドルファンですもんね…』


伽耶は少し微笑んでそう言った。だがそれでは我慢ならないと世羅は言う。


『だからってそれは私なの!耀司は私のファンなの!』


『ひっ!すみませんすみません!』


『まぁ、楽しそうじゃねぇか!明日から楽しそうだ!』


なっはっは!と摩耶は笑っていた。


『ちょっと、あんまりようちゃんに迷惑かけないでね!』


『わーってるって!』


そういって少し顔を赤くしながら摩耶は真ん中にたった。

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